土壌中の虫の数が急増するも、種類は減少 土壌は汚染や気候変動に脆くなる? 英国の研究

農業情報研究所(WAPIC)

10.3.1

 英国・ガーディアン紙が伝えるところによると、同国生態水文研究所(CEH)のブリジット・エメット(Bridget Emmett)教授率いる研究が、地表から8センチメートル以内の表土の中に棲む虫(無脊椎動物)の数がこの10年で50%近く増えるとともに、その種類(生物多様性)が減少しているらしいことを発見した。

 教授の見るところでは、その最も有力な原因は、夏を一層温暖で湿潤にしたこの10年の間の気温と降水の増加だという。大部分の虫は土壌が温かくなり、湿り気が増えるほど繁殖期間が早まり、長くなるが、マージナルな種は新しい条件に適応できなくなったと考えられる。

 ただし、この変化が脅威なのか、恩恵なのは不確かだ。土壌を創り出す虫は増えても(土壌生成は速まっても)、土壌が多様な圧力を受けたのちに立ち直るためには多様性が重要だ。

 生物多様性は土壌が汚染や気候変動からの将来の脅威に対抗するのを助けるし、将来の新しいアプリケーションや製品を引き出すことができるプールでもあるという。

 Weight of bugs in Britain's soil has nearly doubled in just 10 years,The Guardian,2.28
 http://www.guardian.co.uk/science/2010/feb/28/soil-biodiversity-invertebrates-countryside-survey