農業情報研究所


国連環境計画:気候変動で熱帯地域の重要作物収量が激減、数十億人が飢餓と餓死に直面の予想

農業情報研究所(WAPIC)

01.11.10

 国連環境計画(UNEP)が、マラケシュでの地球温暖化防止条約第7回締約国会議(COP7)を前に、フィリピン・マニラの国際稲研究所(IRRI)とノルウェーのUNEP共同研究センター・GRID Arendalの新たな研究に基づき、気候変動が熱帯地域の作物収量を激減させ、数十億人が飢餓と餓死に直面する恐れがあるというプレス・リリースを発表した(Climate Change: Billions Across The Tropics Face Hunger And Starvation As Big Drop In Crop Yields Forecast ,01.11.8)。

 それによると、気温上昇はコメ・トウモロコシ・小麦のような死活的に重要な作物の開花・結実能力を損ない、気温が1℃上昇するごとに収量は10%減少する。熱帯地域の平均気温は2001年までに3度上昇するという気候変動政府間パネルの予想に従えば、これら地域の重要作物の収量は30%も減ることになる。熱帯地域全体の数十億の人々がこれらの作物に依存して生きており、温暖化ガスが削減されないかぎり、これらの人々が「厳しい飢餓と栄養不良」に直面することになる。

 他方、熱帯地域の中心的な現金作物であり、経済的に極めて重要なコーヒーと茶も気温上昇にもろい。科学者は、農民が低温を求めて山岳地域にのぼり、傷つき易い森林に圧力をかけ、野生生物と水供給の質・量を脅かすことを恐れている。

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