世界食料日誌 2013年〜 最終更新:2016年10月15日 2012年以前

 農業情報研究所(WAPIC)

  2016年 2015年 2014年 2013年

 

 2016

 10月15日

 

 英国EU離脱のコスト ユニリーバ製品がスーパー=家庭から消える

 

 EU離脱-ポンド下落がベン&ジェリーズアイスクリームマーマイトのイギリス家庭への供給を脅かしている。国最大のスーパー・テスコが、ポンド安のコストを誰が負担するかをめぐってユニリーバと争うなか、これら数十の製品をオンライン販売の取り扱い品目から外したからである。

 

 ユニリーバはユーロ・ドル表示の輸入商品のコスト上昇を相殺するための価格引き上げを要求した。しかし、テスコはこれを拒否、ウエブサイトからユニリーバ製品を除去、争いが長引くならいくつかの品目を店頭からも撤去すると警告している。他のスーパーも追随すると警告しているということだ。

 

 Tesco pulls products over plunging pound,FT.com,16.10.13 

 

 7月21日

 

 アメリカ 有機農産物が足りない 移行期有機農業基準を

 

 急増する有機食品需要に供給が追いつかない。有機認証を受けるまでの移行期の経済的困難が大きく、通常農業から有機農業への移行がなかなか進まないためだ。いくつかの団体が有機農業への移行期に適用される緩い有機農業基準を開発しつつあるが、USDAはそれにストップはかけないものの、これまでのところ正式な移行期基準は出していない。

 

 American farmers are struggling to feed the country’s appetite for organic food,The Guardian,16.7.20

 

 714

 

 米国の食品ロス 生産される食品の半分を農場と小売市場で廃棄 きずものを排する”完璧カルト”のため

 

 アメリカにおける食品ロス(生産されながら食べられないで棄てられる食品の量)が実際のところどれほどに上るのか、世界資源研究所などが研究してはいるが正確な数字は分っていない。

 しかし、公式データや数十人の農民・出荷業者・運送業者・研究者・活動家・政府官僚とのインタビューによれば、アメリカで生産される大量の生鮮食料品が、非現実的で硬直的な見栄え上の基準のために畑で放置されて腐り・家畜の餌にされ・畑から直接埋めたて地に運ばれている。

 食料廃棄は”農場から食卓まで”の問題と言われることが多く、全食料品の3分の1に相当する6000万トン(1600億ドル)の生産物が小売・消費の段階で廃棄されているという政府の試算もある。

 しかし、これは”下流”の話だ。インタビューした農民・包装出荷業者などは”上流”で起きている食品廃棄について語る。きずもの野菜は収獲の費用と労働を節約するために、決まって畑で棄てられる。専門家は、このように畑で棄てられものに小売段階で棄てられれるものを加えると、生産物の半分近くが棄てられていると言う。 

 かくして、アメリカ人は、”完璧を求めるカルト”のために、彼らが食べるのと同量の食品を棄て、飢餓と貧困を助長するだけでなく、水と土地その他の資源の浪費と食品埋め立てから生じる温室効果ガス排出によって環境にも重い負荷を課している。

 Half of all US food produce is thrown away, new research suggests,The Guardian,16.7.13

 日本も似たようなものだろう。農水省は「食品廃棄物」(事業系・家庭系)の量とそのうちの可食部分(食品ロス)を推計しているが、農家段階での廃棄は完全に無視されている。農協の生産資材販売価格には監視の目を光らせる農水省も、こればっかりは手が出せないようだ。田畑での大量廃棄が明らかになれば、「もったいない」運動を進めながらそれをやめさせられない農水省にも批判の矛先が向かうかもしれない。

 

  関連ニュース(日本にはここまで書けるメディアはありません) 

 From field to fork: the six stages of wasting food,The Guardian,16.7.14 

 

 2015

 926

 気仙沼郵便局が「さんまゆうパック」受け付けを中止 大さんまが獲れない

 「気仙沼郵便局は、気仙沼港水揚げのサンマを全国の食卓に届ける「さんまゆうパック」の受け付けを中止した。150グラム以上の大サイズを届ける条件で受け付けていたが、不漁に加えて大サンマの割合が小さく確保が困難になったため。すでに受注している分は順次発送する。

