日本、カナダで相次ぎ狂牛病飼料規制違反 安全性強調よりも原因究明と再発防止が重要

農業情報研究所(WAPIC)

07.3.24

 農水省が23日、独立行政法人肥飼料検査所が今年年3月15日に実施した立入検査において、狂牛病(BSE)発生防止のために飼料安全法が定める動物性油脂成分規格に違反する事例が発見されたと発表した。動物性油脂飼料成分が含む不溶性不純物は0.15%以下でなければならないとされているが、この事例は0.30%の不溶性不純物を含んでいた。ただし、農水省は、この違反が狂牛病発生につながる可能性を否定する意図からであろうか、「当該油脂は、出荷先において鶏用飼料用の原料として使用されており、牛用飼料用としての出荷はされていないことが確認されております」としている。

 農林水産省:飼料安全法の基準・規格に違反する事例について,3.23

 これとはまったく別の話だが、3月2日にはカナダ食品検査局(CFIA)も、反芻動物肉骨粉が含まれる反芻動物飼料を受け取ったとしてサスカチェワン州9農場に牛の移動制限措置を講じたことを発表した。CFIAは、誤って反芻動物肉骨粉を飼料工場に渡した加工業者と当該飼料工場からの通報でこの違反事例を知った。ただし、飼料に暴露された動物からの肉やその他の製品に関連した食品安全上のリスクはないとしている。CFIAによれば、汚染飼料のすべては回収され、受け取ったすべての農場は適切に消毒された。暫定的科学評価では動物の健康リスクは非常に低く、また汚染飼料に暴露された動物やその製品は輸出されなかったという。

 CFIA RESPONDS TO CONTAMINATED FEED,3.2

 ただ、日本では同様な違反は2005年1月にも見つかっている動物性油脂成分規格違反が発覚 改めて問われるBSE感染リスク,05.1.27)。カナダでの同様な違反事例も昨年11月に発見されたばかりだ(CFIA Launches Feed Investigation.06.11.18;Update - Contaminated Feed Investigation,06.11.30;Update - Restrictions Removed from Ontario Cattle,07.1.3)。消費者・生産者の信頼を勝ち取ろうとするのならば、とってつけたように安全性を強調するよりも、違反発生の原因の究明と再発防止にこそ全力を上げるべきだろう。