オーストラリア 狂牛病発生国からの牛肉輸入解禁を撤回 リスク分析をやり直す

農業情報研究所(WAPIC)

10.3.9

  オーストラリア政府が3月8日、たった1週間前に行ったmad cow disease(BSE)発生国からの牛肉輸入禁止の解除を撤回した。ラジオのトーク番組における視聴者の反応や野党の猛反対に押されたもので、禁輸解除を少なくとも2年延期、発生国からの牛肉輸入のリスク分析を一からやり直すという。

 禁輸解除は、米国の再三の要求やWTOに提訴するというカナダの脅しに屈したものだったが、今度は国民や野党の圧力に屈した。確たる政策が一向に定まらない現日本政府といい勝負の無定見ぶりだ。

 この決定、野党は大歓迎だが、牛肉生産・消費促進を目的とする肉牛生産者協議会(Cattle Council of Australia)は、米国市場から締め出されると反発ししている。オーストラリアは、米国から輸入するよりもずっと多くの牛肉を米国に輸出している。保護主義は利益よりも損害をもたらすというわけだ。

 ともあれ、オーストラリアのリスク分析がどんなものになるか、見ものではある。場合によっては、世界や日本の米国産牛肉のリスク分析にも影響を及ぼすかもしれない。

 Backflip over mad cow beef ban ,The Australian,3.9
 http://www.theaustralian.com.au/business/industry-sectors/backflip-over-mad-cow-beef-ban/story-e6frg95o-1225838417701

 N American push on mad cow ban,The Australian,2.24
  http://www.theaustralian.com.au/news/nation/n-american-push-on-mad-cow-ban/story-e6frg6nf-1225834058699