抗マラリア薬・キナクリンは人間のプリオン病には効かない 英国の新研究

農業情報研究所(WAPIC)

09.3.11

  英国研究チームが、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)など、現在は治療法のない”プリオン病”の治療薬として期待されている抗マラリア薬:キナクリンには、人間の治療薬としては効き目がないことを確認する新たな研究を発表した。

 キナクリンがプリオン蛋白質の異常プリオン蛋白質への転換を妨げることができるとするマウスを使った実験がある。しかし、孤発性CJD患者45人、医原性CJD患者2人、vCJD患者18人、遺伝性CJD患者42人、計107人の患者の臨床試験では、キナクリン投与患者の死亡率が非投与患者の死亡率より低かったが、これには病気の厳しさが関連しており、これを調整しすると、両グループの死亡率に差はなかった。

 これは、キナクリン投与は病気の進行に影響を与えなかったと解釈されるという。

 John Collinge et al.,Safety and efficacy of quinacrine in human prion disease (PRION-1 study): a patient-preference trial,The Lancet Neurology, Early Online Publication, 10 March 2009
  http://www.thelancet.com/journals/laneur/article/PIIS1474-4422(09)70049-3/fulltext