韓国 輸入米国産牛肉第2便にも骨片発見 日本の輸入肉のSRM除去も大丈夫なのか

農業情報研究所(WAPIC)

06.12.1

  韓国農林部が1日、先月23日に輸入された米国産牛肉3.2トンから3個の骨片が発見されたことを明らかにした。この肉はネブラスカのPremium Protein Products LLCが輸出したもので、該当牛肉はすべて返送されるか、廃棄され、米国のこの食肉処理工場からの輸入の承認は取り消されることになる。

 先月24日には、10月末にクリークストーンファーム・プレミアムビーフ社から輸入された輸入再開後初便の8.9トンからも骨片が発見され、同様な措置が取られた。輸入は再開されたとはいえ、韓国の店頭には米国産牛肉はまったく現れていないことになる。

 米国農務省は、通常の牛肉取引では小さな骨片の混入は不可避だから、骨の断片は普通の牛肉貿易では不可避とし、多くの食肉加工企業は韓国が骨片の混入を認めないかぎり商売にならないと恐れてきたが、それが現実となった。10トンの第3便も通関待機中というが、これも同じ運命を辿るかもしれない。

 韓国と米国は来週、モンタナで自由貿易協定(FTA)交渉の第5ラウンドを開くが、聯合ニュースによると、この牛肉問題が取り上げられることになりそうだ。ワシントンの韓国経済研究所の議会問題と貿易のアナリストは、マックス・ボーカス上院議員のようなFTA支持者にとっても牛肉は重要問題だ、こんな状態が続けば議会におけるFTAの支持にも影響が出るだろうと言っている。

 それにしても、骨片の混入が返送や廃棄につながることを知りながら、米国食肉工場はなぜそれを排除できないのか。恐らく忙しすぎて、骨の丁寧な除去も、除去されているかどうかの確認もできないのだろう。目立つ骨についてさえこの有様では、日本に輸入される牛肉にも特定危険部位(SRM)が混じっていても不思議はない。日本の水際検査は本当に大丈夫なのだろうか。

 食品安全委員会は、SRMが除去されていることを前提に米国産牛肉のリスク評価を行ったが、食肉処理の現場の実情からしてSRMがどこまで除去されるのかを見極めるのも立派なリスク評価ではなかろうか。食品安全委員会が自主的に行うリスク評価にこのような評価を加えてもらいたいものだ。英国の海綿状脳症委員会(SEAC)は、英国のと畜場と食肉処理場におけるSRMのコントロールでBSE感染性がどこまで減らせるかの評価を始めている(http://www.seac.gov.uk/papers/95-3.pdf)。

 関連ニュース
 S.Korea finds bones in U.S. beef order,AP via Yahoo! News,11.30
  Korea Rejects 2nd US Beef Batch,Korea Times,12.1
  Trade spat looms as South Korea rejects second U.S. beef shipment,Yonhap,12.1