オーストラリアの米、過去最高の価格保証 干ばつが迫る米産地移動

農業情報研究所(WAPIC)

06.10.9

   オーストラリアの米のほとんどすべてを扱うサンライス(SunRice)社が、今夏の収穫米1トンにつき320ドルの最低価格を保証した。過去にない高価格で、しかも収穫前に価格を保証するのは初めてのことだ。厳しい干ばつで作付けが大きく減少すると予想されるなか、海外市場への供給を確保し、また地域で800人の雇用するための措置という。

   国の米主産地であるマレー・ダーリング流域(ニュー・サウス・ウェールズ州)の米栽培農家は、極端な干ばつで必要な水の配分を受けられないでいる。マレー川とマランビジー川の間のオーストラリアの米が冷涼な夜間を生き残るためには30cmの水深を保つ水が必要になる。ところが、マレー川流域の米農家への水配分はゼロ、マランビジー川流域米農家も水利権の17%しか配分されていない。両地域の農家は、今年に繰り越すことができる昨年の水割当の節約分だけが頼りだ。

 オーストラリア農業資源経済局(ABARE)は9月19日、今年の米生産は昨年を40%下回ると予想した。翌日、ニュー・サウス・ウェールズ州一次産業省は、米作付面積は昨年の20%から30%にとどまると、予測をさらに下方修正した。

 同社の前例のないこの試みは、米農家に米栽培を促し、大量の水を使う作物をこの流域から追い出すキャンペーンに対抗するものという。ニュー・サウス・ウェールズ州の一上院議員は、米のような大量の水を要する作物の栽培者は、気候変動の時代にはここでは成功できないから北を目指すべきだという言う。彼によると、国の4.2%の流水を持つマレー・ダーリングに農業活動の70%が集中している、すべの農民が死に絶えるのを防ごうとすれば、彼らに新たな機会を提供せねばならず、その機会はオーストラリア北部にある。

 世界野生動物基金(WWF)の政策アドバイザーは、水価格がその真の価格に従って設定されれば、大量の水を要する米栽培が経済的でなくなるだろうと言っている。米栽培には1haあたり1240万リットルの水が必要だが、ワタでは670万リットル、牧草では390万リットルで済むという。

 Drought sparks guaranteed rice payment,ABC News Online,10.5
  http://abc.net.au/news/newsitems/200610/s1756098.htm
  Record rice price but paddy fields are dry,The Sydney Morning Herald,10.6
 http://www.smh.com.au/news/national/record-rice-price-but-paddy-fields-are-dry/2006/10/05/1159641464913.html