南極アイスコア 人間活動と地球温暖化の関係を明証 温暖化はもはや不可避
06.9.5
人間活動がもたらす温室効果ガスのレベルの上昇が今世紀の地球温暖化をもたらすという説を疑う一部科学者が未だにいる。彼らは、これらガスの排出削減の努力に背を向ける政策決定者の姿勢の支えとなっている。しかし、このような疑いや姿勢を支え続けることはもはや不可能になるだろう。
4日のブリティッシュ・アソシエイション（BA）科学フェスティバルで、ヨーロッパの科学者たちが、3.2kmの深さまでのドリルで取り出された南極のアイスコアに閉じ込められたガスの分析結果を明らかにした。このアイスコアには、今までの2倍に相当する80万年を遡る時代のガスが閉じ込めれれている。この期間は温暖化と寒冷化の8つの主要サイクルをカバーし、地球の自然の気候リズムを示す。
科学者は、この分析で気温と二酸化炭素・メタンのレベルに”極度の”相関関係があることを示した。二酸化炭素のレベルが変動するときには、常にそれに付随する気候変動が起きた。大気中の二酸化炭素の濃度は、過去80万年の間に180ppmから300ppmの間で自然に変動した。ところが、主として化石燃料を燃やすという人間活動は、この濃度を380ppmに引き上げた。過去の温暖期におけるその最速の増加速度は1000年で30ppmだったが、過去17年だけで30ppm増加している。科学者は過去200年、人間活動は自然の変動の幅をはるかに上回る二酸化炭素の増加をもたらした、次に何が起きるかは明白だと言う。
Deep
ice tells long climate story,BBC,9.4
Ice
bubbles reveal biggest rise in CO2 for 800,000 years,Independent,9.5
Fears
over global warming underlined,FT.com,9.5
余分なガスを吸収する海洋や土壌などの自然の”シンク”に対する期待はある。しかし、これについても、先月末の英国ロイヤル地理学学会の年次会合で、エクセター大学の気候学者・ピーター・コックス教授が、土壌や海洋による二酸化炭素吸収に期待することは温暖化そのものによって現在よりもはるかに難しくなるだろうと述べた。
彼によると、人間が排出する二酸化炭素のおよそ半分が土壌と海洋に吸収されるが、これは地球温暖化とともに減少する。現在二酸化炭素を吸収している自然の”緩衝器”が二酸化炭素のストックを放出して温暖化を加速するようになる。温暖化が温暖化を呼ぶ。モデルは、2050年から2100年の間に土壌から放出される二酸化炭素は1700億トンー30年分の化石燃料消費に相当ーに上ることを示唆し、それだけで地球の平均気温の0.5℃から1.5℃の上昇につながるという。
Soil
reaction may require bigger cuts in emissions,Guardian,9.1
Changing
climate: 'Compost effect' may cause global warming to reach crisis point in 2050,Independent,9.1
フェスティバルで、ノッチンガム大学の持続可能なエネルギー専門家・ピーター・スミス教授は、気候変動はあと15年から20年で後戻りできないところまで進む、クリーンエネルギーを生み出すための新たな技術を開発し、実施するための時間は10年しかないと言う。
Climate change will reach point of no return in 20 years, says expert,Guardian,9.5
フランセス・ケーンクロスBA会長は、気候変動は不可避だ、温暖化する将来への社会の適応を助ける政策が絶対に必要だと述べた。彼女は最高の技術も気候変動を止めることはできない、京都議定書を通しての排出削減の試みも機能しないだろう、気候変動が今進行中であることは疑いなく、何をしても温室効果ガス濃度は上昇を続けるだろうと言う。
最大の影響を受けるのは途上国であるとはいえ、英国政府も、今適応政策を開発し、実施すべきである、諸国は新たな作物の開発、洪水防止施設の建設、海面レベルに近いところでの建築の禁止などの措置を考えよと要請する。しかし、それも、とりわけ途上国にとっては遠い道だ（Development versus climate change in India,SciDev,8.31）。
Focus
on climate adaptation urged ,BBC,9.4
Adapt
to climate change, world leaders warned,Independent,9.4