気候変動と三峡ダムが揚子江に健康リスク 中国科学院報告

農業情報研究所(WAPIC)

09.4.21

 気候変動と三峡ダムが揚子江の長期的”健康”の主要なリスクとなっている、中国科学院がまとめた”2009年揚子江保全開発報告”がそのように主張しているそうである。

 報告によると、揚子江流域は、2006年以来、気候変動で年降水量の減少に見舞われている。2006年と2007年の年間降水量は、それぞれ10.3%、6.9%減少、2007年と昨年の厳しい干ばつの結果として、国最大の淡水湖である洞庭湖と鄱陽湖が縮小した。源流の氷河地域も、2030年までに1970年のレベルから6.9%縮小すると推定される。

 報告著者の一人は、気候変動の川への影響を理解するためには、あり得る影響に関する長期的な観察と学際的な研究が必要だと言う。

 三峡ダムも水質、湿地生態系、魚資源を損なっている。研究は、窒素と燐の濃度の上昇で、三峡ダム貯水域の水質が、2003年の貯水開始以来、悪化したことを示している。貯水池では、水中の過剰窒素が引き起こす藻の発生の増大が見られる。他方、三峡ダムやその他の保全管理プロジェクトが魚の移動ルートを遮断し、魚の産卵場所の生態系を変えている。2003年以来、アオウオ、草魚、レンギョ、フナの数が減り続けている。

 Climate risk for Yangtze river: Report,China Daily,4.20
 http://www.chinadaily.com.cn/china/2009-04/20/content_7693329.htm