メキシコ 米国産未経産牛の輸入再開へ 個体識別の確保が条件

農業情報研究所(WAPIC)

06.10.10

 米国農務省(USDA)によると、メキシコが24ヵ月齢以下の米国未経産乳牛の輸入禁止を解除した。

 USDA News Release:MEXICO OPENS MARKETS TO U.S. DAIRY HEIFERS,06.10.4

 ただし、メキシコは、これらの牛のサーベイランスを維持するために、米国を出るときに個別に識別され、情報がメキシコの牛個体識別システムに組み込まれるという条件を付けた。これらの牛は繁殖用に使われるが、BSEの母子感染の可能性は完全には否定されていないからだ。これらの牛を通じてメキシコにBSEが広がる恐れがある。

 国際獣疫事務局(OIE)の基準に従っても、既にBSE発生が確認された”管理されたリスク国”である米国が生体牛を輸出するためには、「輸出用に選別された牛が母牛と出自牛群にまでトレースバックされることを可能にする恒久的識別システムにより識別され」、さらに「反芻動物由来の肉骨粉と獣脂かすでの反芻動物飼育の禁止[フィードバン]が有効に執行された日付以後に生まれた」ものであることを証明せねばならない。

 それにもかかわらず、ジョハンズ米農務長官は、これは牛・牛肉貿易の自由化に向けての第一歩にすぎず、「目標は、科学に基づく国際的ガイドラインに従って、かつての活発な生体牛貿易を再建することだ」と言う。

 「恒久的識別システム」もなく、フィードバンの”有効性”も疑われる米国にそんな目標を立てる資格があるのだろうか。それが他国にBSEを拡散させる可能性など考えもしないのだろうか。

 他方では、米国は、より改善された識別・トレースシステムを持つカナダからの繁殖牛の輸入の禁止は継続している。それが”科学に基づく国際的ガイドライン”に従うものなのだろうか。米国の言う”科学”とは、自国の経済的利害に応じてどうにでも変わるもののようだ。

 なお、牛肉に関して言えば、メキシコは2004年3月には30ヵ月齢以下の牛からの骨なし肉、今年2月からは同じく骨入り肉の輸入の禁止を解除している。