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 バイオ燃料:短信(最終更新:2017年1月29日)

17年

 11月29日

 トランプ大統領 カール・アイカーン氏の規制改革特別顧問指名でエタノール・クレジットが暴落

 トランプ大統領が大富豪・カール・アイカーンを規制改革に関する大統領特別顧問に指名した。彼は再生可能燃料基準一定量のバイオ燃料使用を義務付ける連邦ルール)に強く反対しており(米著名投資家アイカーン氏、規制改革でトランプ氏の顧問に就任へ ロイター 16.12.22)、このような規制が和らぐという期待からエタノール使用義務量を満たせない石油精製業者が購入しなけれなならないエタノール・クレジット=RIN(EPAが生産さた個別の再生可能燃料に付与する再生可能燃料識別番号で、使用義務を満たすための手段として取引もされる)の価格が暴落した(Trump adviser Icahn faces conflict of interest scrutiny over biofuels,FT.com,17.1.27)。 

 影響はいずれエタノール生産・トウモロコシ価格、さらには米国トウモロコシの輸出を妨げる日本の飼料用補助金にまで及ぶかもしれない(→日本の飼料用トウモロコシ輸入量)。

15年

 11月5日

 次世代エタノールも絶望? 石油バレル70ドルを超えないと競争できない デュポン社

 フィナンシャル・タイムズ紙によると、デュポン社が来年、世界最大のセルロースエタノール工場を立ち上げる。同社は、工場オープニングは「技術的には歴史的な日」になるが、セルロースエタノールは石油価格がバレル70ドル超えないと化石燃料と競争できないと言っているそうである。現在はバレル50ドルほど、いずれ上がるにしても2021年12月の先物価格は65ドルでしかない。仮に政府補助があったとしても10%のブレンドウォールに阻まれて市場もなく(バイオ燃料をめぐる国際動向:2013年)、生産が経済的に成り立つ見込みはない。

 

 Biofuel needs $70 oil to compete, says DuPontFT.com,15.11.5,Financial Times,15.11.5,p.17

 次世代エタノールも見込みないとすれば、バイオ燃料の命脈はもはや尽きている。

 7月1日

 フィリピン バイオエタノール国内生産不足でE10ルールを実施できず 輸出だのみの米国エタノール産業には朗報?

 フィリピンエネルギー省がすべてのガソリン製品は少なくとも10%のエタノールを含まねばならないという2006年バイオ燃料法が要求する2009年以来のルール(E10ルール、)を一時的に緩和した。E10ルールの厳格な実施のために必要な量のエタノールを国内で生産できないためだ。

 エネルギー省によれば、2014年末の国内バイオエタノール需要(必要量)は4億5500万gで、これはE10ルール実施で年平均5%増えると予想される。しかし、法律制定から9年を経た今、国内バイオエタノール(ほとんどすべてはサトウキビエタノール)生産は1億1500万gで、国内需要の27%を満たすにすぎない。

 2006年法は不足に備えた輸入を許容、国内生産は法実施(2009年)から4年以内に、つまり2013年までに必要量を満たせばよいとしている。しかし、現状では引き続き輸入しなければ給油会社はE10ルールを守ることができない。これは国内企業よりも外国企業を利することなるが、今は国内生産エタノールの完全利用を保証しながら国の利益になる革新j的解決策を考える潮だという。

 フィリピン政府にとっては苦渋の選択ということだろうが、国内エタノール需要がガソリン消費量の10%の壁にぶつかっている米国エタノール産業はほくそ笑んでいるかもしれない。米国バイオエタノールのフィリピンへの輸出量は2013年:5220万ガロン、2014年:6760万ガロンで、フィリピンは2014年、カナダ(3億3590万ガロン)、ブラジル(1億1220万ガロン)、UAE(6830万ガロン)に次ぐ輸出相手国となっている(2014 U.S. Ethanol Exports and Imports: Statistical Summary,RFA)。 

14年

 5月31日

 スウェーデン、燃料エタノールが売れない ドライバーに不人気

 バイオ燃料で走る車を購入するスウェーデン人が減り、スウェーデンにおける自動車燃料エタノールの販売が大きく減っている。

 ガソリンにエタノールを85%混ぜたE85年燃料はガソリンよりも相当安いけれども、その販売は2012年から2013年の間に23%も減った。この減少傾向は今年も続いている。

 E85で走る新車の販売は2008年から2013年までの間に5万9000台からたったの3000台に減ってしまった。

 調査によると、多くのドライバーは、エタノールは冬季のドライブには不敵と信じており、ガソリンの方が補給回数が少なくて済むからと、ガソリン車を選ぶのだという。

 昨年は、国最大のエタノール生産者であるAgroetanolが販売不振と大損失で工場閉鎖を余儀なくされそうだと報じれらている。

 Ethanol sales hit the brakes,Radio Sweden.14.5.29
 Sales slump threatens ethanol producer,Radio Sweden,13.11.7

 スウェーデンは(車燃料の)化石燃料依存を2030年までにゼロにするという野心的目標を掲げている。2012年には、消費された輸送用燃料の7.8%がバイオ燃料になったという。これらバイオ燃料のうちのエタノールの比率は、バイオディーゼル中心の他の欧州諸国に比べて格段に高く、45%ほどになる(注)。2030年目標の達成は夢でしかないように見えるのだが・・・・ 

 (注)EU:Biofuels Baromater 2013: http://www.energies-renouvelables.org/observ-er/stat_baro/observ/baro216_en.pdf

 バイオ燃料の将来は、どこを見ても暗い(参照:コラム3バイオ燃料をめぐる国際動向:2013年

 1月31日

 EUの木質ペレット発電ブームが米国の森林・野生動物を危機にさらし、エネルギー浪費につながる

 温室効果ガス排出を減らすために、ヨーロッパの石炭発電所が米国から木質ペレットを輸入し始めた。米国の批判者は、この新しいトレンドが野生動物を危機に曝し、燃料の浪費につながると警告しているそうである。

 ヨーロッパの輸入を契機に、米国では木質ペレット製造業が急成長を始めた。米国のヨーロッパへの木質ペレット輸出は、とりわけこの2年に大きく伸びた。ノース・カロライナに生産施設を持つ米国最大の木質ペレットメーカーのEnvivaは年に50万トンも生産するに至っている。会社は環境に配慮し、ただおがくずや木材チップのような木材工業の商品にならない副産物や廃物だけを使っていると言う。

 ところが、”南部環境法センター”(NPO)が現場を調査したところ、話は大分違う。会社は、河川沿岸の低地森林から切り出した、一部は樹齢80年から100年におよぶ木を丸ごと使っているという(それもそうだろう。価値のない副産物や廃物だけでは、これほどの木材ペレットは作れないだろう)。

 バードウォッチャーとして河川沿岸を見回るこのNPOの一員であるDerb Carterによると、「誰かがこの場所とそれに依存する動物を護る必要がある。ここには小鳥だけでなく、熊、七面鳥、サギ、イーグル、シラサギもいる」。しかし、この地域は、今や成長する木材ペレット産業の脅威に曝されている。その上、木を切り倒すのにエネルギーを使い、ペレットに加工するのにエネルギーを使い、さらにこれをヨーロッパにまで運ぶエネルギーも使わねばならない。何が温室効果ガス削減だろうか。

 How the EU's green energy drive is hitting US forests,Deutsche Welle,14.1.30

 世界は輸送用バイオ燃料で犯した誤りを再び木質燃料発電で犯すのだろうか。日本でも、木質ペレットへの期待は高まるばかりである。発電規模によっては山が丸裸になりかねない。それが地元のみならず、世界の森林に与える影響も精査する必要がある。

13年

 9月12日

EU 食料作物由来バイオ燃料は輸送用燃料の6%までに 欧州議会が最終決定

EUの欧州議会が11日、輸送用燃料の10%を再生可能燃料に置き換えるという2020年目標は維持しつつ、目標達成のために利用できる食料作物由来のバイオ燃料(第一世代バイオ燃料)の上限は6%とする法案を最終的に採択した。食料作物増産のために森林破壊等の間接的土地利用変化がもたらす温室効果ガス排出増加が気候変動抑制というバイオ燃料政策の目標達成を妨げるためだという。今後は農業・林業廃棄物や藻類由来の第二・第三世代のバイオ燃料の開発を加速、その輸送用燃料中の比率を2.5%にまで高める。残り1.5%の再生可能エネルギーは電気自動車が供給するという。

 European Parliament backs switchover to advanced biofuels,European Parliament,13.9.11

EU諸国の輸送用燃料中の第一世代バイオ燃料は既に6%近くに達しており、EUバイオ燃料産業は第二・第三世代のバイオ燃料の開発がないかぎり発展の道を閉ざされたことになる。

12年

 11月17日

米国環境保護庁(EPA) エタノール燃料基準適用免除を拒否

 EPAが11月16日、ガソリンに混ぜて使うトウモロコシエタノールの義務的使用量を定める「再生可能燃料基準」(RFS)の適用免除を求める超党派議員団やいくつかの州の要求を拒絶した。

 EPA Keeps Renewable Fuels Levels in Place After Considering State Requests,News Release,12.11.16
  http://yosemite.epa.gov/opa/admpress.nsf/d0cf6618525a9efb85257359003fb69d/980eb6b1c343640d85257ab800597a71!OpenDocument

  免除が認められる法的要件(2007年エネルギー自立・安全保障法が定める)は、RFSの適用が重大な経済的損害(severe economic harm)を引き起こすことである。今年の干ばつがいくつかの経済部門、特に畜産部門に困難を引き起していることは認める。しかし、農務省(USDA)による農業部門に関する分析によると、免除してもトウモロコシの価格は1%ほど下がるだけである。また、エネルギー省(DOE)によるエネルギー部門に関する分析では、免除は家計のエネルギーコストにほとんど影響を与えない。総じて、基準適用が重大な経済損害を引き起しているとは認められないという。

 この分析が正しいとすれば、基準の適用免除ではなく、アメリカで生産されるトウモロコシの40%も使うようになったエタノール産業の強力な縮小策が必要ということだろう。エタノール生産が半分に減れば、トウモロコシ価格は1%どころか、恐らくは数十%も下がるだろう。

10月18日

 欧州委員会 食料ベースバイオ燃料利用の制限を提案 輸送用燃料の5%まで

 欧州委員会が10月17日、再生可能燃料指令で定められた輸送燃料の10%という2020年再生可能燃料義務的利用目標を達成するために利用できる食料ベースバイオ燃料を輸送燃料の5%に制限するという新たな提案を行った。食料生産に影響を与える世界の土地のバイオ燃料生産用地への転換を制限し、バイオ燃料利用の気候変動抑制の便益を高めるためという。

