気候変動 人間活動原因説に世界科学者のコンセンサスーIPCC最新報告案

農業情報研究所(WAPIC)

06.3.4

 英国・BBC Newsが、来月各国政府に送られる国際気候変動パネル(IPCC)の最新報告案について、「気候変動に関するコンセンサスが育つ」と伝えている。海氷、氷河、干ばつ、洪水、生態系、海洋の酸性化、野生動物の移住が同時的に起きている。IPCCは、以前、これは「”多分”、二酸化炭素のようなガスが原因だと言っていた」が、「気候変動に関する世界的科学機関[つまりIPCC]が、異常な天候パターンを説明できるのは温室効果ガスの排出だけだと間もなく報告するだろう」という。一部科学者は、現在の気候変動は何らかの”自然要因”に起因するもので、人間の活動が生み出した温室効果ガスによるものとは言えないと唱えている。しかし、IPCCの新報告は、世界の科学界の大勢がますます人間活動原因説に傾いていることを示すということだ。

 Consensus grows on climate change,BBC news,3.1
  http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/4761804.stm

 一消息筋はBBCに対し、「地球のすべての部分での自然界からの測定値は、過去10年の間に変則的だった」、「地球は自然に変動するから、僅かな部分が変調であるとすればそれほど心配することはない。しかし、事実上すべてが異常であるという事実は、我々を非常に心配させる」と語ったという。

 この消息筋によると、新たな報告は、大気中の温室効果ガスの濃度が倍になると、気温が2℃から4.5℃、あるいは多分それ以上上昇すると予測する。これまでの最新の報告では、これは1.5℃と予測されていた。
 
 しかし、新報告は、世界の気温は今世紀末までに5.8℃上昇する可能性があるとはいえ、上昇の速度と将来の変化の見通しには、なお大きな不確実性が残ると言うことになろう。産業革命以前の安定した二酸化炭素濃度レベル(270ppm)の倍増は今世紀半ばごろの起きると予想される。科学者が真に恐れているのは、この濃度が30%増加しただけなのに、既に大規模な混乱が起きていることだという。

 この記事は、2007年の正式発表までには報告案はなお何回か修正されるだろうし、大きな変更もあり得るが、基本的部分は残る、広範な国際専門家のコンセンサスは、米国政府が気候変動は技術進歩で解決できる問題だと主張することをますます困難にするだろうと言う。ただし、ブッシュが米国大統領にとどまるかぎり、米国が二酸化炭素排出量削減目標の設定に合意することはないだろうとも言う。