韓国 温暖化でリンゴ栽培消滅の予測 コメは減収 生態系に激変の兆候

農業情報研究所(WAPIC)

05.5.18

 The Korea Times”紙が地球温暖化の農業・生態系に対する韓国の諸研究を伝えている(http://times.hankooki.com/lpage/nation/200505/kt2005051721202311990.htm)。もし温暖化が続けば、100年後の韓国ではすべての農民がリンゴを栽培できなくなるという。農林省によると、年平均気温が2℃上昇すると、韓国にはリンゴを栽培できる土地はなくなる。過去100年の韓国の平均気温上昇は世界の平均:0.6℃を上回るものであったが、温暖化傾向が今後100年に同じペースで進むと、少数の山岳地域を除き、リンゴはほとんどの地域で栽培不能になる。リンゴ栽培は年平均気温が13.5℃を超えると不可能になる。

 他方、イネが栽培できる地域は拡大する。しかし、農業科学技術研究所(NLAST)の研究者によると、栽培面積増加は必ずしも生産量増加につながらない。イネには登熟の適温があり、過去同様のペースで温暖化が続くと、生産量は20−30%減少する。さらに、病気や有害昆虫による損害も栽培を妨げる。

 温暖化は植物・動物相にも影響を与えてきたし、これは今後も続くと予想される。

 3月から4月にかけて南部や一部島嶼の亜熱帯気候の下でしか開花しないツバキが、先月、ソウルで開花した。

 韓国森林研究所によると、66年から04年の間に、調査された35種の花のうち29種の開花期が早まった。この期間に、29種の開花日数が減少した。開花期間の変化は昆虫の食料発見を困難にしてきた。雪岳山の蝶が減る一方、南部の有害昆虫が中部に進出、植物相に打撃を与えた。また、花は実をつけるための花粉の拡散で昆虫の助けが得られなくなるだろう。

 世界で唯一の生息地が南部の山岳地域である韓国モミは絶滅に直面している。日本海(韓国はEast Seaと呼ぶ)の魚の生態系も変化、寒流に住むスケソウの漁獲量は、80年から04年の間に17万トンから64トンにまで減った(最近の英国の研究は、北海の魚が冷たい水を求めて数マイル北上していることを明らかにしている⇒North Sea fish on the move to cooler waters,The Guardian,5.13)。江原のNamdaechon川に帰る鮭も、日本海の温度が1−2℃上がったために、10の1になった。

 さらに、温暖化は生態系の連鎖反応の引き金になる。開花期の変化は昆虫のライフサイクルを変え、それは小鳥の生活を脅かすという。