 10%という目標が世界の食料生産用地を奪い、同時に土地利用転換に伴い温室効果ガス排出ガスが却って増えてしまうという従来からあるEUバイオ燃料政策への厳しい批判に応えるものだ。いわゆる間接的土地利用変化(ILUC)を初めて公式に認めた。これにより、化石燃料より温室効果ガス排出が少なく、世界食料生産への直接の影響もない廃棄物やわらのような非食料原料からの、いわゆる第二世代バイオ燃料の開発を刺激するという。

 ただし、5%は現状そのもの、”便益”が現状より高まることはありえない。将来の悪影響が減るというだけだ。

 New Commission proposal to minimise the climate impacts of biofuel productionEuropean Commission,10.17

 8月13日

 世界第三の大豆輸出国、アルゼンチンが大豆輸入 輸出向けバイオディーゼル生産のため

アルゼンチン経済副大臣が8月10日、輸出向けバイオディーゼルの生産能力のフル活用のために、一時的にパラグアイ、ボリビアから大豆を輸入すると発表した。2007年から2011年の間にバイオディーゼル生産能力が大きく増えたが、生産能力の24%しか利用されていないという。

 L'Argentine, troisième exportateur mondial de soja, va en importer,Le Monde,8.10

 米超党派議員団 「米国再生可能燃料基準」(エタノール義務的使用量)切り下げを要求

 先日、干ばつがもたらすトウモロコシの供給不足を恐れ、価格高騰による飼料コスト上昇にすでに苦しんでいる米国畜産業界が、燃料用エタノールの義務的使用量を定める「再生可能燃料基準」(RFS)の減免を要望したと伝えたが(アメリカ畜産業界 エタノールの義務的利用免除を要請 トウモロコシの減収予想と価格高騰で)、8月2日朝、アーカンソー選出のスティーブ・ウォマック連邦下院議員(共和党)ほか150名以上の米国議会議員が連名で、トウモロコシ供給をめぐる懸念を和らげ、米国の消費者・家畜生産者と経済を保護するために、RFS切り下げの措置を取るように求める書簡をEPAに送った。

 Womack and Bipartisan Coalition of Members to Urge EPA to Act Now to Reduce the Renewable Fuels Standard Mandate

 RFSの切り下げが実現すれば、米国で生産されるトウモロコシの40%を使用するエタノール産業からのトウモロコシ需要が減少する可能性はある。ただ、それが史上最高レベル(ブッシェル8ドル)に達したトウモロコシ価格の大幅下落につながるかどうかは不透明だ。

 最新の干ばつモニターによれば、米国の干ばつはますます悪化しており、恐らく10月まで続く。農務省(USDA)は先月(7月11日)、ことしのトウモロコシ収穫予想を前月予想から12%切り下げたが、8月にはさらに切り下げると予想される。需要減少を上回る生産減少が起きる可能性がある。

 他方、トウモロコシ価格高騰による原料コストの上昇と需要の減少で、エタノール生産はすでに減少局面に入っている(バイオエタノール・トウモロコシ・RBOBガソリンの先物相場と米国のエタノール生産量の推移)。再生可能燃料協会(RFA)によれば、国内エタノール需要は15%近く減少、生産も過去6週間減少している(それでも、RFSを満たすに足るエタノールは供給できる。義務量の超過分は一定量を翌年に持ち越すことができ、生産が足りない場合に使用に出すことができる、いわば「貯金」があるからである)。RFS切り下げに待つまでもなく、エタノール産業のトウモロコシ使用量は減っている。だから、RFS切り下げはトウモロコシ価格の大した低下はにつながらないというのである(RFS Waiver Calls “premature” and “void of justification”,RFA,.8.2)。

 7月31日付のニューヨク・タイムズ紙は、「干ばつとアメリカのエタノール政策の結合が、世界の多くの国、特に貧しい国におけるインフレの広がり、飢餓の増加、食料不安、経済成長減速、政治的不安定につながる」としてRFS切り下げを求めるカリフォルニア大学デービス校のコリン・カーター農業資源経済学教授等の投稿を掲載した(Op-Ed Contributors: Corn for Food, Not Fuel,The New York Times,7.31)。しかし、RFS切り下げといった米国エタノール政策の”微調整”では、今の穀物情勢は変わらない可能性が高い(筆者はそう思う)。

 7月21日

 米国エタノール生産が急減の様相 原料トウモロコシの価格高騰が直撃か?

 →グラフ「バイオエタノール・トウモロコシ・RBOBガソリンの先物相場 と米国のエタノール生産量の推移」へのコメント

  その他、バイオマス白書 2012:http://www.npobin.net/hakusho/2012/trend_01.html#column03Soaring corn stirs up calls to curb ethanol(トウモロコシ高騰がエタノールを抑制せよの叫びに駆り立てる),FT.com,12.7.19)なども参照されたし。

 6月14日

 シェル石油設立のブラジルバイオ燃料会社 先住民の土地を奪った生産者からの原料調達を断念

 シェル石油がブラジルで立ち上げたバイオ燃料企業・Raizen社が、マットグロッソ・ド・スル州の先住民グワラニ族の土地を奪い取った農業者が生産するエタノール原料;サトウキビを買い上げる計画を断念する画期的協定に調印した。ただ、これは、昨年部族リーダー が消されて以来何ヵ月にも続いた部族指導者・サトウキビ生産者・ブラジル当局の間の激烈な議論の末のことという。

 キャンペーングループは「歴史的」成果だが、部族の将来は、なお違法伐採と彼らの土地での農業に脅かされ続けると警告している。部族が飲み水とする川の水は農薬で汚染されてきた。

 Brazil biofuel: Shell axes 'illegal' sugar cane plan,BBC News,12.6.14 

5月7日

スウェーデン国営援助機関投資のバイオ燃料プロジェクトで食料を奪われたシエラレオネの村人

 スウェーデン国営のSwedfundがシエラレオネでエタノールを生産するという多国籍企業・Addax bioenergyに150万米ドルを投資した。しかし、スウェーデン・ラジオの調査によると、ヨーロッパに売るバイオ燃料を生産するするために使用するサトウキビを植えるAddax bioenergyに食料を生産する土地を奪われた村人たちは、「食べる米がない。みんな飢えている」と、スウェーデンに助けを求めている。

 貧しい農民たちが言うには、1エーカー(0.4ヘクタール)あたり年3.20ドルで企業に50年間土地を貸す契約を認めるように諭された。Swedfundの総裁代理は、いかなる問題もなく、企業の意図はグッドと聞いていると言う。

 Swedish aid investment resulted in land-grabbing,Radio Sweden,12.5.2

 ところで、現在の米価では、3.20ドルでは4-5キロの米しか買えない。しかし、1エーカーの土地で米をつくれば、シエラレオネでも平均で600-700キロの米が獲れるはずだ。1エーカー3.20ドルという賃貸料は どこから出てきたのだ。タダ同然だ。

 5月1日

お先真っ暗の米国エタノール産業⇒トウモロコシ・エタノール(シカゴ)とガソリン(ニューヨーク)の先物相場の推移コメント

 2月28日

エタノール需要は価格変動に敏感 使用強制による燃料転換は経済的に高くつく ミシガン大学研究者 

 ミシガン州立大学のエコノミスト、アンダーソン助教授の研究によると、エタノール価格がガロン当たり10セント[農業情報研究所注:およそ5%以下というところ]上がるだけで、エタノール需要は12%から16%も減少する。価格要因によるエタノール利用の減少はガソリンに比べて大変大きい。そうだとすれば、バイオ燃料消費を増やすためにアメリカが採用している使用強制(2022年までに再生可能燃料=基本的にはバイオ燃料の年間利用量を360億ガロンに増やすとした2007年エネルギー独立・安全保障法の「再生可能燃料基準」によって年々定められる一定量の利用の義務づけ)は経済的に最善の方法とはいえない。

 同助教授によると、エタノールはガソリンに比べて高いというだけではない。使用強制は温室効果ガス排出を減らすという理由で正当化されているが、(現在主流の)エタノールの温室効果ガス削減量は大したものではなく、目標が温室効果ガス削減ということならもっと効率的なやり方がある。たとえば、ドライブを減らす、燃費のいい車を買うなどのオプションやインセンティブを消費者に与える。汚染の度合を基に高率の燃料税を課せば、人びとはよりクリーンな燃料を選ぶようになるだろうし、全体としての燃料使用量も減らすだろうと言う。  

 Michigan State University Economist Argues Ethanol Mandate Not the Best Option,soyatech,2.27

 [福島県のセシウム汚染農地でバイオ燃料用に米など農作物を栽培するという提案があるが、提案者は、できたバイオ燃料をどう売りさばくか考えているのだろうか。バイオ燃料1リットルで走れる距離はガソリンに比べて格段に少ない。ガソリンやディーゼルより相当に安くないと勝負にならない。EUでもアメリカでも、それがバイオ燃料普及の最大の障害となっている。学者、技術者の提案が、こういう経験に学ばない 、深慮を欠いた思いつきでないことを願う]

 2月19日

 バイオ燃料は消費者に多大な負担 環境便益も不透明 優遇税制措置は縮小せよ フランス会計検査院

  L'aide aux biocarburants est supportée principalement par le consommateur,Le Monde,12.1.24

 フランス会計検査院が1月24日、農作物ベースのバイオ燃料に対する国の支援措置は農民には利益をもたらすが、消費者には隠れたコストをもたらし、環境便益も不透明と、減税措置のスケールバックを求める調査報告を発表した。

 フランスのバイオ燃料は軽油やガソリンに混ぜて売られているが、バイオ燃料のエネルギー価は低く、同じ距離を走るためにより多くの燃料を消費するために消費者に余計な負担を課している。その上、減税措置の政府費用の大部分は7%混合の目標を守らない流通業者から取り上げるは汚染税で賄われており、業者はこの税負担を消費者に転嫁している。消費者はその分く燃料を買わねばならない。同時に、業者は26億5000万ユーロにのぼる内国消費税減免の恩恵も受けている。こうして、消費者はバイオ燃料のために30億ユーロもの余計な支出を強要されている。

