インド国家生物多様性戦略・行動計画最終報告書 作物・家畜の多様性喪失に警告 多様な保全策を要請

農業情報研究所(WAPIC)

05.10.13

 インド紙の報道によると、インドの国家生物多様性戦略行動計画(National Biodiversity Strategy and Action Plan.)の最終報告が、インドは作物と家畜の多様性の多くを失いつつあり、あるものは絶滅に瀕していることを明らかにした。

 Biodiversity under threat, says study,The Financial Express,10.10
 http://www.financialexpress.com/print.php?content_id=105076
  50 p.c. forests lost: report,The Hindu,05.10.5
  http://www.hindu.com/2005/10/05/stories/2005100503101600.htm
 

 報道によると、土着家禽の18種すべてが脅かされており、少なくとも40種の植物と動物がもはや存在しない。森林の半分以上、マングローブの40%、湿地の多くが失われた。加えて、既存資源のバイオ パイラシー[生物資源窃盗]の試みが常に起きている。

 報告は、生物多様性喪失の直接の原因として生息地(ハビタット)破壊、狩猟、行き過ぎた開発をあげ、これら要因の背後には持続不能で鈍感な”開発”モデル、伝統的な管理慣行・制度の崩壊、決定権限の集中、深刻な社会的・経済的不公平、道徳的・文化的価値の変化、経済計画における生物多様性の価値に関する十全な認識の欠如があり、このシナリオはグローバリゼーションにより一層悪化していると言う。

 報告は、その他次のようなことを勧告し、示唆し、あるいは要請する。

 ・公的食料配給システム、学校給食計画、一定の労働と引き換えに食料を提供する”フード・フォー・ワーク”プログラム、その他の政府福祉計画で雑穀のような栄養分豊かな土着食料作物を積極的に取り上げること。

 ・遺伝子組み換え体(GMOs)に関する決定は、独立機関が行う長期的な生態的・社会経済的影響の評価の後になされるべきこと。

 ・国境をまたぐ河川・谷、森林塊、沿岸地域、生態地域などの生態的境界に基づく野生動物と植物のための地域生態計画とサイト保全。

 ・国家土地・水利用計画の策定、生態系と生計の安全保障にとって不可欠な国内地域のマップの作成とそこでの大規模商業的開発の禁止の宣言。

 ・村または小村レベルでの基本計画策定と決定を伴う分権的統治制度の創設。

 ・生物多様性の全側面、特に農業にかかわる生物多様性を含めることによる環境影響評価の強化。これは地域・県・州・国レベルでの部門及び省庁横断的協調を通してなされるべきである。

 関連情報
 Indian activists release disputed biodiversity report,SciDev.net,05.10.6
  http://www.scidev.net/content/news/eng/indian-activists-release-disputed-biodiversity-report.cfm