 気仙沼魚市場でのサンマ水揚げは、前年を大きく下回る。今月に入ってからは中サイズが中心で、宅配に回す大サイズは1割にも満たない」という。 

どうしてこんなことになったのか。中国や台湾などの漁獲量の増加によってサンマ資源量が減少しているという話しがある(北太平洋サンマ:国際資源保護へ 17年に漁獲可能量算定 毎日新聞 15.9.2)。

 それが気仙沼港水揚げと大さんまの減少に結びついているかどうかは分らないが、その可能性は高そうだ。そうだとすると、「米の時代の終わり」(Japan: End of the rice age,FT.com,15.9.22)とともに目黒のさんまも消滅、「サンマ」が『絶滅寸前季語辞典』(夏井 いつき 筑摩書房)に加えられる日も近いのかもしれない。

  627

 異常気象 エル・ニーニョ 俄かに波立つ世界穀物市場 乱高下時代再来?超円安で食料危機も

 潤沢な供給で落着きを見せていた世界穀物市場が俄かに波乱の様相を呈してきた。

 米国中西部と大平原地帯(小麦主産地)は雨続きで穀物の品質低下や播種の遅れ・生育不良の恐れが出てきた。カナダやフランスはシーズン異例の雨不足で土地が乾ききっている。オーストラリアの小麦収穫量はエル・ニーニョのおかげでこの8年来で最低になる恐れがあるという予想もある(Special Report - Impact of El Nino on State Wheat Yields,National Australia Bank.

  天候要因による供給不安が俄かに高まったことから、今週のシカゴ穀物市場は大荒れ模様となった。小麦先物価格(715日限)はこの1週間で15%も上がり、今年1月以来の高値となった。トウモロコシもこれに続いて1週間で9%の値上がり、これも4月以来の高値である。大豆も3.2%上がり、2月以来のブッシェル10ドル台に戻った。シカゴだけではない。パリ市場の製粉小麦先物もこの1週間で8.8%の上げ、トウモロコシ、ナタネも3.7%、3.2%上げた。

 エル・ニーニョによる雨不足はアジア諸国、とくにインドの米生産にも多大な影響を与えそうだ。米輸出国に復帰した2011年以来、米の大生産・消費国であるインドの国内米」在庫は減っている。収穫減少は価格上昇に直結する恐れがある。

 どうやら、穀物価格乱高下時代再来の気配がある。超円安にもかかわらず世界価格のそれ以上の低下で危機的状況を免れてきた日本だが、そんな時代は過ぎ去りつつあるのかもしれない。

 参照

 Wheat futures jump on weather worries,FT.com,15.6.27

 Rice market watching Indian monsoon,FT.com,15.6.26

 El Niño threatens more damage across Asia,Business World,15.6.17

 小麦・トウモロコシ・大豆先物相場の推移(農業情報研究所)

 穀物・大豆等先物(期近)価格の長期推(同)

 ヨーロッパ小麦・菜種先物相場の推移(同) 

2014

 12月 9日

  豪小麦輸出が5年来の最低に それでも世界的増産で世界価格は下がる 円安日本だけが価格高騰の恐れ

  オーストラリア農業・資源経済科学局((ABARES)が129日、干ばつによる減収のために2014-15年(14.7-156月)のオーストラリアの小麦輸出は2010年後の5年間で最低レベルになるだろうと発表した。平均単収が16%減少することから、小麦生産量は14%減って2300万トンにまで減る。2013-14年産の小麦が未だ輸出できるために輸出は7%減にとどまるが、それでも2010-11年を若干下まわる1700万トンに減りそうだという。

 ただ、世界全体の小麦生産は、主にEUと黒海地域(ロシア、ウクライナ、カザフスタン)での増加によって前年度を1%ほど上まわる71800万トンになりそうだ。他方、消費は2%増の71100万トンと予想され、小麦価格は下がるだろう。世界価格の指標となる価格(US no. 2 hard red winter, fob Gulf)は、2013-14年のトン317ドルから285ドルに10%ほど下がるという。

