米国通商代表部 米国産牛肉輸入に関する韓米追加交渉結果を公表

農業情報研究所(WAPIC)

08.6.24

 米国産牛肉輸入に関する韓米”追加交渉”は先週末に合意と発表された。合意内容についてはマスコミ報道ばかりが先行していたが、交渉の一方の当事者である米国通商代表部(USTR)が23日、21日付けで漸く公表した。

 http://www.ustr.gov/assets/Document_Library/Press_Releases/2008/June/asset_upload_file711_14948.pdf

 この発表によると、米国産牛肉の段階的輸入拡大を定めた4月18日の議定書の実施に当たり、「韓国牛肉輸入業者と米国輸出業者は、米国牛肉に対する韓国消費者の信頼が改善するまでの過渡的措置として、30ヵ月齢未満の牛からの米国牛肉だけが韓国に運ばれるという商業協定」に達したが、交渉の焦点は、このような民間自主協定をサポートする方法に置かれた。

 交渉の結果、4月18日の議定書実施に際しては、米国農務省(USDA)が、農産物販売法の下で米国政府が管理する”韓国向け30ヵ月齢未満立証品質システム評価(QSA)プログラム”を確立することになった。このプログラムは、プログラムの下で韓国に運ばれるすべての牛肉が30ヵ月齢未満の牛からのものであることを立証する。

 加えて、4月18日の議定書では、30ヵ月齢未満の牛の脳・頭蓋・眼・脊髄が禁輸の対象から外されたが、これについても、「このような製品に対する韓国の市場需要が生まれるまでは」、従来通りに禁輸を続けることになった。

 さらに、米国牛肉加工施設の監査で重大なノン・コンプライアンスが発見された場合に韓国が一定の措置を取ることができること、また食品安全上の危険が発見されたときに国境で取ることのできる措置についても明確にされた。これらのすべての措置は、問題の製品または施設に限定される。


 概ね、マスコミが伝えてきたとおりだ。公式発表を見ても、韓国の消費者の信頼が改善するとか、30ヵ月齢未満の牛の脳などに対する「韓国の市場需要が生まれる」とは、具体的にはどんな状態を意味するのか不明だ。”外交通商部の金宗フン(キム・ジョンフン)通商交渉本部長は23日、「信頼回復の尺度と時点は、現在のところ分からない」と述べた”そうである (「韓米牛肉交渉で裏合意はない」通商交渉本部長 聨合ニュース 6.23)。これで韓国消費者の不安が解消するとは思えない。

 米国政府は、4月18日の議定書それ自体の改訂は免れた。しかし、米議会議員からでさえ、追加交渉で4月の合意内容が実質的に変更されたという声が上がっている(「追加交渉で実質内容が変わった」米議員ら懸念表明 聨合ニュース 6.23)。大威張りで日本に全面開放を迫るわけにもいかなくなった。