ワールドカップは環境に優しいか 球形ボトルでマクドナルド・コカコーラ告発の動き

農業情報研究所(WAPIC)

06.6.3

 ドイツ紙の報道によると、ドイツでのサッカーワールドカップのスポンサーであるマクドナルドとコカコーラが、サーカーボールの形のコーラの特別版ボトルで飲料容器とリサイクルに関するドイツの法律を犯していると告発されている。

 McDonald's, Coke Run Afoul of German Law with Ball-Bottle,DW-world,6.2
 http://www.dw-world.de/dw/article/0,2144,2041817,00.html

 両社は、この限定版ボトルはドイツ、オーストリア、ハンガリー、ポーランドでトーナメントの前と間の短期間利用できるだけで、丸いボトルは蒐集品として買われるように考案されたものだと言う。

 しかし、そこに問題がある。ボトルにはリターナブルなボトルであることを意味する"Mehrwegflasche"という言葉を刻印されているが、マクドナルドはボトルが一回限りの使用で棄てられない で確実に返還されることを保証する客のデポジット(供託金)を請求しない。さらに、ドイツ連邦飲料小売業者協会(GFGH)によると、通常のボトルに見られるな返還またはリサイクルのシステムもなく、蒐集品としてそれを保存するつもりがない人々は投げ棄てることになる。

 このドイツ法からの離反がGFGHと環境団体・Deutsche Umwelthilfeを抗議に駆り立てている。

 Deutsche Umwelthilfeは、「これは、返還可能なボトルシステムに対する信じがたいほど厚かましい攻撃だ。1回使用の圧力団体が返還不能な飲料容器について徴収されるデポジットを止めようとする試みに失敗したあと、我々は今やこの種の巧妙な消費者欺瞞に立ち会おうとしている。1回使用の容器が環境に優しい返還可能なボトルを装っている」と言う。

 DFGHは、マクドナルドのドリンク・ボールが容器デポジッに関する規制をかいくぐり、同様な”蒐集家版”ドリンクを発売するように他の小売業者をそそのかすことを恐れている。ト

 マクドナルドは、球形ボトルは、レストランのコンテナに返すことができ、それからリサイクルされるから環境に優しいと主張する。コカコーラは、ボトルが全国規模のグリーンポイント・システムに沿ってリサイクルされるようにする協定もないけれども、プラスチック容器は同社が飲料を製造するベルリン近くの工場でリサイクルできると言う。

 しかし、Deutsche Umwelthilfeは、マクドナルドとコカコーラは法律に違反すると確信している。バーガーチェーンが広告を止めるか、販売を止めなければ、マクドナルドのドイツ本社がある地区の裁判所に訴える用意があると言う。環境省も環境団体の側に立っている。報道官はドリンクボールに返還可能な包装と表示するなど”まったく馬鹿 げている”、サーカートーナメントを特別に環境に優しいイベントにするというドイツ政府の目標を考えれば、マクドナルドはそのワールドカップ・コーラのコンセプトを再考するように最高レベルからの圧力に直面することになるだろうと言う。

 ところで、このドイツ政府の目標だが、これは別方面からも人々の誤解を招くものと批判されている

 計画本部は、1ヵ月に及ぶ大会の間に追加的に排出される二酸化炭素・推定10万トンは、インドと南アフリカの環境プロジェクトに対する130万ドルの支援(FIFAとドイツフットボール協会、大会スポンサーが支払う)で埋め合わされるという。地球に対する環境負荷はこれで差し引きゼロになるというわけだ。

 しかし、環境団体は、この追加排出量には、各国チームや役員、ファンの国際フライトによる排出は含まれていない。このフライトによるオゾン層破壊や二酸化炭素排出を考えれば、ドイツでの追加排出量・1万トンが生み出す負荷の2倍から3倍の負荷を生み出すだろうと言う。

 Doubts on World Cup's green credentials,Financial Times,5.27

 目標は結構だ。オリンピック等、今後の国際スポーツイベントの目標としても定着しよう。しかし、本当に環境に優しいイベントとするためには、様々な大きな障害がありそうだ。心おきなく楽しむためには、一層の努力が必要だ。