 このようなバイオ燃料援助は農業者には一定の利益をもたらしているが、エネルギー・環境にかかわる便益はほとんど確認できない。フランスのエネルギー・ミックスに対するバイオ燃料の貢献は微々たるもので、道路輸送のための化石燃料は2005-2010年に せいぜい5%節約されただけだった。温室効果ガス削減などの環境便益も確定は極度に難しい*。従って、税制優遇を公正な輸入の厳格な取り締まり(EUのダンピング防止・補助金相殺措置)といった形での支援に置き換えるのが妥当であるとする。

 *農業情報研究所注:間接的土地利用変化の影響をどう扱うかについて、欧州委員会は昨年末までに立法提案を行うものとされていたが、未だに提案がない。欧州委員会のために用意された科学的研究は、EUのナタネ・バイオディーゼル、アジアのパームオイル・バイオディーゼル、南米の大豆バイオディーゼル、いずも、間接的土地利用変化を考慮に入れると化石燃料ディーゼル以上に温室効果ガスを排出すると結論している。
 

 2月4日

 パームオイル・ディーゼルは温室効果ガス削減基準を満たさず 米国環境保護庁が分析結果をパブリックコメントに

 米国環境保護庁(EPA)が1月27日、パームオイルを原料とするバイオディーゼルおよび再生可能ディーゼルは、再生可能燃料基準(RFS、2007年エネルギー法による法定義務的使用量)にカウントされるための温室効果ガス削減要件を満たさないというライフサイクル分析結果を発表した。PFSプログラムの下での再生可能燃料と認められるための要件は温室効果ガス排出量が石油ベースのディーゼルに比べて20%以上の少ないことであるが、分析した2種のパームオイル・ディーゼルの削減幅は17%と11%でしかなかった。EPAは、この分析結果について2月27日までコメントを受け付けるという。

  Notice of Data Availability Concerning Renewable Fuels Produced From Palm Oil Under the RFS Program,Federal Register / Vol. 77, No. 18 / Friday, January 27, 2012 / Notices
  http://www.gpo.gov/fdsys/pkg/FR-2012-01-27/pdf/2012-1784.pd

 これが最終結論となれば、パームオイルのバイオ燃料向け市場の拡大が重大な制約を受け、ひいてはオイルパーム・プランテーションによる熱帯林破壊に一定の歯止めがかかることになる。しかし、これはマレーシア、インドネシアなどパームオイル生産・輸出国の経済開発の制約することにもなる。世界最大のパームオイル生産国・インドネシアは、早速、独自の温室効果ガス排出分析を提案するという。 

 RI opposes EPA determination on palm oil,The Jakarta Post,2.3
 http://www.thejakartapost.com/news/2012/02/03/ri-opposes-epa-determination-palm-oil.html

 11年

 6月28日

ブラジル出身FAO新事務局長 世銀、WTO、IMF、OECD等も批判するバイオ燃料を擁護

 26日、ブラジルのジョゼ・グラジアノ・ダ・シルバ氏が国連農業食糧機関(FAO)の新事務局長にが選出された。事務局長としての最初の記者会見で、同氏は早速、食料価格高騰に一役かっていると世銀、OECD、FAO等が国家的支援の廃止を要求している(米議会上院 バイオエタノール補助金廃止法案を否決 食料価格問題より地元の利害)バイオ燃料を擁護した。ブラジルはサトウキビエタノールの大生産国、国益を守るための発言と取られても仕方がなかろう。ルラ・ダ・シルバ前大統領はl、バイオ燃料には良いバイオ燃料と悪いバイオ燃料があると、サトウキビエタノールを擁護、アメリカのトウモロコシエタノールを批判していたが、ブラジルのサオウキビエタノールが昨年来の砂糖価格の歴史的高騰の主要な原因となったことは間違いない。国際機関、食料安全保障を最大の目的とする国際機関の長がこんなことでいいのだろうか。彼が獲得した票は180票のうちの92票にすぎない。FAOは、管政権以上の難局に直面するかもしれない。

 FAO’s new chief defends biofuels,FT,11.6.28
 
UN food boss brings street cred to new jobGlobe and Mail,11.6.27

 6月15日

米議会上院 バイオエタノール補助金廃止法案を否決 食料価格問題より地元の利害

 米国議会上院が14日、1ガロンあたり45セントの税額控除のかたちでブレンダ―に与えられるバイオエタノール補助金を7月1日から廃止する法案を否決した。この補助金は昨年末で期限切れとなるはずのものだったが、期限切れ直前に1年延長が決まっていたたものだ(米国議会 今年で期限切れのバイオ燃料補助金の1年延長で合意)。しかし、オクラホマ選出のトム・コバーン共和党議員は、年に60億ドル(約5000億ドル)も要するこのバイオ燃料補助は税金の無駄使いであるばかりか、トウモロコシ価格をつり上げることで食料価格高騰の原因にもなっていると、7月から廃止する修正法案を提出した。これが、大同団結した農業州選出議員によって葬られたのである。原料トウモロコシの価格は昨年の倍以上に高騰しており、燃料エタノールの1ガロン当たり2〜3ドルのところで45セントの補助金がなくなれば、エタノールはガソリンに対する競争力をたちまち失い、エタノール産業が崩壊する。農業州議員の当然の抵抗だ。仮にこの法案が通ったとしても、下院は一層の大差で否決するだろうし、オバマ大統領は一気の廃止は望まない漸進的な補助金改革派fだから、サインを拒否するだろう。

 先ごろ、世銀、WTO、FAO、IMF、OECDなど10の国際機関が、6月22日からパリで開かれ、食料価格高騰問題に取り組むG20農相会合に向けて勧告する報告書を出したが、この報告は、米国、EUなどの大量のバイオ燃料補助金が世界食料価格高騰の軽視できない要因となっているとして、このような補助金の廃止を勧告していた。しかし、世界おいではなく狭い地元の利害が最優先される米国の政治システムのもとでは、これはとても実現できない。EUの政治家も、まるで「化石」のように、バイオ燃料は温暖化防止に不可欠と信じている。彼らは、バイオ燃料ではなく、”投機”こそ悪者だと言い立てるだろう。しかし、投機は規制では抑えられない。投機を抑えるには、将来の需給逼迫の要因、中でもバイオ燃料需要の拡大を抑えるのが一番だ。 バイオ燃料需要が増え続けるかぎり、食料価格高騰は収まらない。米国エタノール産業は、トウモロコシだけでなく、いまやトウモロコシより安くなった主要食料・小麦にまで手を出そうとしている。G20は、またも食料価格高騰の鎮静に失敗するだろう。

 Effort to End Tax Credit for Ethanol Fails in Senate,The New York Times,11.6.15
 
Scrap biofuel support to curb food costs: agencies,Reuters,11.6.10
 
Analysis: U.S. ethanol plants toy with wheat, committed to corn,Reuters,11.6.15
 Price Volatility in Food and Agricultural Markets: Policy Responses(FAO,WB,WTO,OECD・・・),11.6.2

  3月5日

 ドイツ エタノール10%混合ガソリンを消費者がボイコット 政府は関係団体を非常招集

 ドイツ政府はバイオエタノール10%混合ガソリン(E10)を今年初めから許すと決めた。従来は5%までの混合しか認めていなかったが、2009年からはE10 を許すというのが当初の計画だった。ところが、E10が使えない古い車が多すぎると思われたことから、これを中止した。しかし、ドイツで消費される輸送用燃料中のバイオ燃料のシェアは、2007年の7.3%から2008年には5.9%、2009年には5.5%と減ってきた。環境への悪影響の懸念から、議会が利用目標を切り下げ、バイオ燃料の中心をなすバイオディーゼルへの課税を引き上げたからだ。これでバイオディーゼル消費は大きく落ち込んだ。他方、バイオエタノール消費は急増した。それでも、その消費量はバイオディーゼルの4分の1程度にすぎず2009年)、バイオディーゼル消費の減少を埋め合わせることはできない。E10導入は、EU指令が定める義務的利用目標を達成するための手段をなす。

 ところが、ドイツの主要燃料生産者であるBP (BP.L)社が、売れないという理由でゲルゼンキルヘンとリンゲンの二つの精製所での生産を停止した。これは、ドイツ北部でのE!0導入の停止を意味する。政府は4日、燃料生産・流通にかかわる企業、消費者団体、自動車運転者団体の代表者を、来週開かれる”サミット”に招くと発表した。その目的は、E10発売を妨げる問題の共通の解決策を見出すことという。バイオ燃料産業団体(MWV)は、運転者の70%が、多くはエンジンを損傷する恐れから、E10給油を避けると言っている。これに対し、政府は、そういう曖昧なメッセージを発したあと、この燃料の段階的導入を続けるのかどうかはっきりさせよと要求した。しかし、ドイツのマスコミはこぞって非は政府にありと論じている。サミット招集よりも、E10使用が環境に優しく、エンジンも傷つけないことを明確にするのが先決と言う。 

 REFILE-German govt to host summit over biofuel on Tuesday,Reuters UK,3.4
 http://uk.reuters.com/article/2011/03/04/germany-biofuel-idUKLDE72317M20110304

 German press review: Government to blame for biofuel crisis,Duetsche Welle World,3.4
 http://www.dw-world.de/dw/article/0,,14888883,00.html

 2020年には輸送用燃料の10%を、バイオ燃料を中心とする再生可能燃料に置き換えねばならない(EU指令による義務。前途多難である。

 2月14日

 タイ 主要原料パームオイルの不足でバイオディーゼルの強制混合率を引き下げ 

 国家エネルギー政策委員会(NEPC)が2月11日、ディーゼル燃料の小売価格の上限を1リットル30バーツとする現在の価格統制を4月まで延長することを承認した。石油価格の世界的高騰から国内消費者を護るためだ。このために必要な補助金を賄う石油基金は現在230億バーツ残っているが、これが100億バーツにまで減ったらこの価格統制の終了日を再考する。

 NEPCは同時に、現在3%の強制バイオディーゼル混合率を2%に引き下げることも承認した。これによってバイオディーゼルの主要原料であるパームオイルの需要を減らす。4月にはパームオイルの市場への供給が増えると予想されるから、これは3月末までの時限措置とする。これにより、石油基金の支出を月6億バーツ節約できる。パームオイル不足で政府は輸入依存を深めている。バイオディーゼル混合率が高ければ高いほど燃料価格が上がる。パームオイル不足がパームオイル価格をつり上げるからだ。政府は強制混合率を今年1月から3%に引き上げる計画だったが、原料不足から実施は延期されていた。

 Diesel subsidy extended again, biofuel content cut,The Nation,2.12
 http://www.nationmultimedia.com/home/Diesel-subsidy-extended-again-biofuel-content-cut-30148520.html

