東アフリカ 気候変動で広大な草地が耕地に 一層の温暖化の原因に

農業情報研究所(WAPIC)

08.8.14

  気候変動に伴う湿潤化が耕作農民を遊牧地域に惹きつけ、今後40年に東アフリカの広大な草地が作物耕作地に転換される。「自然生態系の作物用地への変換は、東アフリカにおける最大の地球温暖化要因になるだろう」(タンザニア・ダルエスサラーム大学P.ヤンダ資源評価研究所長)。ヤンダ所長も参加するケニアと米国の科学者の共同研究プロジェクト=”気候土地相互作用プロジェクト”(CLIP)がこのように警告している。

 Climate cropland changes 'raising temperatures' in East Africa,SciDev.net,8.13
 http://www.scidev.net/en/news/climate-cropland-changes-raising-temperatures-in-e.html

 気候変動に関する国連政府間パネルによると、大部分の気候モデルは、東アフリカは今世紀末までに湿潤化が進む世界で唯一の熱帯地域になると予想している。一層湿潤で温暖な条件は、既存の農業生産性を低下させることになりそうだ。

 先月(7月)22日に発表されたCLIPの研究は、一部農地は乾燥化が進むだろうが、辺鄙な北東部の乾燥地は湿潤化し、土地利用の劇的変化を引き起こすと警告する。

 2050年まで、ケニア北東部ワジヤ地域の牛・山羊遊牧民は、草ではなくシュラブによる土地被覆を促す降水増加の影響を受ける。土壌水分の違いが生える草の種類を変え、家畜飼育に悪影響を与える。その上、ブッシュの増加は、高地マラリア、眠り病、リフトバレー熱などの病気を広げる蚊やその他の病原媒介昆虫を増やすことになる。

 これが家畜や遊牧民を、雨や植物成長がもっと少ない地域に集中させる。その結果、土地に対する圧力が増し、土壌の劣化につながる。

 研究に加わるナイロビの国際家畜研究所のJoseph Mworia Maitimaによると、他の半乾燥地域は干ばつが襲い、遊牧民は一部の土地を放棄するから、この過程が利用可能な土地をめぐる土地紛争の引き金になる恐れもある。