 Agricultural Commodities: December quarter 2014,abares,14.12.9

 ただし、日本の輸入小麦価格はそうはいかない。今年6月までの1年間の円/ドル為替レートは99-101円程度に安定していた。それが今や120円にもなっている。仮に前年のトン317ドルの輸出価格を1ドル100円で円換算すると31700円、予想される2014-15年の285ドルを1ドル120円で円換算すれば34200円だ。日本で消費される小麦の大部分を占める輸入小麦の価格は世界価格下落の恩恵を受けるどころか、10%近く上がってしまう恐れがある。

 世界的に食料価格が安定に向かうなか、日本だけ食料品価格高騰の異常事態が続くことになりそうだ。アベノミクス万歳!

 724

  フィリピン 台風で稲に大損害 再び米の大輸入国に 歓迎の供給国―ベトナム、タイにもエルニーニョの影

 先週の台風9号がフィリピンの稲作に大きな被害をもたらした。米生産の損害は5万㌧に上ると見られ、今年の収穫は9月まで始まらない。薄い国内在庫を補うために、来月には50万トンの追加輸入入札を募るということだ。米自給目標を掲げて輸入を徐々に減らしてきたフィリピンも、2013年末までに自給を達成するという目標を既に放棄せざるを得なくなっている。今年は再び世界第三の輸入国に転じ、輸入量はこの4年間で最高の200万トンに達しようという。

 新たな追加入札をベトナムは歓迎している。フィリピン、マレーシア、中国の旺盛な輸入需要を受け、ベトナムの5%破砕米価格は過去21ヵ月で最高のトン445460ドルに跳ねあがった。25%破砕米も1週間前の380390ドルから400420ドルに上がった。ただし、価格が上がりすぎると、ベトナムは8月の入札に失敗する恐れがある。今年のベトナムの米生産にはエルニーニョの影が付きまとい、またタイが大量の政府在庫の販売を始めるだろう。

 Crop losses force gov’t to increase rice imports,Business World,14.7.24

 とはいえ、そのタイの在庫の多くは、長期の貯蔵のために倉庫の中でゴミと化している恐れがある。干ばつと価格保証制度(担保融資制度)の廃止でd、今年のタイの米収穫量は大きく減るだろうとも見られている。自然災害に発する本格的な米不足時代の当来も近いのかもしれない。

 Thai rice yield to hit 5-year low ,Bangkok Post,14.7.23
 Pledged rice turns to dust in Chachoengsao,Bangkok Post,14.7.22

718

  韓国 来年1月に米輸入関税化スタート 輸入制限を続けるのはフィリピンのみに

 韓国農業・食料・農村省が718日、農民団体が自由化の始まりと猛反対する中、輸入数量規制を取り払い・関税を払えば輸入が許される米輸入の「関税化」措置をを201511日にスタートさせると発表した。これにより、米に関してはフィリピンだけがミニマム・アクセスを受け入れながら輸入数量規制を続ける唯一の国になる。フィリピンは今年6月、WTO交渉で2012年に期限切れとなるはずだった輸入制限を2017年まで延長することを許されたている。その代わり、ベトナム、タイからはそれぞれ293100トン、中国、インド、パキスタンからそれぞれ5万トン、オーストラリアから15000トン、エルサルバドルから4万トンのミニマム・アクセス米を受け入れること、バター、チーズなどの関税も引き下げることも約束させられた。

