農林水産分野温室効果ガス削減 25%削減目標の3分の1に寄与 事業仕分けで重要対策予算は全部「廃止」

農業情報研究所(WAPIC)

09.11.28

 11月27日、農水省が第2回地球温暖化対策本部を開いた。この対策本部は、鳩山首相が表明した「2020年までに温室効果ガス排出量を1990年比25%削減」という中期目標の達成に寄与するために設置されたものだ。

 この会合で、「農林水産分野における温室効果ガス排出削減・吸収効果等についての試算」の概要が示された。それによると、2020年の農林水産分野からの温室効果ガス排出量は90年比で7.9%削減できる。農林水産分野の25%削減への寄与度は3分の1にも達するということである。

 中でも最大の寄与度(3.2%)をもつのは、毎年55万ヘクタールの間伐、水田への堆肥施用の倍増、緑肥作付面積拡大などによる森林・農地土壌の温室効果ガス吸収源対策だという。

 http://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/s_honbu/091127/pdf/091127_6.pdf
 http://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/s_honbu/091127/pdf/091127_7.pdf

 ところが、こうした対策を促し、実現するための農水省事業[森林整備支援、農業生産地球温暖化総合対策事業(モデル事業)]予算は、11月24日の行政刷新会議「事業仕分け」ですべて「廃止」とされてしまった。27日には、住宅向け太陽光発電装置設置補助金が来年度予算計上見送り、住宅向け高効率給油器補助は廃止、企業向け省エネ設備導入補助、新エネルギー導入補助も縮減とされた。役人も、農業者・林業者も、一般個人・企業も、みんなやる気をなくしてしまう。 まさしく、角を矯めて牛を殺すだ。25%削減、どうやって実現するのか。

 マスコミによると、9日間にわたった「無駄遣い削減劇場」に多くの国民が喝采を送ったそうである。天下り法人への支出(本来は政治家=国会がチェックすべきものだ)のカットに溜飲を下げているうちに、国民は尻の毛まで抜かれれてしまった。それでも、マニフェスト膨れした予算の削減効果は、”焼け石に水”だ。こんな事業仕分けは「廃止」すべきだ。少なくとも、やり方も、仕分け人選定も、根本的に変える必要がある。