  10年 

 12月27日

  中国 バイオディーゼル消費税を免除 廃食用油の燃料利用促進で食品安全確保の狙いも

 財政部と税務総局が、廃動物油脂または植物油から製造される純粋のバイオディーゼルに対する消費税を免除すると発表。これは2009年1月1日に遡って実施、既に支払われた分は払い戻す。狙い再生可能資源部門を振興、石油需要を減らすとともに生態環境を保護することにある。これにより、バイオディーゼル生産者はトン当たり900元(135.14米ドル)を節約できると期待される。燃料部門におけるバイオディーゼル生産者の競争力が強化され、また廃食用油の食用再利用が減ることで食品安全性が高まることも期待される。

 中国は2020年までに200万トン(2009年のフランスの生産量に拮抗⇒http://www.ebb-eu.org/stats.php)のバイオディーゼル生産を目指しており、そのほとんどすべてが廃食用油を原料とするという。

 China exempts consumption taxes on biodiesel,xinhua,12.25
 http://news.xinhuanet.com/english2010/china/2010-12/25/c_13664404.htm
  China to exempt consumption tax on biodiesel(Reuters)),asiaone,10.12.25
  http://www.asiaone.com/Business/News/Story/A1Story20101225-254769.html

 12月11日

 米国議会 今年で期限切れのバイオ燃料補助金の1年延長で合意

 納税者に多大の負担を強い、経済の足かせにもなると延長には反対の声が強かった今年末に期限切れを迎える燃料用バイオエタノールへのガロン45セントの補助金(ブレンダ―に対する減税)と、ガロン1ドルのバイオディーゼル補助金を、さらに1年与えることで米国議会内の合意ができた。さらに、ブラジル等からの廃止要求が強いガロン54セントの輸入関税もあと1年維持するという。

 Senate tax bill extends ethanol credit, tariff,Reuters,12.10
 http://www.reuters.com/article/idUSTRE6B74PU20101211
 Grassley: Deal struck to extend ethanol subsidy,Des Moines Register,12.10
 http://www.desmoinesregister.com/article/20101210/BUSINESS01/12100334/1001/NEWS/Grassley-Deal-struck-to-extend-ethanol-subsidy

 原料トウモロコシの値上がりでエタノール価格が上昇、ガソリン価格を上回る状態は、冬場に入っての石油価格の上昇で解消に向かっている(トウモロコシ・エタノール(シカゴ)とガソリン(ニューヨーク)の先物相場の推移)。それでも、エネルギー価がガソリンの60%程度しかないエタノールは、補助金なしではガソリンとの競争は難しい。補助金廃止となれば、多くのエタノール工場が閉鎖に追い込まれるのは間違いないだろう。 バイオ燃料産業やトウモロコシ農家一息はついた(飼料価格高騰で苦しむ畜産・食肉産業はガックリだが)。しかし、その先が見えない以上、07年エネルギー法が定めた2020年36億ガロンの目標(義務的使用目標量)に向かっての産業の前進・革新は停滞を免れないだろう。

12月10日

 伊藤忠 ベトナムでのバイオエタノール生産ジョイントベンチャーに参画

 伊藤忠商事がベトナム国営石油・ガス総公社PetroVietnam(ペトロベトナム)と組み、ベトナム南部ビンフォック省で燃料用バイオエタノールの共同生産事業に乗り出す。同社としてはブラジル、フィリピンに続くバイオエタノール製造事業参画になる。2012年春からキャッサバを原料とするバイオエタノールの商業生産を開始、年産10万キロリットルの生産を目指す。生産さfれたエタノールはペトロベトナムオイル社が傘下のガソリンスタンドなどを通じてに販売する。

 ベトナム南部ビンフォック省におけるバイオエタノール生産事業について 伊藤忠商事ニュースリリース 2010年12月6日
 http://www.itochu.co.jp/ja/news/2010/101206.html

 なお、ペトロベトナムは今年8月から、ガソリンにバイオエタノール5%を混ぜたE5燃料の販売を始めている。同社はビンフォック、フート、クワンガイの3省で3工場を建設、2011年に生産を開始する計画を持つ。乾燥キャッサバから年3億リットル(30万キロリットル)の生産を目指す

 Oil giant to market bio-fuels,Viet Nam News,2010.7.31
 http://vietnamnews.vnagency.com.vn/Economy/Business/202045/Oil-giant-to-market-bio-fuels.html

 伊藤忠だけではない。日本、韓国、中国などの多くの外国企業がキャッサバエタノール生産のために東南アジア諸国に殺到しており、キャッサバ栽培地の拡大は食料価格の上昇を引き起こしている。

11月17日

 カンボジア 原料不足でバイオ燃料企業が生産停止 ヤトロファ生産者が低収量で他作物に転換

 今年年初、バイオディーゼル生産量を3倍の日産2000リットルに増やすことを計画していたNTC Jacam Energy社が、原料のヤトロファ(ジャトロファ)種子が調達できずに生産停止に追い込まれた。これまで原料を供給していた農民が、ジャトロファ種子の低収量のために他の作物への転換を余儀なくされたという。

 Kingdom’s biodiesel plans on hold as jatropha disappears ,Phnom Penh Post,10.11.16
 http://www.phnompenhpost.com/index.php/2010111644746/Business/kingdoms-biodiesel-plans-on-hold-as-jatropha-disappears.html

 「ヤトロファは作物としての改良をほとんど受けておらず、収量、油の品質、油の含有量もまったく定まらない」というFAOの早くからの警告を無視したバイオ燃料企業のヤトロファ栽培推進が、貧しい国の貧しい農民たちの期待を未だ裏切り続けている。(参照:翻訳:ヤトロファ “ミラクル”な作物(FAO食料農業白書2008より),09.10.30;ヤトロファのエネルギー利用 乾燥地の貧しい農民に多大な利益 石油輸入削減への貢献は非現実的―FAO新報告,10.7.23)

10月11日

 米国 トウモロコシ価格→エタノール価格高騰で再生可能燃料利用義務達成はますます困難に

 米農務省が10月8日、予想外の不作のために予想トウモロコシ供給量を前月予想から大幅に切り下げた。15年来のトウモロコシ需給逼迫の予想を受け、8日のシカゴ市場トウモロコシ先物相場はストップ高となった(米欧の不作で粗粒穀物が供給不足に 米農務省予測が急変 シカゴ穀物等先物相場はストップ高)。こうなるとエタノール生産者の採算が取れなくなるだろう。エタノール供給不足が予想される。エタノール先物相場(期近)も前日のガロン1.988ドルから2.184ドルに急騰した。いまでも割高なエタノールブレンドガソリンはますます売れなくなる。

 エタノール生産者は、義務的利用目標達成のためには、エタノールブレンド量の上限を現在の10%から15%に引き上げる必要があると運動しており、環境保護庁(EPA)はこの15日にその可否の結論を出すことに なっている。しかし、その結論がどうなろうと、この価格では消費者のエタノール離れはますます進むだろうし、ブレンド業者もますますブレンドを嫌がるようになるだろう。今年は120億ガロン、2015年には150億ガロンと定めらた義務的利用目標は遠のくばかりだ。

 U.S. ethanol shoots up on surprise corn shortfall,Reuters,10.8
 http://www.reuters.com/article/idUSTRE6973K020101008

8月30日

 EUはアフリカのランドグラブを助長し・温暖化を速めるバイオ燃料利用目標を取り下げよ ”地球の友”が新報告

 地球の友・ヨーロッパと地球の友・アフリカが8月30日、EUは2020年までに輸送用燃料の最低10%をバイオ燃料に置き換えるという目標を取り下げよ、さもないと、外国企業・投資家が肥沃な土地を取り上げ、森林破壊を促し、アフリカの飢餓と貧困を助長、温暖化を速めるばかりだと主張する新たな報告を出した。11ヵ国のランドグラブのケースの研究を通じ、すくなくとも500万ヘクタール―デンマークの国土面積に相当―の土地が、主としてヨーロッパ市場向けのバイオ燃料を生産するために外国企業によって取得されている。

 11ヵ国の事例

 Sierra Leone Swiss based Addax Bioenergy obtains 26,000 ha for sugarcane.
 Ghana Italian-based Agroils obtains 105,000 ha, UK company Jatropha Africa acquires 120,000 ha, ScanFuel (Norway) cultivates 10,000 hectares and has contracts for ca. 400,000 ha, Galten (Israel) acquires 100,000 ha.
 Benin Proposed 300,000 -400,000 ha of wetlands to be converted for oil palm.
 Nigeria Land acquisitions by the state using foreign capital and expertise.Over 100,000 ha grabbed.
 Cameroon Cameroon/French company expanding palm oil plantations including 60-year lease on 58,000 ha.
 Angola 500,000 ha of land designated for agrofuels. Angolian,Brazilian, Spanish and South African companies.
 Congo Chinese company requests 1 million ha.Italian energy corporation ENI plans palm oil plantation of 70,000 ha.
 Ethiopia 700,000 ha earmarked for sugar cane,23 million ha suitable for jatropha. UK-based Sun Biofuels operates 5,000 ha, Acazis AG (German) leases 56,000 ha with concessions for another 200,000 ha.
 Kenya Japanese, Belgian and Canadian companies plan to up to 500,000 ha.
 Tanzania 1,000 rice farmers forced off their land to make way for sugarcane.
 Mozambique Investors aim for 4.8 million ha.Over 183,000ha currently allocated to jatropha.Companies: UK, Italy,Germany, Portugal,Canada and Ukraine.
 Swaziland UK based D1 Oils suspends expansion of jatropha despite promotion by rockstar Bob Geldof.

