新潟荒沢岳、温暖化が促す雪渓崩壊で3人が生き埋め

農業情報研究所(WAPIC)

04.8.2

 新潟湯之谷村の荒沢岳の雪渓が1日午前11時過ぎに崩壊、雪渓の撮影をするために訪れていた写真愛好家3人が生き埋めになったという。この高地の当時の気温は35℃を超えていた。高温が例年より早い雪融けを促し、崩壊につながったと見られる。

 筆者もかつてはよく山に登り、近年も岩魚釣りで方々の山や沢を歩いてきた。銀山平から見た荒沢岳の山容はいつまで経っても忘れられない魅力的なものだった。崇高というか、孤高というしか適当な表現が浮かばない。それだけに、また名前のとおり、人の接近を容易に許さない。だが、温暖化はこのような山も容赦なく襲う。スイスでも今年は例年になく山岳事故が多いと聞く。世界中で万年雪、氷河が消えつつある。それは、水の安定的供給を不能にし、やがては旱魃を招き、雪融け水を集めた山岳高地の湖の崩壊による大災害を引き起こす恐れも指摘されてきた。

 今回の事故は、温暖化がもたらす災害のほんの一面にすぎないが、荒沢岳の威容が目に焼き付いている筆者、ひとつの記念碑的出来事として記録にとどめておきたい。