米国居住者3例目のvCJD確認 サウジアラビアで感染か

農業情報研究所(WAPIC)

06.12.7

 米国で3例目となる変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)患者が確認された。11月29日付けでバージニア保健省と米国疾病管理予防センター(CDC)が発表した。

 CDC:Confirmed Case of Variant Creutzfeldt Jakob Disease (vCJD) in the United States in a Patient from the Middle East,06.11.29
 http://www.cdc.gov/ncidod/dvrd/vcjd/other/vCJD_112906.htm

 この患者はサウジアラビアで生まれ・育ったヤングアダルト(性別・年齢への言及ないが、この用語の一般的利用法からすると25−35歳くらいと考えられる)で、2005年以来米国に住んでいた。この患者は1989年に短期間、2001年にも最大3ヵ月の間米国に滞在したことがある。11月末、カリフォルニア大学痴呆老年センター(Memory and Aging Center)の臨床プリオン研究チームが、vCJDと確認したという。

 この患者がどこで、どのようにして感染したかが問題だが、この患者は輸血や神経組織手術を受けたことはなく、ヨーロッパに行ったり、滞在したこともない。また、狂牛病(BSE)汚染牛肉を食べることで感染した場合の潜伏期間は7年以上と考えられるから、米国の牛肉が感染源とも考えられない。

 他方、サウジアラビアではBSEは一件も報告されていないが、英国からの牛製品は、英国でBSEが大量に発生していた時期に多年にわたりサウジアラビアに輸出されていた可能性がある*。従って、この患者は、サウジアラビアに住んでいた子供のときに食べた英国からの輸入汚染牛製品から感染した可能性が最も高いという。

 なお、この患者は献血暦も、公衆衛生調査を受けた経歴もないから、この患者から米国居住者へのvCJD伝達のリスクはないとされている。

 サウジアラビア住民のvCJD患者は、2005年にも一人確認されているが(米国ケース・ウエスタン・リザーブ大学の米国国立プリオン病サーベイランスセンターが確認)、この患者もサウジアラビアで感染したと見られている。

 *事実、英国はBSEの大量発生が見られた1990年代前半まで、大量の牛肉をサウジアラビアに輸出していた。英国のサウジアラビアへの年次別牛肉輸出量は下のとおりである(単位はトン、出所はFAOATAT)

 1990:464.62 1991:75.66 1992:10.17 1993:200.00 1994:301.98 1995:1,093.80 1996:106.89
 1997:4.53 1998:6.32 1999:2.26 2000:2.26 2001:26.15 2002:11.01 2003:23.23 2004:15.82