7月23日

 ヤトロファのエネルギー利用 乾燥地の貧しい農民に多大な利益 石油輸入削減への貢献は非現実的―FAO新報告

  国連食糧農業機関(FAO)と国際農業開発基金(IFAD)が、ヤトロファ(ジャトロファ)のエネルギー作物として利用に関する新たな報告書を発表した。しかし、その結論は既に言い古されていること(⇒翻訳:ヤトロファ “ミラクル”な作物,09.10.30)と変わらない。すなわち、ヤトロファは、基本的にはなお改良を要する野生植物にとどまっており、とりわけ途上国の半乾燥地域や辺鄙な地域の貧しい農民に利益をもたらすだろうが、途上国の石油輸入の削減に大きく寄与するといった期待は非現実だという。

 http://www.fao.org/docrep/012/i1219e/i1219e.pdf

 報告によると、ヤトロファ(Jatropha curcas L.)の根は地中深に達し、農業にとっては限界的な乾燥地域の劣化土壌でも育つ。表層の根は土壌をとらえ、侵食を減らすこともできる。その種子は化石ディーゼルよりも汚染が少ないバイオディーゼルに加工することができ、これは貧しい農村家族に灯りや調理燃料を提供する。副産物のシードケーキは肥料や家畜飼料(ただし解毒後の)としての利用価値がある。肥料など農業資材の価格や輸送コストが高い乾燥地域や辺鄙な地域では大きな可能性がある。ただし、乾燥地域の劣化した土壌で収量を持続させるためには水と肥料が必要になる。

 ヤトロファ生産は、特に小規模農民や契約栽培農民、民間企業の労働者の所得源となり得る。ヤトロファ油を燃やすエンジンで動く製粉機は婦人の労働を大きく軽減するだろう。調理用燃料をヤトロファ油に置き換えることで、調理に よる室内空気汚染(子どもの肺炎や大人、特に女性の慢性的肺疾患などの呼吸器病の大きな原因となってきた)を大きく減らすこともできる。燃料を集めるための婦人や子供の労働も軽減できる。薪の利用を減らすことで、森林資源への圧力も減らせる。このように、農村の貧しい人々に多大な利益をもたらす。

 とはいえ、ヤトロファは作物としての改良をほとんど受けておらず、収量、油の品質、油の含有量もまったく定まらない。現在栽培されているヤトロファの大部分は有毒で、シードケーキの飼料としての利用を不適にしており、人間にも危害を及ぼす恐れがある。作物としての改良が利用拡大の前提となる。

7月16日

  米国有力エタノール生産者団体 エタノール混合ガソリン給油所設置支援等と引き換えに補助金廃止を提案

 米国第一のメーカーのPOETを含む米国燃料エタノールの30%を生産する産業団体・Growth Energyが7月15日、ガソリンにエタノールを混合するブレンダー給油機の全国設置と、エタノールを輸送するパイプラインの建設のために使われる援助と引き換えに、年60億ドル(5200億円)にものぼるエタノール補助金を段階的に廃止することを提案した。また、団体は自動車メーカーに対し、エタノールを最大85%まで混合できるフレックス燃料車を作ることも要求している。ブレンダーに対する1ガロンあたり45セントの補助金(税額控除の形での)という現在の主要エタノール奨励措置は今年で期限切れとなるが、ジェフ・ビンガマン上院エネルギーコミティー委員長は、今後5年間で300億ドルを要するこの措置の延長に難色を示している。その中での有力業界団体の提案である。

 団体の提案は、給油に際して消費者がエタノール混合比の高いガソリンを選べるようにするブレンダー給油機が全国的に設置され(現在は数えるほどしかない)、道路を走るフレックス車が1億台を超えるとき、このようなエタノール助成を段階的に廃止するというものだ。ただ、期限は限っていない。提案によると、45セントの税額控除に支出される現在のマネーは20万台のブレンダー給油機設置のための税額控除に転換される。提案は、エタノールパイプライン建設のための信用保証と、現在のブレンダーに対する税額控除に代わる生産者に対する税額控除も要求している。

 POETは、ブレンダー給油機とフレックス車がどこでも見られるようになれば、エタノールはガソリンと十分に競争できると言っているそうである。

 ORRECTED-Ethanol group backs shift, phase out US biofuel aid,Reuters,7.15
 http://www.reuters.com/article/idUSN1521158720100715

7月16日

 欧州植物油産業連盟(FEDIOI)、持続可能なバイオ燃料に関するラウンドテーブル(RSB)から脱退

 FEDIOLが7月9日、RSBから脱退すると発表した。原料加工者とバイオ燃料生産者がその統治機構で十分な役割を当てられていないというガバナンスの問題や透明性の欠如のために、RSBの原則と基準( 農業情報研究所部分仮訳)はバイオ燃料生産の現実とかけ離れたものになっており、コンプライアンス(順守)はほとんど不可能、加えて、この原則と基準はコンプライアンス立証責任を農民、原料生産者、バイオ燃料生産者に完全に負わせている(ブレンダーは立証責任を免れている)からだという。

 ただ、FEDIOlは、責任ある大豆に関するラウンドテーブル、持続可能なパームオイルに関するラウンドテーブルへの参加で示されるように、持続可能性へのコミットは続けるということだ。

 FEDIOL formally withdraws its membership from the Roundtable on Sustainable Biofuels,FEDIOL,10.7.9
 http://www.fediol.be/dm/docs/66471967442d08c436b7306ec7616fde/fediol_10ENV161_3182.pdf

6月23日

  米国バイオディーゼル EU市場に次ぎ、豪市場からも締め出される恐れ 豪当局がダンピング調査

 オーストラリア当局が米国バイオディーゼルのダンピング調査を始めた。米国バイオディーゼルがダンピング価格でオーストラリアに輸入され、国内生産者に損害を与えているというBiodiesel Producers社の訴えを受けたものだ。EUは昨年3月、米国からの輸入バイオディーゼル にアンチダンピングおよび補助金相殺関税を課し、安価な米国バイオディーゼルをEU市場から締め出したが、米国バイオディーゼルはオーストラリア市場からも締め出される恐れが出てきた。Biodiesel Producers社によると、米国から輸出されるバイオディーゼルは1ガロンにつき1ドル(リットル30セント)の所得税補助金を受けており、それが米国内で使用されるバイオディーゼルだけでなく、その輸出市場も支持している。

 Australia probes US biodiesel dumping,Reuters,6.21
 http://www.reuters.com/article/idUSTRE65L0S220100622

6月19日

 米国EPA E15承認に関する決定を9月末まで延期 エタノール業界は失望

 米環境保護庁(EPA)が17日、2007年以後に作られた車についてガソリンへのエタノール混合比率を現在の10%から15%に引き上げることを承認するかどうかを決定するための試験は9月末まで完了しないと明かした。EPAは、エタノール15%混合ガソリン(E15)の使用を許すかどうかを決定するための2001年モデル車についての試験を今月中に完了するとしてきた。しかし、エネルギー省が実施中の2007年以後に作られた車についての試験が終わるまで決定を延期するという。

 昨年は原油価格下落でバイオ燃料市場が縮小、多くのバイオ燃料企業が破産に追い込まれた。E15承認がこの不振から立ち直るための切り札になると期待してきたバイオ燃料業界や農業者は失望を隠せない。ただ、自動車業界や石油精製、燃料供給業者は、E15への強い懸念を表明してきた。

 Exclusive: Tests delay U.S. ruling on ethanol blends,Reuters,6.17
 http://www.reuters.com/article/idUSTRE65G66Y20100618

 関連:ADM "disappointed" in EPA ethanol blend ruling delay,Reuters,6.18
          http://www.reuters.com/article/idUSTRE65H4UY20100618

4月13日

 欧州投資家 アフリカのヤトロファディーゼル ・プロジャウトを延期 土地保有の不確実性と原油価格低迷のため

 南部アフリカ共同体(SADC)のバイオ燃料技術顧問が、ヤトロファからバイオディーゼルを生産するために石油会社とパートナーを組んできた欧州投資家が、土地保有権の不確実性と原油価格の低迷を理由に、ザンビアとタンザニアでの二つのプロジェクトを一時停止すると語った。 この投資家の名前は明かさなかった。プロジェクトを中止するわけではなく、政策環境と利用できる財政的インセンティブ、世界金融状況がよりはっきりすればすぐにも再開するという。

 彼によると、バイオ燃料の大規模生産を目指し・また農村コミュネティ経済振興計画を含む国家戦略を持っているのは南アフリカとモザンビークだけである。ブラジルは、慎重に計画すれば、バイオ燃料は食料安全保障を脅かすことなく職・所得・国産エネルギーをアフリカ諸国にもたらすことができると言っている。しかし、南アフリカを含む諸国政府は、適切な戦略がなければ、バイオ燃料は食料不安を引き起こすと恐れている。

 European investors delay Africa biofuels projects,Reuters,10.4.12
 http://af.reuters.com/article/topNews/idAFJOE63B0MH20100412?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0

3月26日

 EU 新たな研究がバイオ燃料利用目標レベルの切り下げを示唆 一定レベルを超えると間接的土地利用変化が環境便益を帳消し

 ロイター通信によると、EUの未公表だが最も包括的なモデル研究が、2020年までに道路輸送用燃料の10%を再生可能燃料―大部分はバイオ燃料―に置き換えるという目標の5.6%への切り下げを示唆している。問題は、目標実現のために必要になる原料作物の増産がもたらす「間接的土地利用変化」の環境影響である。原料作物がどこで栽培されようと、その栽培のために必要になる土地は食料作物栽培用地と競合、世界中の農民を農地拡大に走らせ、時にマレーシアやインドネシアにようなパームオイル主産国の熱帯雨林や泥炭地の破壊にもつながる。それによって起きる大量の温室効果ガスの大気中への放出は、理論的に考えられるバイオ燃料の気候変動防止効果 も帳消しにするばかりか、かえって温暖化を促進することにさえなりかねない。

 研究によると、このような間接的土地利用変化の影響は、EUのバイオ燃料利用が一定の点―道路輸送用燃料の5.6%―に達するまでは重大にならない。しかし、これを超えると、間接的土地利用変化がバイオ燃料の環境便益を無にしてしまう現実的危険性があるということだ。研究は、バイオ燃料利用目標を5.6%に引き下げ、輸送用燃料の10%を占める再生可能燃料中の電気自動車の割合を増やすべきことを示唆している。また、現在のEUのバイオ燃料は大半が環境影響最悪のバイオディーゼルだが、もっと環境に優しいバイオエタノールの比率を45%にすべきことも示唆しているという。

 EU report signals U-turn on biofuels target,Reuters,3.25
 http://www.reuters.com/article/idUSTRE62O3O420100325

2月16日

 デンマーク酵素生産企業、第二世代バイオエタノール生産のための新酵素を相次ぎ発売へ

 既に第一世代バイオエタノール生産用の酵素を販売しているデンマークのダニスコ社が15日、藁やトウモロコシ穂軸などの農業廃棄物から作られる第二世代バイオエタノールのための酵素を売り出すと発表した。 翌日、世界最大の工業用酵素生産者であるデンマークのライバル会社・ノボザイムズ社も、「セルロースエタノールのための技術的ブレークスルー」を発表した。これは、第二世代バイオエタノール用の新酵素の発売を意味する。新製品は、「たとえば藁のセルロース壁を分解できる」。同社スポークスマンは、「デンマークの2社が先陣を競っている」、「藁からのバイオ燃料生産は、米国の現在の(ガソリン)価格でもガソリンと競争できる」と語ったそうである。

