アイガー東壁の巨大な岩塊が崩落 温暖化による氷河の融解が誘発?

農業情報研究所(WAPIC)

06.7.14

  13日午後8時前、アルプス・アイガー東壁の40万㎥の巨大な岩が崩れ落ちた。これは、落下の危険があるとされていた岩塊の20%、ニューヨークのエンパイヤーステート・ビルの半分に相当し、残りの岩も間もなく崩れ落ちるだろうという。

 Eiger sheds rock mass,NZZ,7.14
 http://www.nzz.ch/2006/07/14/eng/article6894523.html

 つい先日、チューリッヒ大学の研究者が、夏の気温が21世紀末までに3℃上昇すればーこれは現在の気候変動予測で十分あり得るシナリオだー、アルプスの氷河の80%が溶けてしまうという予測を発表したが、これに関連して、専門家は、氷河は岸壁の支えとして働いているし、氷から溶け出す水が岩の間に浸み込むことで大きな割れ目ができることから、温暖化が岩の大規模な崩落を引き起こす、現在アイガーの200万㎥の岩塊が崩落の脅威にさらされいると警告していた。この予想が、数日後に的中してしまったことになる。

 Final meltdown nears for alpine glaciers,NZZ,7.11
 http://www.nzz.ch/2006/07/10/eng/article6884565.html

 研究者は、とくにヨーロッパアルプスのような人口稠密な高山岳地域では、氷河の融解が水循環、水管理、観光、自然災害に与える影響を直ちに考え始めるべきだと警鐘を鳴らしていたが、温暖化がヨーロッパアルプスにもたらす破滅的影響は既に現実のものとなっているようだ。

 この研究によると、1970年代、約5,150のアルプス氷河が2,909㎢を覆っていたが、この面積は1850年に比べて35%少ない。1970年代以降、氷河の融解が加速、1850年の50%になった。酷暑に見舞われた2003年だけでも、氷の量は5%から10%減少したという。

 我々は既に温暖化の真っ只中にいる。梅雨も明けないのに昨日、今日の猛暑、筆者などは今年の夏だけでも乗り切れるのかと恐れている。灼熱地獄のなか、年寄りや子供は何時まで生き残れるのだろうか。