豪州干ばつは2013年まで続く 死に絶えるマレー・ダーリング水系生態系

農業情報研究所(WAPIC)

08.6.19

 アデレード大学のマイク・ヤング水経済・管理研究教授が、オーストラリアを襲っている干ばつは2013年まで続く可能性があると語った。2002年に始まったオーストラリアの現在の干ばつは、1938年に始まって10年続いた干ばつの再現になる恐れがあるという。

 彼は、メルボルン・ビジネス・ランチに向け、「この干ばつは2013年に終わるだろう。今の干ばつがまだ半分しか終わっていないとすれば、わが国国民は備えはできているのだろうか。自分はそうは思わない」と語った。[オーストラリアからの食料農産物の輸入に頼るわが国も、備えはできているのだろうか]

 Brace for doomed river and drought till 2013,Australian,6.19
 http://www.theaustralian.news.com.au/story/0,25197,23887068-5013404,00.html

 教授によると、マレー川の水は、もう5年以上も海に流れ込んでいない。干ばつがなかったとしても、水配分制度は持続不能な量の水を川から奪い取ってきた。これが続けば、「わが国酪農と農業は、クリーンでグリーンな輸出者という評判を失う」ことになる。

 Warrnambool Cheese and Butter社のデビッド・カーピン会長は、水価格問題に対する政府の優柔不断の態度がこの事態を招いたと言う。彼によると、水配分がなくなった後にも酪農が存続できたのは、乳製品国際価格の急騰で、牛を養うための穀物を購入することができたからにすぎない。

 Yarra Valley Water社(オーストラリア最大の水道公社)のアラン・コーネル会長は、オーストラリア人に水の節約を始めさせるには、水価格を300%引き上げる必要があると言う。現在の1000リットル当たり水価格は、家庭用水で1.76ドル、事業用水で1.10ドルだが、これを3.25ドルに引き上げねばならない。1.10ドルでは、水節約のインセンティブはまったくないということだ。

 折りしも18日、ABC(オーストラリア放送)が、政府が11月まで検討を先延ばしした専門家パネルの報告の存在を暴露した。この報告は、マレー・ダーリング川流域は10月までに水を受け取らねば、湿地・植生・一定魚種の喪失などの回復不能な打撃を受けると警告している。科学者がつけた期限が過ぎた後に対応を検討するとは、政府は一体何を考えているのだろうか。ここに至っても続く優柔不断、国の穀倉地帯・南東部オーストラリアを横断する国最大の水系の生態系が死に絶える。

 Murray-Darling 'almost beyond recovery',ABC,6.18
 http://www.abc.net.au/news/stories/2008/06/18/2277890.htm