農業情報研究所


米国アリゾナ:温暖化、健康被害は甚大

農業情報研究所(WAPIC)

01.10.1

 米国では「社会的責任を負う医師」(PSR、Physicians for Social Resposiblity)と呼ばれる全国組織があるが、この組織は、今までにいくつかの州における温暖化の健康影響評価に関するレポートを作成している。

 このほど発表された乾燥地・アリゾナに関するレポートは、この地域における温暖化の健康影響がほとんど破滅的なものであることを喚起している。

 ある専門家は、今世紀の間に気温は華氏8度(4.4℃)から15度(8.3℃)上昇すると予想している。7月のフェニックスの気温は、現在の華氏110度(43℃)から135度(57℃)にまで上昇するともいう。アリゾナには温暖な気候を求めて引退高齢者が集っており、2025年には65歳以上の人口が25%から40%に達するであろうと予測される。気温上昇は、特にこれら高齢者の健康を脅かす。

 温暖化は豪雨と洪水を増すと予測される。ほとんど1年中乾いている川床に一気に大量の水が流れ出すアリゾナのような乾燥気候地域での洪水は非常に危険である。洪水により、大量の天候関連死者が出ることになろう。

 豪雨と致死的な出血熱を引き起こすハンタウィルスを運ぶネズミの増加に関連があると考える科学者もいる。

 大気汚染も増し、喘息やその他の呼吸器病の増大も予想される。オゾン関連の健康問題も懸念される。

 これらはあくまでも予測にすぎないが、報告作成者の意図は、アリゾナ住民に温暖化による健康被害を警告し、また米国人に対し温暖化ガス排出の削減を勧めようとするところにある。

 温暖化のために人類は来世紀まで生き延びられないであろうというホーキング博士の予測はともかく、アリゾナに限っていえば、ここに住む人々が生き延びるのは容易なことではなかろう。

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