 Farmers slam gov't decision to open up rice market,Yonhap,14.7.18

 韓国政府「高率関税でコメ保護」農民「関税率法に明示を」(1) 中央日報 14.7.18

 韓国政府「高率関税でコメ保護」農民「関税率法に明示を」(2) 中央日報 14.7.18

 Rice import restrictions to be eased,Business World,14.6.28

26

 中国 タイ政府との120万トン米輸入契約を廃棄 米農家補助をめぐる汚職疑惑で

 「米担保融資制度」がもたらす高米価→輸出低迷で政府倉庫にたまり続ける米を何とか売りさばこうと、インラック政府は昨年11月、120万トンの米を輸出するという中国政府との政府間協定に調印した。しかし、その際、輸出額、つまり輸出価格は開示されなかった。この契約により、「米担保融資制度」のための巨額の財政負担がどれほど減るのか、なにか不透明なところがある。とうとう国家腐敗防止委員会の「米担保融資制度」に関する調査が始まった。国有タイ銀行も、この制度の運用に必要なさらなる資金の提供を拒否した。中国は、こんな国とはもうやってられないと、契約を廃棄してしまった。追い詰めらたインラック政府へのさらなる痛撃だ。何時収まるとも知れぬ政治危機の最中、「米担保融資制度」めぐる混迷も深まるばかりである。政府倉庫に収めた米の代金の支払いも銀行の融資拒否で遅れるばかり、農民ももうやってられないと抗議行動も広がるばかりだ。

 China cancels rice deal,Bangkok Post,14.2.5
 Farmers: Mass rally Bangkok Feb 6,Bangkok Post,14.2.5
 Kanchanaburi farmers blocking road,Bangkok Post,14.2.5
 Farmers plan mass rally in Bangkok,Bangkok Post,14.2.5
 
Anti-graft agency to probe Yingluck over rice scheme,BangKok Post,14.1.29

  関連情報

 タイ米産業が大苦戦 米価暴落でも輸出競争に勝てず まして日本が・・・,13.11.11
 タイ政府 米価切り下げはやめた 輸出目標は大風呂敷 どこかの政府・与党と似たり寄ったり,13.7.
 タイ政府 保証米価引き下げ 財政破綻を回避し、輸出競争力を取り戻す,13.6.20

130

 米国新農業法 下院を通過 フードスタンプ援助の大幅削減回避で最終採択の道

 米議会下院が29日、今後5年間の連邦農業支出の大枠を定める新農業法案を採択した。新農業法案は、農業者に対する直接支払(過去の作付作物と作付面積を基準とする年々の固定支払)の廃止、各種環境保全プログラムの修正と整理統合、農産物プログラム(価格変動対応支払など)の微調整、そして低所得家庭のための食料援助(フードスタンプ)支出の削減を通じて、今後10年の連邦支出を160億ドル削減すると推定される。

 下院は昨年、フードスタンプを400億ドル削減する法案を採択、これが40億ドルの削減にとどめた上院との決定的対立を招き、昨年期限切れを迎えた2008年農業法の更新ができない異常事態が続いてきた。今回、下院もフードスタンプの巨額削減を主張する保守派議員の反対を押し切り、削減幅を80億ドルにとどめる法案を251166で採択した。農業法不在の事態は何としても避けたいという動機が働いたのだろう。これで新農業法が最終的に採択される見通しとなった。上院は明日にも投票するという。

 ただし、削減幅は圧縮されたとはいえ、フードスタンプ支出削減の大都市貧困層に対する重大な影響は避けられそうにない。ニュ―ヨーク・シティのフードバンクCEO、マーガレット・パービスは今週、この変化は、「いまや厳しい寒さが続く冬の数ヵ月、家の暖房を取るか、食料を購入するかの選択を余儀なくされているニューヨークの30万の家族に影響を与えるだろう。チャリティではこの削減を埋め合わせることはできない」と語ったそうである。

 Farm bill passes House, heads to Senate for final approval,The Washington Post,14.1.30
 Editorial: This farm bill deserves a veto
,The Washington Post,14.1.30
 Editorial:The Farm Bill Could Have Been Worse,The New York Times,14.1.30
 US farm bill to cut $23bn clears impasse,FT.com,14.1.30

 関連情報
 米議会下院 予算半減フードスタンプ法案を採択 10月からの農業法不在は決定的 TPPどころでないはずだが・・・(今日の話題)(今日の話題),13.9.20
 

