イングランド南西部 38.5℃を超える史上最高気温の予想 今後は常態化と専門家

農業情報研究所(WAPIC)

06.7.18

  梅雨の最中のわが国が猛烈な暑さに見舞われたばかりだが、英国では今日、それを上回る史上最高の気温が予想されている。ガーディアン紙によると、英国気象庁は、イングランド南西部の気温が2003年8月に記録された最高気温・38.5℃を超える確率は30%と予想した。南西部全体では37℃が予想されるが、一つか二つの場所では39℃に達すると予想される。7月のこの 週の平均最高気温は23℃というから、もはや”異常”などという言葉では表せないほどの異常さだ。気象庁は、弱齢者や高齢者には危険があり得ることを意味するレベル2の”heat health alert”を出したという。

 'UK's hottest day ever' warning,Guardian,7.18
  http://www.guardian.co.uk/uk_news/story/0,,1822841,00.html
 

 ミッドランドでは36℃、北西部では35℃、スコットランドでは31℃など、他の地域でも記録的暑さが予想されている。今後ヨーロッパ大陸からもっと暑い空気が移動してくるから (16日以来、大陸も2003年夏を彷彿させる猛暑に見舞われている。フランス・ボルドーでは38℃で何人かの高齢者が死亡、高地のスイスさえ、ジュネーブ、チューリッヒ、ベルン、ローザンヌ等主要都市の気温は軒並み30℃を超えた)、気温はさらに上昇すると考えられる。気象庁は、原因の一部は、最近数十年にわたる二酸化炭素排出がもたらした地球温暖化にあると見ている。「これは将来の事態のサインだ。今世紀半ばには現在の気温が普通になる」と言う。

 2004年、温室効果ガスの人間による排出で2003年にヨーロッパの2万7000の人々を殺したような記録破りの熱波のリスクが倍に増えることを示した気象庁の専門家であり、オックスフォード大学の科学者であるピーター・スコットは、「我々は2003年型の厚い夏とそれに関連した熱波は毎年は起きないと知っているが、継続する地球温暖化はその機会を増加させるだろう」、2040年までには、二夏に一夏は2003年よりも暑くなると予想されると言う。

 同紙によると、7月、8月の最高気温が35℃を超えたことは、1900年以来7回しかない(1900年:35.1℃、1923年:35.6℃、1932年:36.1℃、1948年:35℃、1976年:35.9℃、1990年:37.1℃、2003年:38.5℃)。

  なお、17日には米国各地も華氏100度(37.7℃)を超える7月としては前例がないという熱波に襲われた。デスバレーの気温は華氏125度(51.7℃)に達したという。まさに灼熱地獄だ。 カナダ・オンタリオでも33℃の猛暑が二日にわたり続いたために電力消費が記録的レベルに達し、州電力管理者が非常事態警報を出した。ミシガン、ニューヨーク、ケベックから電力を輸入することになるという。

 Nation Sweats as Heat Hits Triple Digits,The New York Times,7.18
  http://www.nytimes.com/2006/07/18/us/18sizzle.html
 Ontario swelters; power use nears record,Globe and Mail,7.18
  http://www.theglobeandmail.com/servlet/story/RTGAM.20060718.wxontelectric18/BNStory/National/?cid=al_gam_nletter_newsUp