台湾 米国産牛肉のBSE関連輸入規制を緩和 30ヵ月齢未満の牛の骨付き肉の輸入禁止を解除 

  農業情報研究所(WAPIC)

09.10.24

  台湾政府が10月22日、米国政府との間で、30ヵ月齢未満米国牛の骨付き肉輸入禁止の解除に合意したそうである。

 米国側からの公式発表は未だないようだが、台湾メディアによると、Tボーン・ステーキやリブ・ステーキを含む米国骨付き肉の台湾への輸入が許される。ただし、屑肉の輸入禁止は従来通り継続、挽肉の輸入についてはさらに協議する。また、脳、頭蓋、眼、脊髄(背根)神経節、扁桃、小腸(の一部?)などは従来通り”特定危険部位”に指定、輸出入禁止の対象とする。

 衛生局の蕭美玲副長は、台湾の米国産牛肉に対する市場開放は、韓国のそれと同等のもの、他の30ヵ国(もちろん日本は除く)は30ヵ月齢以上の牛の肉の輸入を許していると語ったという。

 台湾は、2003年末の米国初のBSE発生後、米国産牛肉輸入を全面禁止した。2005年4月に輸入禁止を部分的に解除、30ヵ月齢未満の牛の骨なし肉に限って輸入を認めた。ところがその2ヵ月後、米国2例目のBSE発見を受け、再び全面禁止を行った。そして、2006年には輸入再開に合意したが、輸入が許されるのは30ヵ月齢未満の牛の骨無し肉に限られていた。

 台湾国内の多くの反対を押し切っての決定だが、外交部は外交的マヌーバーは一切ないと言う。にもかかわらず、台湾人の生計に利益をもたらし、台米関係を改善する何よりのニュースと歓迎しているそうである。

 Taiwan agrees to lift ban on US beef,Taipei Times,10.24
 http://www.taipeitimes.com/News/front/archives/2009/10/24/2003456749

 これにより、日本の米国産牛肉輸入規制は、世界においてますます孤立したものになる。しかし、この世界的潮流を促した国際獣疫事務局(OIE)の基準そのものが、多くの国が抗し難い米国の外交・政治的圧力に屈したものだ。わが国は、米国のサーベイランスが信頼できず(市場が共通で、飼料規制も共通であったカナダでのみ、何故BSEが発見されるのか?)、飼料規制も不完全であるかぎり、日米関係の改善などに惑わされてはならない。