ドイツのCO2排出 2050年までに事実上ゼロにできる 肉食減らしも大きく貢献

  農業情報研究所(WAPIC)

09.10.24

  取り返しのつかない深刻な地球温暖化影響を回避するためには、産業革命以前に比べての平均気温上昇を2℃未満に抑える必要があると言われる。そして、これを実現するためには、温室効果ガス排出を2050年までに、世界全体で90年レベルから50%削減せねばならず、先進国はCO2排出を事実上ゼロに近づける必要があるとされる。

 先進国に課せられるこのような目標は現実的なのだろうか。

 ドイツWWF、応用生態学研究所(Institute for Applied Ecology)、未来学予測研究所(Prognos Institute of Futurology)の共同研究が、このような目標を達成するために先進国が何をなさねばならないかを示したそうである。

   Modell Deutschland” と呼ばれるこの研究は、目標達成のための三つの道のアウトラインを描き、ドイツがこの道を正しく辿れば、生活水準を落とすことなく、CO2排出 を90年比95%減らすことができると言う。

 Germany can be virtually CO2-free by 2050, says new study,Deutsche Well(DW-WORLD.DE),10.21
 http://www.dw-world.de/dw/article/0,,4812628,00.html

 第一のモデルは、ドイツの現在の気候変動対策が何の変化もなく続くとどうなるかを示す。温室効果ガス排出は、2050年までに45%減るにすぎない。

 そこで、研究者は、ドイツにおける生活のあらゆる分野にわたる野心的プランを提出する。ただし、これが有効であるためには”タイミング”が決定的に重要だ。ビルを建て替えねばならないときには必ず断熱にする、等々だ。こうした時宜を失すれば、CO2削減は不可能になるか、著しく高価になる。

 ドイツのCO2削減では、電気・交通・暖房のための再生可能エネルギーの利用が最大の効果を持つ。また、電気製品のエネルギー効率の改善も重要だ。このような手段で排出の60%が除去できる。しかし、これでは未だ足りない。

 残った第三の道は、工業のプロセス、農業、廃棄物管理の変更と、森林のCO2吸収能力の維持である。農業は、CO2削減で一般に考えられている以上に大きな役割を演じる。肉を食べるのを減らすだけでも大きな効果がある。たとえば、牛は大きなメタン排出源だ。

 ただし、ドイツ人が心から菜食主義を望むことはありそうもない。だから、この研究は、炭素排出がほとんどゼロの国の現実主義的コンセプトなのだという。


 日本では、肉を減らせばCO2削減に大きく寄与するといった観念は根づいていない。エコバッグに買った肉を詰め込んでいる。日本では、まず無理だ。