イギリス人の2000人に1人がBSE(狂牛病)の人間版=vCJDの隠れた保菌者 その意味するところは
British Medical Journal の最新号に発表されたSebastian Bradner率いる研究が、イギリス人の2000人に1人がBSE(狂牛病)の人間版とされる変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の保菌者であることを明らかにした。イギリスの41の病院から集めた匿名扱いの32441の虫垂(盲腸)の異常プリオンたんぱくPrP、BSEの病原とされる)を検査、16が陽性たった。16/32441=0.05%、すなわち2000人に1人が保菌者ということである。
O Noel Gill et al.,Prevalent abnormal
prion protein in human appendixes after bovine spongiform encephalopathy
epizootic: large scale survey,British Medical Journal ,Published 15
October 2013
http://www.bmj.com/content/347/bmj.f5675
しかし、それは何を意味するのか。10月15日付のNature Newsがその説明を買って出た。主要論点は次のとおりだ。
この数字は驚くほど高いのか?
この数は以前のサーベイ1)で発見された12674人に3人という数字と同じオーダーである。
(1)Hilton, D.
A. et al. J.
Pathol. 203, 448–450
(2004).
http://chemport.cas.org/cgi-bin/sdcgi?APP=ftslink&action=reflink&origin=npg&version=1.0&coi=1:CAS:528:DC%2BD2cXmtFSmt7o%3D&pissn=0028-0836&md5=bd210a65ee17bdaae8891c1fe7066d3d
これはイギリスで2000人に1人がvCJDを発症するということか?
これはありそうにない。脾臓や扁桃を含むリンパ組織は脳よりも容易にPrPに感染する。しかし、リンパ組織と脳の感染の関係は明確でない。プリオンが見つかったこれらのケースはvCJDを発症していない隠れた保菌者である。
これらの人の何割が発症するのか、全然発症しないのか、誰にも分からない。今までの場合よりはずっと長い潜伏期間の後に発症者が現れる可能性はあるが、他の原因で死亡するから、その数は大きく減るだろう。言えるのはせいぜいそんなところだ。
イギリスの供血は危険にさらされているのか?
これは未解決の問題だ。イギリスは厳格な供血規制をしてきたが、リンパ組織感染者が血液を通してPrPを伝達できるのかどうかは分かっていない。血液のプリオン感染を見つけ出す診断方法の改善が必要だ。この問題は消えてなくなってはいない―それどころではない。
One in 2,000 UK people might carry vCJD proteins,Nature News,13.10.15