米国食品安全検査局 ダウナー牛の人間消費禁止措置に例外を提案

農業情報研究所(WAPIC)

07.7.13

  米国が、ダウナー牛(起立または歩行ができない牛)のと畜禁止措置を緩和することになりそうだ。起立や歩行の困難は狂牛病(BSE)の典型的症候の一つであり、米国は、2003年12月の最初の狂牛病(BSE)確認を受け、2004年1月12日に、このような牛のと畜を禁止する暫定措置を取った。ところが、農務省食品安全検査局(FSIS)が7月12日、この措置を恒久化するとともに、一定の牛については禁止の例外とすると発表した。

 新ルールは今日(13日)付けのフェデラル・レジスターで公表されるが、この新ルールの下では、@と畜前検査をパスした後に負傷した牛についてはと畜を許すかどうかを改めて見直す、A疲労や寒さで立つことができない子牛は別置して手当てと再検査をすることも可能にする、という。

 FSIS News Release:FSIS Publishes Final Rule Prohibiting Processing of "Downer" Cattle,07.7.12
  http://www.fsis.usda.gov/News_&_Events/NR_071207_01/index.asp

 しかし、負傷や疲労・寒さにによる起立や歩行の不能とBSEによる起立や歩行の不能は、本来的に、あるいは現実的に、判然と区別できるものなのだろうか。場合によっては、起立や歩行の困難が負傷につながったのかもしれない。子牛が立てない、歩けない原因が疲労や寒さだとどうしたら断定できるのだろうか。

 子牛の場合の現実的リスクは小さいかもしれないが、負傷した牛の例外ルールで危険な牛が問題なしと判定されてと畜される余地が生まれるだろう。安全性を軽視し、少しでも経済的損害を削ろうとする業界の圧力に応えようとする姑息な手段にしか見えない。

 9月11日までコメントを受け付けるというが、実施されれば、日本に輸入される米国産牛肉のリスクも今まで以上に高まることになる。