ブラジルアマゾン 記憶にない干ばつ 米国を襲う強大なハリケーンと直接関連

農業情報研究所(WAPIC)

05.10.3

 米国湾岸を襲っている強大なハリケーンと直接関連して、アマゾンが記憶にない干ばつに直面しているらしい。英国・ガーディアン紙が伝えるところによると、アマゾン河に注ぐ大支流のソリモエス河やマデイラ河の流域の今年の降水量は異常に少なく、水位は記録的に下がっている。降水の劇的な減少の理由について、アマゾン保護機関(Sipam)は、「大気が下降し、雲の形成を妨げているために雨がない。大気は北大西洋で非常に激しく上昇し、暴風やハリケーンを作り出しているから、ここでは大気が下降している」と言っているという。

  Amazon dries out as worst ever drought hits rainforest,The Gurdian,10.1
  http://www.guardian.co.uk/international/story/0,3604,1582355,00.html

 この報道によると、河や湖水が干上がって巨大な砂州が出現、船の航行が困難になっている。多くの町には辿りつくには河を通らねばならないから、一部の地域では医薬品、食料、燃料が尽きつつある。

 国立宇宙研究所のGilvan Sampaio氏は、「北大西洋がいつもより幾文暑くなり、熱帯天候システムが北に移動した」、副次的要因は、この時期、通常はブラジル南部からくる寒冷前線がやって来なかったことで、「これら寒冷前線は、アマゾンに向けて北上せず、直接海洋に向かっている」と言う。

 この時期に南・西アマゾンの河川の水位が低いのは通例であるとはいえ、そのスケールは通例以上で、以前は影響がなかった地域にも影響が及んでいる。西アマゾン水路管理局長のElpidio Gomes da Silva Filhoは、「この60年で最悪、マデイラ沿いの旅には普通6日かかるが、今は小さな船しか通れないから15日かかる」と言う。

 マナウスから南に400マイル、マデイラ河沿いのウマイタなどの町では、青草の茂る景観が一変、町議会議長は、「わが町の真ん中にビーチが生まれた。水位が10m以下に下がるのは見たことがなかったが、今は2mしかない。我々の歴史上で最大の干ばつだ」と言う。マナウスから西へ600マイルのコロンビアとの国境にあるタバチンガでは、今年の降水は昨年よりも70%も少ない。

 先週発表されたSipamの四季報によると、干ばつは10月まで続き、特にアマゾン南部で厳しいという。ハリケーンの強大化と人間が作り出した気候変動との関連性は濃厚な疑いがあるが、なお科学者のコンセンサスは得ていない。それでも、今後しばらくは、この傾向が続くと覚悟せねばならないだろう。

 ただ、ブラジルでも、地域によっては農業生産に影響を及ぼすほどの大雨に襲われている。政府統計局(IBGE)の最新の推定では、今季の穀物生産は昨年よりも600万トン(5.23%)減少する。様々な農業生産地域での降水過剰か、降水の不足のどちらかのためだという(This year's harvest will be down 5.23%,Agencia Brazil,9.23