気候変動との戦い、大多数が個人的犠牲の用意 環境税も条件次第 BBC世界世論調査

農業情報研究所(WAPIC)

07.11.6

 英国・BBCが委託した世界21ヵ国・2万人以上の人々に対する世論調査で、大部分の人々が気候変動との戦いで個人的犠牲を払う用意があると答えた。生活スタイルを変える用意があるとする人は5人に4人、これは世界最大のニ酸化炭素排出国である米国や中国でも変わらない。

 石油と石炭への課税については、賛成50%、反対44%と意見が割れた。しかし、課税収入がエネルギー効率の改善や新たなエネルギー源の発見のために使われるとすれば、賛成が増えることも示された。

 BBCのマット・マックグラス環境報道員は、この世論調査は、多くの国で、人々は、地球温暖化との戦いのために生活スタイルを変更しようと、政府以上にまじめに考えていることを示唆すると言う。

 Most ready for 'green sacrifices',BBC News,11.5
  http://news.bbc.co.uk/2/hi/in_depth/7075759.stm

 この調査によると、自分たちが生み出す温室効果ガスの量を減らすためには、決定的にか、恐らく、個人各々が生活スタイルを変えねばならないと考える回答者が83%にのぼった。

 燃料コストについては、ヨーロッパのほとんどすべての国や米国では、大部分の人々が、気候変動の重要要因となる燃料のコストが高まらねばならないと考えている。イタリアとロシアだけは例外で、エネルギー価格の引き上げは無用と考えている人が多数を占める。両国とも既にエネルギーコストが高く、そのために一層の価格上昇を拒んだらしい。 

 この点につき、アジアやアフリカの人々の態度は様々だ。中国では大部分の人がエネルギーコストの引き上げが必要と考えているが、韓国とインドではこの比率は大きく下がり、ナイジェリアでは52%の人々が温暖化との戦いでそれは必要ないと答えた。

 エネルギー税に関しては、全体では50%が賛成、44%が反対だが、中国では賛成が85%と抜きん出て多い。賛成派が2番目に多い国を24%も上回る。他の国では賛成が反対を僅差で上回るだけだ。

 ところが、税収がエネルギー効率の向上、あるいは一層クリーンな燃料の開発に使われるならば意見が変わるかどうか問われた反対者、すべての国の大多数が、一層の課税に賛成した。また、反対者に対して全体の税負担を増やさないために他の税が減らされるならば態度を変えるかどうか聞いたところ、あらゆる国の大多数が一層の環境税に賛成した。

 BBCのためにこの調査を実施した”Globescan”のディレクターは、”この世論調査は、人々は、大部分の政治家が思う以上に負担の分担を認める用意があることを明白に示している”と言う。

 産業界やその意を受けた政策立案・決定者たちのお陰で世界に冠たる環境税後進国となっている日本は、残念ながらこの調査の対象国に含まれていない。調査対象は、英国、オーストラリア、ブラジル、カナダ、チリ、中国、エジプト、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、ケニヤ、メキシコ、ナイジェリア、フィリピン、ロシア、韓国、スペイン、トルコ、米国の2万2182人、インタビューは、今年5月29日から7月26日の間に、対面または電話で行われた。