農業情報研究所
フランス:除草剤・アトラジンを禁止へ
農業情報研究所(WAPIC)
01.10.1
9月28日、フランス農水省は、水質汚染を防ぐために、除草剤・アトラジンとその派生製品の認可を取り消すことを明らかにした。これは、今年3月に農水省が約束したリスク評価の結論を受けた措置である。これらの出荷の認可の取り消しは2002年9月30日から適用され、2003年6月30日以後は、最終使用者による使用が禁止される。
この決定は、主として次の三つの根拠による。
第一に、採取された地表水の40%、地下水の25%が処理を必要とするほどに、これらが広い範囲で検出されることである。
第二に、フランス食品安全機関(AFSSA)の健康リスク評価が、明白な発癌リスクは確認していないものの、これらが1リットルあたり、幼児については0.4μg以上、子供については0.6μg以上、大人については2μg以上含まれる水は消費しないように勧告していることである。
第三に、これらの除草効果が落ちていることである。それは許可される使用量が減らされていることともに、雑草の側にもこれらに対する抵抗性が現れていることによる。
これらの禁止により、より少ない分量で効果を発揮し、環境と健康への悪影響がより少ない最近の薬剤の認可手続きが進むことになるが、これらの代替製品も認可後の追跡対象となる。その一方、農水省は生産者への技術支援政策、農薬の商品化と使用の統制政策を継続する。
ジャン・グラバ二農水相は「この決定は、一層環境を尊重し、わが国市民の期待に応える農業に向けての重要な一歩をなさねばならない。それは水質の漸次の回復に寄与しよう」と言明している。
(以上はフランス農水省Dossiers et communiqués;Jean GLAVANY engage la procedure de retrait de l’atrazine et de certains de ses derives-Paris,le 28 septemble 2001による。詳細な技術的文書はLes dossiers techniques du minister(n°18):Interdiction des triazines : la procédure est engagée - Paris, le 28 septembre 2001)
アトラジンはトリアジアン系の薬剤で、スイスのチバ・ガイギー社が開発し、1962年に商品化された。世界中で、特にとうもろこし栽培のために使用されており、フランスでも安価であることから、とうもろこし栽培(及びぶどう栽培)などに広く使われてきた。わが国でも1965年に登録され、様々な商品名で販売され、使用されてきた。環境ホルモン物質にもリストアップされている。
多かれ少なかれアトラジンを含む製品のわが国における出荷量は以下のとおりである(1998年、単位:t,kl)。
アトラジン水和剤 | 16.6 |
アトラジン水和剤(フロアブル) | 31.2 |
アトラジン・オルソベンカーブ水和剤 | 7.5 |
アトラジン・オルソベンカーブ・MCPP水和剤(フロアブル) | 21.4 |
アトラジン・テトラピオン・DCMU・DPA粒剤 | 0.0 |
アトラジン・ビフェノックス水和剤 | - |
アトラジン・メトラクロール水和剤(フロアブル) | 166.9 |
アトラジン・CAT水和剤 | 0.6 |
アトラジン・DCBN・DCMU粒剤 | - |
アトラジン・DPA・2,4−PA水和剤 | 1.4 |
アトラジン・DPA・2,4−PA粒剤 | 604.7 |
『農薬要覧』1999による。