欧州市民 温暖化抑制のために生活スタイル変更の用意 原発新設への支持は少ない

農業情報研究所(WAPIC)

06.11.20

  圧倒的多数のヨーロッパ市民は人間活動が地球温暖化をもたらしていると確信し、これと戦うために自身の生活スタイルに対する制限を受け入れる用意がある。フィナンシャル・タイムズ紙のためにハリス・インタラクティブがドイツ、フランス、英国、イタリア、スペインで今月行った世論調査でこのような結果が出たという。

 Europeans ‘would accept climate change curbs,FT.com,11.19
 http://www.ft.com/cms/s/af264dbe-77f6-11db-be09-0000779e2340.html
  or
  Europeans ‘would accept climate change curbs,Financial Times,11.20,p.2

 この世論調査によると、86%の人々が人間が気候変動に寄与しており、45%の人々は気候変動が、彼らの生涯の間に、彼らと彼らの家族の脅威になると信じている。しかし、温暖化を抑制するための追加的な金銭負担をするよりも、生活スタイルを変えることの方を望んでいる。

 3分の2以上ー68%ーの人々は、温暖化の脅威を減らすために、多少なりとも行動に対する制限を支持している。他方、飛行機利用者に環境損傷を償う費用を負担させることを多少なりとも支持する者は半分以下ー43%ーで、36%は多少なりとも反対している。これに対する支持は、観光産業への影響を恐れるためか、特にイタリアとスペインで弱い。温暖化の脅威を排除するために大きな金銭的負担を受け入れる用意があるのはほんの少数派という。

 しかし、気候変動とエネルギー安全保障をめぐる懸念は、新たな原発への投資の支持に結びついていない。新たな原発への投資を強く支持する人は12%しかおらず、少しは支持するという18%を加えても、この支持者は30%にしかならない。ほとんど同じほどー29%ーが原発新設に強く反対、17%がどちらかといえば反対と答えている。

 これには男女間で大きな違いがあり、フランス、イタリア、英国の男性では賛否が拮抗しているが、女性は、賛成とも反対とも答えないのが大多数の英国を除くと、どの国でも大多数が反対している。

 原発をめぐる世論と政府・産業の立場には大きなズレがある。来年にも新たな原発を建設しようとしているフランスでは29%の人々が原発新設を支持している。しかし、反原発という公式の立場を転換するように産業が政府に望んでいるスペインとドイツでは、それぞれ53%、62%が政策転換ー原発新設ーに反対している。

 その代わりに、大多数ー85%ーの人々は、政府が更新可能なエネルギーへの投資を増やすべきだと考えている。この比率はフランスとスペインでは90%以上になる。

 今週末のEUとロシアの首脳会談を前に、世論はロシアをエネルギー供給者として信頼していない。ロシアを将来の石油・ガスの信頼できる供給源と信じる人は21%だけで、35%は信頼できないと考えている。

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