アメリカの農業組合、ジョゼ・ボベの保釈金支払いを提案Le Monde,99.9.4

農業情報研究所 北林寿信作成 1999.9.5

  アメリカ農業界の約50人の有力者がマクドナルドの一部破壊で投獄されているジョゼ・ボベとの連帯のアッピールを出すと決定した。彼らは、9月3日、アメリカのすべての農民組織、消費者組織に対して支持を要請する文書を配布する。この文書は「自分の選択に従って食べる民衆の権利を支持する」と確認し、「食べ物の質に対する国際組織の攻撃」に反対する。それは「市民はホルモン牛肉や遺伝子組み換え体を拒否する権利を持つ」と言う。

 他方、投獄された農民同盟の活動家を支持して、彼らは釈放のために要求された10万5000フランの保釈金を支払うためにアメリカで募金を開始することも決定した。この状況下で、ジョゼ・ボベは保釈金が支払われ、9月6日に出獄することを受け入れることができよう。

(北林注:農民同盟の活動家・ジョゼ・ボベは釈放の条件として保釈金支払いが課されたことを農民運動弾圧として出獄を拒否、EUのホルモン牛肉輸入禁止に対する米国の制裁を認めたWTOへの抗議の意志を獄中で貫くとしていた。農民同盟も同様に保釈金支払い要求を非難しながら、9月2日、これに同調する諸組織とともに保釈金払い込みのための「すべての連帯」を訴えることで彼を解放すると決定していた。)

 同紙の付随記事:カナダ訪問中のフランス・シラク大統領は、2日、ケベックにおいて、世界化の影響を恐れる農業界の利益を防衛する意志を表明。ただし、農業を「文化」同様に例外とすることは拒否。「文化財は特有な性格を持つ独特の財であり、商品ではない」。農業問題に関しては食品安全を強調、「我々は譲歩しない、我々が予防原則と呼ぶものに嫌疑をかけるのは道徳的に不可能だ」とするとともに、WTOにおいては「農業生産者の国際競争における経済的利益」を守るのが我々の使命であると断言。