台湾の台風被害拡大、農業委員会が山地の農業開発規制強化へ

農業情報研究所(WAPIC)

04.7.7

 昨日報じた台湾中・南部の台風(Mindulle)被害がさらに拡大している。昨日までに死者は26人、行方不明者が13人に達した。中央気象局は、豪雨、強風、雷雨は、なお9日まで続くと発表した(Five bodies found, more rain to come,The Taipei Times,7.7)。

 昨日午後までに2,177人が救出され、中南部の122の主要道路のうち78が20台湾億ドルをかけて復旧したが、台中県ではなお18億台湾ドルをかけた復旧工事が必要という。県の1,600の住民が公共避難所に避難しているが、山間地域では数百人が孤立したままになっている。農業委員会(COA)は、作物・施設の損壊を含めた農業被害額は57億5千億台湾ドル(約190億円)に改めた。

 この被害は、山岳地域の農業開発の見直しにつながるかもしれない。COAの李金龍委員長は、山岳地域における野菜、果実、茶などの農業開発を一層厳格に規制すると語った。「台湾の山岳地域は数十年にわたり開発されてきた。いまやその対価を支払うときだ」、国の第二の衛星・ROCSAT-2が遠隔山岳地域の生態系を破壊する違法活動を突き止めるのに役立つと言う。今回のような激甚被害は前代未聞のものであるが、今後も避けられないと見て、長期的対応策を模索し始めたのだろう。

 台風は東南アジアから日本を含む東アジアでは普通のことだが、英国のベンフィールド・ハザード研究センターの気候学者・アダム・リーは、Mindulleは台湾の海岸線に直接沿って進んだために、このような激しい雨をもたらしたと見ている。だが、センターの実施したシミュレーションは、台風シーズンの一層のトラブルを示唆していると言う(Worst floods for 25 years hit Taiwan,New Scientist.com,7.4)。通常よりも暖かい中部太平洋の温度が一層激烈な台風を発生させると予想される。ピーク時のMindulleが生む強風は時速117kmに達したが、それまでに既に中国南岸に暴風雨をもたらしていたという。日本も、これまでのような備えでは台風への適切な対応が不可能になるかもしれない。

 この台風とは別であるが、この2日の間に、中国でも悪天候による甚大が被害が生じている。山地の豪雨、強風、雷雨のために、雲南、広東、陝西、チベット、広西自治区で少なくとも17人が死亡したと報じられている(17 killed in mudslides, cyclones and lightning,China Daily,7.7,2:10)。