英国研究者 BSE研究打ち切りに反発 今後20-30年の間のvCJD第二波に警告

農業情報研究所(WAPIC)

08.8..4

 ガーディアン紙によると、政府の狂牛病(BSE)研究打ち切りの動きに、今後20年から30年、BSEと非常に深く関連するクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の第二波が英国を押し流すと警告している。

 Warning over new wave of CJD cases,Guardian,8.3
 http://www.guardian.co.uk/uk/2008/aug/03/bse.medicalresearch

 環境・食料・農村問題省(REFRA)は先週、牛のプリオン感染メカニズムに関する詳細なデータの提供を狙ったいくつかの実験がまもなく打ち切られると確認した。

 しかし、前医学研究委員会(MRC)委員長、オックスフォード大学のコーリン・ブレイクモア神経病学教授は、この病気は完全に終わり何の心配もないのか、それとも人間の間での第二波に直面しているのか、慎重に見極めねばならないと言う。

 MRCプリオンユニット長のジョン・コリンジ教授は、「英国のほとんどすべての人が変異型CJDを引き起こす病原体に曝されたことを忘れてはならない。それは、バーガーだけでなく、肉製品から作られるゼラチンを含むケーキなど、食料チェーン全体からやってくる。当時は、化粧品さえも牛肉由来の化学物質を含んでいた」と言う。

 だから、BSEのモニタリングを若干緩めることは受け入れられるが、BSEに関連した人間の変異型CJD(vCJD)を理解する努力は緩めるべきではない。研究者は、これと深く関連したニューギニアの病気、クールーの研究に基づき、第二波が多分起きると信じている。

 研究者は、いまやクールーから人体を守る基本的遺伝子を発見しており、これらはmバージョン、vバージョンの二つの形で存在する。これら遺伝子バージョンは、クールーへの異なる反応を生み出す。二つのmバージョンを持つ人はクールーで死ぬ最初の人だ。一つまたは二つのvバージョンを持つ人は遅れて発症する。

 科学者は、いまやvCJD患者の中に同様な病像を発見している。政府の海綿状脳症諮問委員会(SEAC)のクリス・ヒギンズ教授は、これまでのすべての犠牲者は二つのmバージョンを持っていたと指摘、およそ40%のダブルm人々の発症が160人ほどであることは、今後20年の間に60%の人々から250人が発症することを示唆する、治療法発見の研究努力を維持する必要があると言う。

 コリンジ教授によると、フランスとドイツのCJD研究資金は既に干上がっている。将来のCJD患者の治療法を発見するためだけでなく、CJDを引き起こすのと同じ病原体で起きるものではないとはいえ、一旦病気が始まれば同じような進行を示すアルツハイマーやパーキンソンのような病気の理解を前進させるためにも、この研究は維持する必要があるという。