中国の水田の4分の1に病害虫被害 年々増えるバッタの大発生

農業情報研究所(WAPIC)

05.8.18

 xinhua.netが伝えるところによると、中国の水田が病害虫の大発生に襲われている。今年7月20日までに、南部の13の主要稲作地域で3130万haの水田に被害が広がっている(Rice farmland under pest attack,xinhua.net,8.17;http://news.xinhuanet.com/english/2005-08/16/content_3363237.htm)。

 この面積は中国の総耕地面積の4分の1にも相当する。中国農業部は、地方政府に対し、病害虫と闘うために予防・防除措置を強化し、秋の収穫を確保するように要請した、貴州で具体的措置を編み出すための会合を開くという。

 農業部は今年5月、今年は200万haの農地と2500万haの草地がバッタに襲われると警告していた。今月12日付けのxinhua.netの報道は、海南省の臨高県の多くの農地がバッタの大群に襲われていると報じてい た(Locusts plague hits Hainan,xinhua.net,8.12;http://news.xinhuanet.com/english/2005-08/12/content_3345342.htm)。

 この報道によると、この県の53.3haの苗が食べられてしまい、サトウキビの畑もバッタに襲われている。バッタに襲われているのはここだけではなく、被害は他の16の県や市の14万6700haの農地に広がっている。バッタの被害は過去20年で最も深刻で、ひどいところではバッタの密度は1uあたり500匹に達している。バッタの半分は”東アジア渡りバッタ”と確認された。

 このバッタは、乾いた水田から耕作されない傾斜地やサトウキビ畑まで広がる。このバッタは1960年代に初めて海南島に入ったが、環境の悪化により大発生が近年ますます増えている。昨年の深刻な干ばつで多くのサトウキビ畑が干上がったが、それが今年の大発生につながったという。

 気候変動により、干ばつはますます頻度と厳しさを増すだろう。それとともに、害虫の大発生の機会も増える。昨年、干ばつと砂漠バッタによる大被害を蒙った西アフリカは、今や厳しい食糧不足に陥っている。最も深刻なニジェールからは、多くの子供が死に瀕し、死につつあるという悲惨な情報が頻々と届く。中国だけではない。国際社会は、この問題に対処できるのだろうか。