持続可能なパームオイル円卓会議(RSPO)がオランウータン絶滅を加速

農業情報研究所(WAPIC)

08.9.10

 ジャカルタ・ポスト紙の報道によると、インドネシアのオランウータン保護センター(COP)が、環境に優しいやり方をしているというパームオイル企業の主張にもかかわらず、野生のオランウータンが絶滅の脅威に曝され続けている と告発している。

 森林や泥炭地のオイルパーム農園への転換のモラトリアムの承認をパームオイル企業が拒否している。それが、とりわけ保護区域外に住むオランウータンの消滅を加速している。「パームオイル生産者は、”グリーン”なイメージを作るために”持続可能なパームオイルに関する円卓会議”(RSPO)を喧伝している。事実は、RSPOの指針とオイルパーム農園のための森林 刈り払いの間のどんな関係も立証されていない」。

 パームオイル産業はRSPOの基準の論議に忙しく、森林伐採は衰えることなく続き、オランウータンを殺しているのだという。

 RSPO a real threat to orangutans: Group ,The Jakarta Post,9.5
 http://old.thejakartapost.com/yesterdaydetail.asp?fileid=20080905.H04

  COPの最近の調査で、セントラル・カリマンタンの二つのパームオイル企業が森林の刈り払いでオランウータンを危険に曝したことが分かった。どちらもRSPOのメンバーである。COPの調査チームは、オランウータン、マレーグマ、ボルネオギボンを含む希少保護野生動物の存在を示すネット、足跡、残った食料、音を発見したが、これに関する企業からの報告はなかった。

 セントラル・カリマンタンは、2004年に3万1300のオランウータンを数えたインドネシア最大のオランウータン生息地である。COPの推定では、この数は年に9%の割合で減っており、現在は2万32頭しか残っていない。このうちの8631頭が指定された保護区域外に住み、しばしば脅威に曝される。オイルオパーム農園を開くために生息地が破壊されるからである。

 RSPOは世界中で69の関係者が参加、インドネシアの39の企業も参加している。しかし、環境責任や自然資源と生物多様性の保全を含む39の基準と8つの原則の実施を要件とする公式のRSPO認証を受けたインドネシアのオイルパーム農園は一つもない。RSPOは、メンバーが高度の保全価値を持つ原生林や森林を切り開くのを禁じている。

 RSPOのスポークスウーマンは、RSPO違反をめぐる公から訴えは未だないと、COPの告発を認めていないということだ。

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