EU:共通土壌保護政策に支持

農業情報研究所(WAPIC)

02.5.28

 5月24−25日にスペイン・マジョルカ島で開かれたEUの環境相非公式会合で、土壌保護のための共通政策を設置する欧州委員会の提案が強い支持を与えられた(Soil protection - Results of the informal Environment Council in Palma de Mallorca on 24-25 May 2002)。

 欧州委員会のペーパー(Towards a Thematic Strategy for Soil Protection,COM(2002)179、02.4.16)によれば、土壌は食料生産に不可欠であるだけでなく、水を蓄え、濾過し、多くの生物種にハビタットを提供する。しかし、EUの土地の16%が何らかの土壌劣化にさらされ、新たにEUに加盟するであろう13の加盟候補国ではこの比率が35%に達する。土壌は鉱工業や農業により、侵食・有機物喪失・汚染・生物多様性の喪失・塩類蓄積などの脅威にさらされている。また、建物や道路により雨水の吸収能力が削がれ、重機械の使用や過放牧で固められている。さらに、スペイン・イタリアの中・南部、フランス・ポルトガルの南部、ギリシャの広大な地域が、土壌劣化の究極の形である砂漠化ー干ばつ、森林破壊、過放牧によるーの脅威に曝されている。

 環境相は、このような欧州委員会のペーパーを論議し、大気や水については既に存在するEUの包括的戦略によって汚染や砂漠化から土壌を保全しようとする委員会の提案を支持したものである。6月の公式会合で、具体的目標や行動を含む土壌保護に関する正式決定が目指される。ワルストロム環境担当委員によれば、最初のステップは土壌への脅威を発見するEUワイドのモニタリング・システムの設置となる。

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