2013

920

 気候変動によるケニアの穀倉移動を予測する新研究 

 国際食料政策研究所(IFPRI)と東・中央アフリカ農業研究強化協会による新たな報告・「東アフリカ農業と気候変動」によると、気候変動によってケニアの穀倉地帯が大きく移動する。国最大のトウモロコシ産地であったリフトバレーの一部では、気温上昇でトウモロコシ栽培は不可能になる。沿岸地域のトウモロコシ収量も25%ほど減る。他方、降水量の増加で、従来は乾燥のためにトウモロコシ栽培ができなかった乾燥・半乾燥地域の一部がトウモロコシ栽培可能地となる。小麦については、従来の産地であるケニア山・エルゴン山傾斜地での収量が減り、ナクル近辺地域、リフトバレー州の高地地域で増える。

 報告は、「すべてのモデルは、以前トウモロコシを栽培できなかった地域での収量増加を予測する。これらは乾燥がひどく、トウモロコシ生産が成功しなかった地域である。新たにトウモロコシ栽培が可能になる地域があり、政策メーカーは将来の何時か、これら地域でのトウモロコシ栽培を勧奨することが重要だ」と言う。

 In Kenya, climate change to create new breadbaskets,IRIN,13.9.18
 
Report: Climate change to shift Kenyas breadbaskets,IFPRI,13.9.16

918

  アイルランド 畜産農家がスーパーの外で値下げに抗議 今なお続く欧州畜産危機 

 メーヌースのテスコ等三つのスーパーの外で100人を超える農民が値下げに対する抗議行動。抗議には近隣諸国の牛・羊農民も加わった。アイルランド農民協会会長は、食肉加工業者とスーパーは相次ぐ値下げで畜産農家を踏み台に儲けている

 最近の牛肉価格切り下げは農民の激怒を呼んだ。農民は、加工業者は小売業者と結託して生産者支払価格を押し下げていると見る。6月にはキロ4.50ポンドだった牛価格は今週は4ポンドにまで下がった。しかるに、英国農民は5ポンドを受け取っているという。

 しかし、加工業者の代表は、アイルランドの牛価格はEU平均価格よりなお5%も高く、頼みのこれでは輸出が続かない、農民は経済不況と食肉価格上昇がもたらす需要・消費への圧力を受け入れねばならないと言う。

530

 インドネシア オーストラリアでの牛繁殖用農地100万㌶の買収を承認 止まらぬ食のグローバル化

 インドネシ政府がオーストラリアで100万㌶に上る牛繁殖農地の買収を承認した。牛肉の供給が需要に追いつかないために、牛肉価格は昨年、記録的に高騰した。その原因はオーストラリアその他の国からの輸入を制限する自給政策に帰せられている。値下げのために、一部輸入制限を2013年末まで緩和したが、国内生産は国内消費の増加に追いつけず、問題は解決しない。そこで政府が打ち出した恒久解決策がオーストラリア農地買収計画の承認だ。

 オーストラリアでなら安上がりの繁殖ができる。生まれた牛を持ち帰り、国内で肥育するという。

 ただ、適当な土地が見つかっても、買収はオーストラリア外国投資審査委員会の承認を経なければならない。 

 Indonesia approves plan to buy a million hectares of Australian farmland,ABC rural news,13.9.12

 世界、とりわけアジアでの牛肉消費増加―食のグローバル化が止まらない。肉食をやめれば新たに40億人を養える、牛肉はエネルギー・栄養効率が最も低いというのにだ(肉食とバイオ燃料をやめれば新たに40億人を養える ミネソタ大学の新研究)。

530

  中国最大の豚肉生産者であるShuanghui Internationalが世界最大の豚肉生産者である米国のスミスフィールド を47億ドルで買い取ると申し出た。これにより中国中産階層の食欲を満たすとともに、政府の食品安全の確保の要請にも応えるのだという。買収実現には米国政府の承認が必要だが、同社には米国での操業実績がないから、反トラストや国家安全保障への脅威を根拠に買収を阻止するのは難しいという。スミスフィールドも褒められたものではないが、工場畜産の巨大化がますます進むだろう。環境、食品安全、脅威は増すばかりではなかろうか。