 Danish firms launch second generation biofuel enzymes,Reuters,2.15
 http://www.reuters.com/article/idUSTRE61E2IR20100215

 トウモロコシエタノールに将来性はない。にもかかわらず、オバマ大統領は、2020年までに360万ガロンという利用目標(事実上は、国内生産目標)を達成すると表明したばかりだ(米EPA最終ルール バイオ燃料の温室効果ガス排出量に間接的土地利用変化の影響を算入-生き残れるバイオ燃料工場は半数?)。新世代バイオ燃料開発競争に改めて火がついたということか。

  09年

12月18日

 エタノール車はガソリン車よりも多くのオゾンを生み出す スタンフォード大学の研究

 スタンフォード大学の研究者が、エタノールで走る車は、特に冬季、ガソリン車よりも高濃度のオゾンを生み出すことを発見した。これは、以前はオゾンが重大な問題とならなかった地域に新たな健康問題を生み出す恐れがある。オゾン

 Ethanol results in higher ozone concentrations than gasoline, Stanford researchers say,Stanford Unversity News,12.14
 http://news.stanford.edu/news/2009/december14/ozone-ethanol-health-121409.html

11月28日

 ノルウェー バイオディーゼルに対する道路税免除を廃止 バイオディーゼル税を導入

 ノルウェー議会が26日、バイオディーゼルを導入するという政府提案を、86対83の僅差で採択した。従来、環境に優しい燃料の利用を促すと言う理由でバイオディーゼルに対する免税措置が取られてきた。

 しかし、バイオディーゼルであろうが、通常のディーゼルであろうが、道路輸送は事故、渋滞、騒音、道路の磨耗や傷みを同じように引き起こし、それらが生むコストは燃料の種類とは無関係だ。そこで、政府は2007年予算ですべての燃料が課税されるべきと述べていた。他方、2009年には、すべてのディーゼルに2.5%のバイオディーゼルをブレンドすることを義務づけた。このバイオディーゼル販売の義務づけで、バイオディーゼル奨励措置としての免税は”無駄”(事業仕分けで日本の流行語になった)になる。

 ということで、バイオディーゼルに対する道路税は導入されるが、CO2税は課されないので、通常のディーゼルよりはまだ安い。

 バイオ燃料に対する免税措置を廃止、代わりにその販売を義務づけるのはヨーロッパの潮流に沿うものという。ドイツは既に2007年、バイオディーゼル税を導入すると同時に、販売を義務づけた。スウェーデン政府も、2014年までに同様の措置を取るとしている。

 ノルウェー政府は、新たな税収を新たな環境技術の開発の資金にすることを考えているという。

 Biofuel tax passed by Parliament,Norway Post,11.28
 http://www.norwaypost.no/content/view/22820/1/

 Norwegian Government Proposes To Remove The Exemption Of Road Tax On Biodiesel,eGov Monitor,11.24
 http://www.egovmonitor.com/node/31222/print

11月11日

 マレーシア政府 バイオディーゼルブレンド率引き下げを検討 5%から3%へ

 Govt may replace B5 biodiesel with B3,The Star,11.10
 http://biz.thestar.com.my/news/story.asp?file=/2009/11/10/business/5075899&sec=business

 ディーゼル燃料に5%のバイオディーゼルをブレンドするB5プログラムを断念、ブレンド率を3%に引き下げるかもしれない。B5プログラムへの反応があまりに鈍いからだ。現在、三つの官公庁の約4000台の車が月平均40トンのB5ディーゼルを使っているだけだ。しかし、来年完全実施となるB5プログラムでは、政府は年に50万トンのバイオディーゼルが必要になるだろうとしている。

11月10日

 ブラジル政府 大都市でのバイオディーゼルブレンド率の20%への引き上げを提案

 Brazil biofuel producers hail government's proposal of 20% biodiesel blend by 2015,人民網Engrish,11.7
 http://english.people.com.cn/90001/90778/90858/90864/6806781.html

 穀物メジャーADM エタノール部門で第四四半期は大赤字

 世界最大の穀物加工業者で、米国第二のエタノール生産者であるアーチャー・ダニエルズ・ミドランド(ADM)社が8月4日、世界経済の後退で油料種子、エタノール、その他の農産商品の需要が減ったために、6月で終わる第四四半期(09年4月-6月)の利益が大きく落ち込んだと発表した。純利益は1年前の3億7200万ドルから6400万ドルに、3億800万ドル、83%も減った。

 油料種子加工(大豆ミールなど飼料向け蛋白質粕と食用植物油)からの利益は1億4800万ドル(3億7500万ドル→2億2700万ドル)の減少だ。トウモロコシのエタノールやその他製品への加工部門は、エタノール価格の低迷と原料(=トウモロコシ)のコスト高の影響で、1年前の1億2300万ドルの営業利益が1億6000万ドルの営業損失に転じた。

 Archer Daniels Midland Company Reports Annual Results,09.8.4
 http://www.adm.com/en-US/news/_layouts/PressReleaseDetail.aspx?ID=198

 穀物メジャー・ADMとはいえ、バイオ燃料不況にいつまで耐えられるのだろうか。もっとも、ごく最近は、原油価格の回復とトウモロコシ価格の低落で、米国エタノール産業も一息ついているところではあるが(参照:シカゴ商品取引所バイオエタノールとトウモロコシの先物相場の推移)。

6月13日

 ドイツ連邦参院 バイオ燃料ブレンド比率引き下げ案を否決 バイオ燃料税で瀕死の業界が歓迎

 ドイツ連邦参議院が12日、2009年の化石燃料へのバイオ燃料混合比率を6.25%とするという当初目標を5.25%に引き下げ、また(2006年8月以来課されている)バイオ燃料税をさらに引き上げるという政府提案を否決した。

 政府提案は、バイオ燃料生産拡大の食料価格への影響などを懸念したものだが、多くのバイオ燃料工場が集まる東部・ブランデンブルク州などが、ドイツのバイオ燃料投資に損害を与え、二酸化炭素排出を削減するドイツの能力を損なうなどと反対している。

 ドイツバイオ燃料産業協会のスポークスマンは、政府のバイオ燃料課税が化石燃料に対するバイオ燃料の価格優位性を奪い、給油所での販売を減らし、昨年来の連鎖的工場閉鎖につながったと言う。彼によると、ドイツのバイオディーゼル産業は、480万トンの年産能力の60%しか働いていない。2009年に給油所で販売されるバイオディーゼルは、08年の110万トン、07年の180万トンから大幅に減り、たったの20万トンになると見込まれる。

 ブレンド比が6.25%ならば、今年は260万トンのバイオディーゼルが必要になるが、ブレンド比が5.25%に切り下げられると、必要量は200万トンに減る。しかし、バイオ燃料販売税の引き上げは、もはや大した心配事ではない、ブレンド品を扱う給油所がなくなってしまい、課税対象となる販売がほとんどなくなっているからという。

 ただ、政府提案は連邦議会に差し戻されたが、ここで再度承認されれば、法律として成立することになる。

 German parliament rejects cut in biofuel blending,Reuters UK,6.12
 http://uk.reuters.com/article/oilRpt/idUKLC81529520090612

6月6日

  米国・ミネソタ州のパームオイル原料バイオディーゼル禁止にインドネシア政府が遺憾

 6月1日、ミネソタ州が、環境上の理由で、パームオイルから生産されるバイオディーゼルの使用を禁止した。インドネシアのアントン農相は、WTOへの事前の通報なしの規制に遺憾を表明、この動きが全米に広がることを恐れている。

 農相は、この禁止は泥炭地での[オイルパーム農園の]開発、野生動物殺し、森林火災[森林焼き払いによるオイルパーム農園開発]に関連したものだが、5月25−26日の訪米に際し、オイルパーム農園の開発は持続可能性原則に従っていると米政府に説明済みだと言う。

 今まで、インドネシアは、ウィルマー・インターナショナル社を通して間接的に、米国にパームオイルを輸出してきたという。

 RI regrets Minesotta`s decision to ban palmoil-based biodiesel,ANTARA,6.5
 http://www.antara.co.id/en/view/?i=1244156614&c=BIZ&s=

 なお、”地球の友・オランダ”は07年7月、世界最大のパームオイル企業であり、”持続可能なパームオイルに関するラウンドテーブル(RSPO)”のメンバーでもあるウィルマー社が、熱帯雨林を違法に伐採し、森林に火を放ち、地域コミュニティの諸権利を侵害しているとするインドネシア現地調査報告を発表している。

 http://www.foeeurope.org/press/2007/July3_PDC_Wilmar_PalmOil.htm

3月20日

 コスモ石油 パプアニューギニアでのバイオ燃料原料開発に8億ドル投資

 6ヵ月をかけて適切な作物、土壌などに関する原料選択のためのデータを収集、その後3年半をかけて選択された原料物質に関するフルスケールの分析を行う。分析の対象になる作物には、トウモロコシ、キャッサバ、ピーナツが含まれる。パイロットプロジェクト用に、僻地・Yambiに761fの土地が用意された。

 Japan`s Cosmo Oil to invest US$800 mln in PNG biofuel project,TradingCharts.com,3.19
 http://news.tradingcharts.com/futures/7/9/122155497.html

3月19日

米エタノール 最大手の一つ 破産寸前

 米国エタノール最大手の一つであるAventine Renewable Energy Holdings社が16日、十分なキャッシュがすぐにも調達できなければ、連邦破産法第11条(日本の民事再生法に相当)の適用の申請する必要があると発表した。同日、08年第4四半期の3690万ドルの損失を報告したが、前年同期には330万ドルの利益を計上していた。エタノール販売量は大きく増加して2億7779万ガロンになり、売り上げは42%増加したが、価格は1ガロン1.17ドルから63セントにまで下がった。 

 Aventine Says It May Seek Bankruptcy Protection,soyatech.com,3.18
 http://www.soyatech.com/news_story.php?id=12939

 昨年10月には最大手のベラサン・エナジーが同様の破産申請を行っている(米エタノール最大手が破産申請 原料コスト上昇と信用収縮のダブルパンチ,08.11.3)。現在の石油価格では、少なくとも米国トウモロコシエタノールは経済的に存続不能となっている(資料:米国エタノール産業の経済的存続可能性 採算の取れない原料価格レベル,09.1.7)。
 

