キャドバリー 牛のゲップ減らしに挑戦 チョコの炭素排出の60%が牛乳生産から

農業情報研究所(WAPIC)

09.2.17

 世界最大クラスの英国菓子メーカー・キャドバリーが、その最大の売り物であるミルクチョコレートの炭素フットプリントを減らすために、酪農農家と協力して牛のゲップ減らしに取り組む。

 会社の製品からの炭素排出を監査したカーボン・トラストの専門家によると、チョコレートの炭素排出の60%が牛乳の生産からだった。そこで、ウィルトシャーの65の酪農農家と協力、牛からの排出 の削減に取り組む。ゲップを減らすために、牛の餌の変更を含む低炭素酪農のガイドラインを酪農農家に送ったという。

 飼育反芻動物は、世界全体の人為的排出量の4分の1のメタンを排出すると考えられている。牛乳1ℓの生産でCO2換算900gが排出される。牛1頭が、年平均で80kgから120kgのメタンを出し、これは平均的なファミリーカーの年間炭素排出量に相当する。

 キャドバリーはカーボン・トラストと協力、チョコレートのライフサイクル排出量を算出した。科学的研究に依拠した行動で気候変動に挑戦するのだという。

 Cadbury to curb methane emissions from burping dairy cows,Guardian,2.17
 http://www.guardian.co.uk/environment/2009/feb/17/cadbury-dairy-milk-cows

 日本では、餌を変えることで反芻動物が排出するメタンを減らす研究は一定の成果を上げている。しかし、実用化はまだまだのようだ。 デンマークでは政府税制委員会が牛のメタン排出を減らすために農業メタン税の導入を提案したが、農業グループはコストの大幅増につながると反対、主要政党も国内農産物価格が上がる、デンマーク農業の競争力が落ちるなどと反対しているそうである。 オーストラリア畜産業界は、家畜が生み出すメタンの量について誤解を招くたくさんの研究があると言う。

 Cattle methane tax proposal unsettles lawmakers,Copenhagen Post,2.17
 http://www.cphpost.dk/news/climate/91-climate/44787-cattle-methane-tax-proposal-unsettles-lawmakers.html

 Livestock industry prepares carbon emission strategy,ABC Rural News,2.18
 http://www.abc.net.au/rural/news/content/200902/s2494535.htm

  農業界からの挑戦は期待できそうにない。