  Smithfield Foods to be bought by Chinese firm Shuanghui International,The Washington Post,5.30
 Shuanghui agrees $4.7bn Smithfield deal,FT.com,5.30

329

 米国トウモロコシ作付面積 77年来最高に 食料価格安定・安定確保にはつながらず(シカゴ商品取引所小麦・トウモロコシ・大豆先物 相場の推移のコメントより)

 USDA28日、今季の米国のトウモロコシ作付面積が昨季の97155千エーカー(3886万㌶)より増えて97282千エーカー(3891万㌶)、この77年来の最高になるだろうと発表した。これを受けてトウモロコシ先物はストップ安の暴落となった。

 とはいえ、1年前のレベルに比べれば、なおブッシェル1ドル(20%)ほど高い。気象当局は今年も昨年並みの干ばつ、あるいは大洪水の可能性を指摘しており、面積拡大は必ずしも収穫増加に結びつかないだろう。その上、トウモロコシや大豆の拡大は、その生産や環境の長期的持続可能性も脅かす。

 バイオ燃料原料と蛋白源の世界的需要増大がもたらした最近の価格高騰に伴うコーンベルトのトウモロコシと大豆の作付拡大は草地を犠牲とするものだった。コーンベルト西部、ノースダコタ、サウスダコタ、ネブラスカ、ミネソタ、アイオワを含む5州における草地転換を評価するサウスダコタ州立大学研究者の最近の研究によれば、20062011年における草地の純減は53万㌶に達していた。トウモロコシ・大豆生産は浸食のリスクが高く、また干ばつに弱い限界地に拡大している。さらに、草地転換は湿地に近接する場所に集中しており、プレーリー・ポットホール地域で繁殖する水鳥も脅かすという。

 Grassland conversion in the Western Corn Belt [Sustainability Science],PNAS,3.6

 トウモロコシ・大豆作付の歴史的拡大は、食料の価格安定や安定確保を保証するものではなく、アマゾンや東南アジアの熱帯雨林の破壊にも似た環境損傷(規模では比較にならないが)をもたらしかねないと知るべきである。

 

131

 日本の食料品価格急騰は必至?

  アベノミックスへの期待感を背景に、急激な円安が起きている。自動車産業など輸出産業は大歓迎だろうが、輸入依存の燃料や食料価格の高騰は必至、庶民の生活は苦しくなるばかりだろう。2007年以来の穀物等主要農産品国際価格の高騰にもかかわらず、日本に限って食料インフレをまぬかれていたのは、ひとえに、同時並行的に進んだ円高のためであった(下図参照)。しかし、円高から円安に転じた今も、穀物等国際価格は高止まりしたままだ。日本の食料品価格は、多くの庶民の飢餓や栄養不足をもたらすほどに、あるいは安価なファストフードへの過剰依存で肥満病を促すほどに高騰する恐れがある。

112

 世界で生産される食料の半分が捨てられている 食料生産のためのエネルギーもと土地も水も無駄使い

  英国の機械エンジニア研究所(the Institution of Mechanical Engineers)の新たなリポート*によると、世界で1年間に生産される食料の半分に相当する20億トンの食料が毎年捨てられている。このリポートは、エネルギー、土地、水の浪費にも着目する。人間が毎年消費する水の量は3.8兆㎥で、うち70%が農業部門で消費されるが、消費者の胃袋にまで達しない作物の生産に無駄使いされる水の量は5500万㎥にもなる。2050年の食料需要を満たすために必要な水は10-13.5兆㎥と現在の3倍になる。肉1kgを生産するためには520020000リットルの水が要るが、小麦1kgの生産は5004000リットルで済む。どうしたらいいか、リポートを見ながらお考えを。

  *http://www.imeche.org/Libraries/News/Global_Food_Waste_Not_Want_Not.sflb.ashx

 ちなみに、このリポートによる食料生産に必要な水の量は→https://docs.google.com/spreadsheet/ccc?key=0AonYZs4MzlZbdHhRc245WXVsMGw4STVCaXgyelJ6SGc#gid=0