  08

1217

 ニュージーランド バイオ燃料混合義務を廃止

 ニュージーランド議会が17日、バイオ燃料義務廃止法案を6259の僅差で採択。これは、ガソリン、ディーゼルへの0.5%から始めて2012年には2.5%のバイオ燃料混合を石油会社に義務付ける義務を廃止するもの。前政権が温室効果ガス排出削減の目的で導入したが、バイオ燃料の持続可能性が保証されないことへの不安が高まった。

 Biofuel requirement dropped as bill sneaks through,NZH,12.17
 http://www.nzherald.co.nz/nz/news/article.cfm?c_id=1&objectid=10548584&pnum=2

1210

 フィリピン・ミンダナオ ヤトロファが食料作物に取って代わりつつある

 最近の女性に対する暴力根絶国際記念日式典で先住民婦人リーダーが語ったところによると、ミンダナオ各地でヤトロファ・プランテーションが米・トウモロコシ・バナナ・根茎作物などの食料作物栽培農地に拡大、住民の食料確保を脅かしている。農業省は農場のヤトロファ・プランテーションへの転換のガイドラインの策定を始めた。

 Jatropha displacing Mindanao food crops,Inquirer.12.10
 http://newsinfo.inquirer.net/breakingnews/regions/view/20081210-177076/Jatropha-displacing-Mindanao-food-crops

10月29日

 サウスダコタのエタノール工場が休業 雨でトウモロコシが足りない

 雨で春の作付けが遅れ、収穫も遅れた。おまけに10月は異例の大雨で収穫も進まない。原料のトウモロコシが足りず、エタノール工場が一時閉鎖に追い込まれた。

 Mina ethanol facility offline,Aberdeen News,10.24
 http://www.aberdeennews.com/apps/pbcs.dll/article?AID=/20081024/FRONTPAGE/810240424/-1/RSS02&rssfeed=RSS02
A Mina ethanol plant will temporarily shut down because of limited corn in the area caused by wet weather, the plant's parent company said Thursday.

 石油も戦争やハリケーンで供給が途絶したり、細ったりすることがあるが、ちょっとの天候異変でも供給が途絶えるバイオ燃料にエネルギー安全保障を託す?

10月27日

 米国 大量のエタノール輸送 消化困難な大規模火災対策を迫られる通過市町村

 引火しやすい大量の液体燃料が居住地域を通って輸送されており、多くのコミュニティがあり得る大規模火災への備えを欠いている。一部市町村が緊急対策を取り始めている。例えばアレクサンドリア。毎日大量のエタノールを貨車からタンカーに移し替えるのは危険だと、タウンハウス、地下鉄駅、小学校に取り囲まれた鉄道操車場でのエタノール移送を停止するか、制限しようとしている。

 2006年には、ペンシルバニア・ブライトンでの脱線事故で発火、48時間にわたり燃え続け、7ブロックの住民が避難した。

 4月9日に14万人が住む人口稠密な市でエタノール積み下ろしが始まったが、アレクサンドリアの消防隊がエタノール火災を消すのに必要な手段を得たのはその1ヵ月以上後だった。小学校での訓練は今月まで行われなかった。エタノール混合ガソリンには普通の消化泡は使えない。エタノールは容易に水と混ざるから、アルコールに強い特別の泡を使わねばならない。

 全国的には、178の精製所が年二に110万ガロンを作り出し、道路や鉄道で国中に運ばれる。エタノールの特性から、石油パイプラインは使えない。鉄道はまだしも、トラック輸送は常に危険と隣り合わせている。

 Ethanol's Use Outstrips Plans to Deal With Its Risks,The Wasington Post,10.26
 http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/10/25/AR2008102502095.html?wpisrc=newsletter

 ”持続可能なバイオ燃料”も、ここまでの社会的コストは計算に入れられないだろう。しかし、一旦事故が起きれば、社会が受ける被害は甚大だ。

ケニヤ バイオディーゼル価格下落 ヤトロファ栽培農民存続に脅威

 多くの農民が政府の宣伝に乗り、貯金をはたいて食料作物栽培地にヤトロファを植えてきたが、最近のバイオ燃料価格下落が代替燃料生産の持続可能性への懸念を生み出した。多くの小農民が新たな収入源をヤトロファに期待し、彼らの収入は当初2倍、3倍にもなったが、今は間違った選択をしたのではないかという怖れている。

 Biofuel price fall raises concerns of sustainability,Business Daily,10.27
 http://www.bdafrica.com/index.php?option=com_content&task=view&id=10835&Itemid=5847

9月30日

 アイルランド バイオ燃料利用目標半減を計画 貧困国食料への影響に配慮

 政府は2010年までに輸送用燃料の5.75%をバイオ燃料にするという昨年設定した目標を3%に切り下げることを計画している。29日に環境相が表明した。バイオ燃料生産が貧困国の人々を飢餓に追い立てる食料価格高騰に寄与しているという論議の受けた提案である。環境相は、バイオ燃料生産者が持続可能な方法を使用するように保証する厳格なルールも提案するつもりだ。新たな目標について8週間の間パブリックコメントを求める。

 Biofuel targets to be cut as food crisis fears grow,Irish Independent,9.30
 http://www.independent.ie/national-news/biofuel-targets-to-be-cut-as-food-crisis-fears-grow-1485885.html

9月26日

 カンボジア 英国D1オイル社との合弁企業が10万fのヤトロファ栽培へ

 カンボジアのMong Reththy社がストゥントゥレン州.でのパイロットプロジェクトに成功、来年は10万f以上のヤトロファ・プランテーションに投資すると発表。6ヘクタールの土地で行ったパイロット・プロジェクトで、ヤトロファがカンボジアに適した作物であることが分かった。1f当たり8トンの油が獲れ、トン当たり720ドルで外国に売れるという。同社は07年、バイオディーゼル生産のために世界中で巨大面積のヤトロファ栽培を進めるD1オイル社と、ストゥントゥレン州.の10万fの土地でヤトロファを栽培する合弁契約を結んだ。この契約はパイロット・プロジェクトの成功を条件とするものという。

  Pilot jatropha project successful: company,Phnom Penh Post,9.23
  http://www.phnompenhpost.com/index.php/2008092321789/Business/Pilot-jatropha-project-successful-company.html

 ところで、この広大な土地はどこから出たものだろうか。カンボジアでは、全国にまたがる200以上の漁業・林業コミュニティが、政府に対して国内・外国への経済的土地譲渡政策を止めろと訴えている。国内・外国の民間企業の利益のために、”hundreds of thousands”の人々が生まれ育った土地からの立ち退きを強制されているという。ブラジルの大豆王や砂糖バロンに勝るとも劣らぬ民衆からの土地強奪が政府の手で進められている。バイオ燃料がそれに手を貸 すことになるのは間違いない。

 Land concessions under fire,Phnom Penh Post,9.25
 http://www.phnompenhpost.com/index.php/2008092521825/National-news/Land-concessions-under-fire.html

日本企業がエタノール事業でブラジルに殺到 だが輸送インフラはもう満杯

 伊藤忠がブンゲと組んでブラジルに合弁企業2社を設立、サトウキビエタノールを生産する計画を発表した。年産能力は2011年までに合わせて40万klになる。住友商事も今週初め、ブラジル現地企業と合弁会社を設立、2011年からサトウキビエタノールの生産を始めると発表した。サトウキビ栽培のための3万fの土地を取得、当初は年に20万−30万klの生産を目指す。

 4月にはペトロブラス(ブラジル国営石油)が沖縄をベースとする南西石油を買収、日本でのエタノール混合ガソリンの販売を年内にも始める計画だ。6月、東電とペトロブラスは社員交換を促進、エタノール燃料発電の共同研究への道を開く協定に調印すると発表した。

  7月には、日本バイオ燃料サプライ有限責任事業組合に加入する日本石油とその他の石油販売業者が、ブラジルのサトウキビエタノールを長期協定に基づき調達する計画を発表した。2010年までに年20万klを輸入する。同じ7月、三井物産とペトロブラスも、ブラジルでのエタノール合弁生産に合意した。2009年に生産を始め、大部分は自動車・発電燃料として日本に輸出する。

 8月、スズキ自動車が100%バイオエタノールで走る車を開発、2010年頃には南米と米国で発売する計画を発表した。第一段階として、ブラジルその他で、09年3月末までにエタノール25%混合ガソリンで走る乗用車の販売を始める。

 しかし、国際物流・サプライチェーンコンサルタントによると、ブラジルのエタノール輸出ターミナルは満杯に近づいている。ブラジルのエタノール輸出の80%を引き受けるサントス港には重圧がかかっている。07年、船はサントス・アラモアのエタノールターミナルの停泊場所で、平均3.15日待っていた。この待機時間は、今年は5.37日になり、09年には14.32日に跳ね上がる。サントスの第二のエタノール専用ターミナルであるバラナベでも、待機時間は07年の2.44日から10年には6.93日に増え、11年には18.76日に跳ね上がる。

 ブラジルではトラックが不足しており、ブラジルのエタノール工場の73%は南西地域にあって、港までの鉄道輸送は大豆、鉄鋼、鉄鉱石などの輸出品と競合する。新たなエタノール蒸留所は南西・中西部に集中、港へのルートはさらに混雑することになる。輸送の隘路はますます細くなりそうだ。

 Bottlenecks ahead as Japan pushes Brazil's ethanol industry,Oil & Gas Journal,9.24
 http://www.ogj.com/display_article/340522/7/ONART/none/Prong/1/Bottlenecks-ahead-as-Japan-pushes-Brazil's-ethanol-industry/

9月22日(目次へ

 豪クィーンズランド州 ガソリンへのエタノール混合義務化 食料価格高騰は不可避と専門家

 ガソリンへのエタノール2%−10%混合を昨年10月から義務化したサウス・オーストリア州に続き、クィーンズランド州政府は2010年までに5%、将来は10%の混合を義務付ける。エタノール生産にはサトウキビ廃棄物も使うが、5%混合に必要なエタノールの40%は穀物=ソルガムからのものとなる。地域開発相は、ソルガムは家畜の飼料として使われるのが普通だから、食料供給には何の影響もないという。しかし、バイオ燃料アナリストの農学者は、家畜飼料だから食料供給に影響がないというのは”ナンセンス”だ、「家畜飼料穀物と食料穀物は同じ土地から生産され、同じ資材を使う上に、フィードロットは食料−牛肉を生産するために穀物を使う」と言う。

