農業情報研究所狂牛病ニュース:2010年11月17日

カナダの米国食肉検査システム現場監査 BSE特定危険部位が食肉と接する恐れ

 カナダ食品検査局(CFIA)が11月15日、米国食肉家禽検査システムの現場監査報告を発表した。監査は2009年12月1日-11日と2010年2月23日−3月12日に、カナダ向け輸出のための食肉・家禽製品の生産を律する食品安全システムを評価した。日本でも関心の高い狂牛病(BSE)のコントロールに関して言うと、1件だけ不適切な例が見つかったという。

 問題は、特定危険部位(SRM)のコントロールに関係する。米国食品安全検査局(FSIS)は、30ヵ月齢以上の牛の脳、頭蓋、眼、三叉神経節、脊髄、脊柱、背根神経節と全月齢の牛の回腸遠位部及び扁桃を、食用に使うことが許されないSRMに指定している。

 ところが、一つの施設で、30ヵ月齢以上の牛の頭部からの頭肉が大後頭孔(頭蓋腔と脊柱管とを結ぶ孔)周辺からナイフで切り取られていた。その上、これらの頭は共通のテーブルの上で脱骨され、スタニンングの穴は塞がれていたものの、頭蓋基部の大後頭孔は開いたままだった。従って、三叉神経節、脳、脊髄の中枢神経組織が、食用に供される肉製品と接触するリスクがあるという。

 http://www.inspection.gc.ca/english/fssa/meavia/audit/2009amere.shtml#ani

 一施設における例外的な例とはいうものの、これはたまたま起きた人為的ミスとは思えない。システムが定着していれば起きようがないことだ。日本の現場監査はこんなところを見ているのかどうか、いささか気になる。