 Ethanol ruling 'to force up food',Australian,9.22
 http://www.theaustralian.news.com.au/story/0,25197,24381581-5013404,00.html

9月18日(目次へ

 ブラジル 今年のエタノール生産が急拡大 フレックス車増大に対応

 ブラジルのサトウキビ生産者協会(UNICA)によると、ブラジルでは今年、07年の20を超える25から30のエタノール生産工場が新たに立ち上がる。この拡張の加速は、ガソリンとエタノールのどちらでも走れるフレックス車の需要増大への対応である。自動車メーカーは240万台のフレックス車を生産、フレックス車がブラジルの自動車に占める比率は12年までに50%になる。08/09年のエタノール生産量は全前年の190億リットルから27%増加して243億リットルになると見込まれる (参照:世界各国のバイオ燃料生産量,08.6.7)。

 フレックス燃料オートバイの導入などの新たな計画で、将来のエタノール需要はさらに増大する。その他、フレックス燃料バス・トラック・発動機などのプロジェクトもある。さらに、ボイラーや炉での利用、バイオプラスチック原料としてのの利用もあるだろう。サトウキビ搾りかす(バガス)から生産される電力は1800メガワット、07/08年のブラジルの消費電力の3%を占める。これは2020年には1万4400メガワット、15%にまで増える。

 Brazil To Start Up To 30 New Ethanol Prod Units This Year,FX Market,9.16
  http://www.fxstreet.com/news/forex-news/article.aspx?StoryId=ea8b0697-15f7-44ed-946a-6ade498df39d

 スウェーデン企業 タンザニア・モザンビークでエタノール大規模生産を計画 

 スウェーデンのバイオ燃料企業・Svensk Etanolkemi AB(Sekab)が、3億ドルを投じてタンザニアにサトウキビ・エタノール工場を建設する計画。タンザニア政府が最大2万fのサトウキビ栽培を許可するのを待っている。工場は2010年−12年の操業を始め、年に10万㎥のエタノールを生産する。

 Sekabはタンザニアの他の地区での20万f、隣国・モザンビークでの10万fの土地の開発も申請している。

  Sekab to Invest $300 Million in Ethanol Plant in Tanzania,Bloomberg,9.17
  http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601116&sid=a8DOf6meB4Bo&refer=africa

 米エタノール最大手メーカー 原料トウモロコシのコスト高で赤字に

 トウモロコシ価格高騰でヴェラ・サン社の第三四半期決算が6300億ドルから1億300万ドルの赤字となる見込み。第三四半期のトウモロコシ平均コストはブッシェル当たり6.75-7ドルと見込まれる。

 Ethanol maker VeraSun sees third-quarter loss,Reuters,9.17
 http://www.reuters.com/article/companyNews/idUKN1652097120080917?symbol=VSE.N

9月16日(目次へ

 マレーシア政府 パームオイルディーゼルを締め出す欧州議会バイオ燃料基準の見直しを

 マレーシアのパームオイルと木材の持続可能性を訴える使命を帯びてヨーロッパを訪問していたマレーシアのプランテーション産業・商品大臣が、マレーシアのパームオイルディーゼルがEU市場から締め出されると、温室効果ガス排出量が化石燃料よりも45%以上少ないという欧州議会産業委員会のバイオ燃料基準案(参照:欧州議会 EUの輸送用バイオ燃料利用目標切り下げ 持続可能性基準も強化へ,08.9.12)の見直しを求めた。大臣は、この基準ではパームオイル、大豆、菜種を原料とするバイオディーゼルすべてが失格となり、2020年までに輸送用エネルギー の10%を再生可能エネルギー にするというEUの目標が達成できないのは明らかと、EU諸国政府の巻き返しに期待する。

 KL wants EU to review decision on biofuel,Business Times,9.16
 http://www.btimes.com.my/Current_News/BTIMES/Tuesday/Nation/16chiny.xml/Article/

9月9日(目次へ

 中国企業 ラオスでバイオディーゼル生産 南部4県の10万fの土地で原料作物栽培

 ラオス民間企業と中国のZTE Co-operation Co., Ltdが国内消費・輸出用バイオディーゼル生産のための作物栽培に関する協力プロジェクトに調印。400万米ドルを投じる30年のプロジェクトは、南部4県で10万fの原料作物栽培用地を使用することになる。

 Chinese investors to build bio-diesel factory in Laos,KPL,9.9
 http://www.kplnet.net/english/news/edn8.htm

9月3日(目次へ

 米共和党 エタノールの強制混合を止め、自由市場に委ねよ

 ブッシュ政府のエタノール政策に、お膝元の共和党が反乱。9月1日、ミネソタ・セントポールで開かれた共和党大会が、政府はガソリンへの一定量のエタノール混合の義務付けを止め、自由市場の働きに委ねるべきと述べた2008年政策綱領を全会一致で採択した。

 U.S. Republicans break with Bush on ethanol,Reuters,9.2
 http://uk.reuters.com/article/oilRpt/idUKN0133790420080902

8月29日(目次へ

 シェーファー米農務長官 ウォール・ストリート・ジャーナルにコーン・エタノール擁護の投稿

 トウモロコシのエタノール生産への利用による食品価格高騰が重大な経済的損害をもたらしているから、法律が義務付けたバイオ燃料利用量を減らすことを認めよという訴えを退けた米国環境保護庁の決定(米国環境保護庁 テキサス州のバイオ燃料利用義務免除の要求を拒否,08.8.8)に対するテキサス州知事の反論が8月12日付のウォール・ストリート・ジャーナルに掲載された。

 http://online.wsj.com/article/SB121850115460131741.html?mod=Letters

 すると、今度はEPAの決定を擁護するシャーファー米農務長官の投稿が8月27日付の同紙に掲載された。それによると、再生可能エネルギー はアメリカの震えるほどのサクセス・ストーリーなのだそうである。2000年以来、エタノール生産は4倍に増えた。バイオディーゼル生産は200万ガロンから昨年は4500万ガロンに増えた。セルローズ系エタノールも生産に向かっている[実験的生産をしているにすぐない]。去年、バイオ燃料が米国の温室効果ガス排出量を1300万トン減らし、米国のガソリン価格をガロン当たり20セントから35セント引き下げた。2007年、テキサスの消費者は、エタノールのお陰でガソリンへの支出を25億ドルから45億ドル節約した。次世代技術でこれらの利益がもっと大きくなる。世界穀物価格が急騰したが、これは、主としてエネルギー 価格上昇、急速に発展する国における食事の改善、2年に渡ったいくつかの国における悪天候、いくつかの国の新たな輸出規制のためである。米国のバイオ燃料生産の米国消費者食品価格上昇(5%)への寄与率は02-06%に過ぎない。大局的に見れば、石油輸入と国の炭素フートプリントの削減は決定的に重要な目標だ。バイオ燃料はこのストーリーの一環にほかならない。今は我々の努力を支えるべきとき、ゴールから引き下がるときではない。

 http://online.wsj.com/article/SB121979299317074517.html?mod=googlenews_wsj

 大変な自信だが、最新のエタノール生産・在庫データによると、08年6月のエタノール生産量は1750万バレルで、昨年6月より38.8%増えたが、前月の1850万バレルから5.5%減少、07/08年に30億ブッシェルのトウモロコシを使うという農務省の目標を達成するためのぺースを維持するのに必要な1910万バレルの目標に届かなかった。その上、6月のエタノール期末在庫は5月の1200万バレルに対して1230万バレルになり、昨年5月に比べると35%も増えた。あと2ヵ月で終わる07/08年度のトウモロコシのエタノール用利用量は、予想を確実に下回ることになろう。震えるほどのサクセス・ストーリーにも陰りが見える。

 http://www.agweb.com/Blogs/BlogPost.aspx?src=Allendale%E2%80%99sResearch&PID=f1ba0343-51ed-4a77-881c-298603bd80b9

8月8日(目次へ

  ベトナム石油関連会社がバイオ燃料生産・流通会社設立へ

  ベトナム国営石油・ガスグループの4つの関連会社がバイオ燃料の生産と流通のための会社を設立すると決定。キャッサバからエタノールを生産する予定。政府は07年、2015年までのバイオ燃料開発計画を承認した。プロジェクトの一環として、2015年までに国の石油需要の1%を埋めるために、25万トンのエタノールと植物油が生産される。
 PetroVietnam Sets Up Biofuel Affiliate,soya.teh,8.7
 http://www.soyatech.com/news_story.php?id=9745

8月7日(目次へ

 インドネシア バイオ燃料ブレンド義務化

 5日、政府が小売業者にバイオ燃料販売を義務付けると発表。バイオディーゼルは最低1%、バイオエタノールは最低3%のブレンドを義務付ける。しかし、これを守らせるための奨励措置はない。

 Biofuel to be mandatory for fuel retailers,Jakarta Post,8.6
 http://old.thejakartapost.com/yesterdaydetail.asp?fileid=20080806.@02

8月6日(目次へ

 豊田通商 ブラジルでエタノール工場建設へ

 ゴイアス州での建設のための研究を完了。ペトロブラスと地方サトウキビ生産者がパートナー。

 Toyota to build ethanol mill in Brazil ,Reuters,8.5
 http://www.reuters.com/article/rbssEnergyNews/idUSN0531463820080805

 エチオピア エタノール生産 5年で160倍へ

 政府が現在の800万リットルを1億3000万リットルに増やす計画。

 Ethiopia - Ethanol production to increase 16 fold,Nazret,8.5
 http://nazret.com/blog/index.php?title=ethiopia_ethanol_production_to_increase_&more=1&c=1&tb=1&pb=1

8月5日(目次へ

 マレーシア、インドネシア 過剰パームオイルをバイオディーゼルに

 急落するパームオイル価格*を立て直すために、マレーシアとインドネシアが過剰在庫を地域市場で使うバイオディーゼルの生産に使うことで合意した.。それぞれ190万トンをこの目的で使う。これが食用油の不足を招くことはないという。(再び暴騰をもたらさないという保証はない)

 Malaysia, Indonesia To Use Palm Oil Surplus To Produce Biodiesel,Bernama,8.4

  *Palm oil hits 9-month lows,Business Times,8.5
   http://www.btimes.com.my/Current_News/BTIMES/Tuesday/Latest/20080805112806/Article/index_html

8月4日(目次へ

 バングラデシュ バイオガス・プラントが3万基

  薪の使用を減らす代替エネルギー 源として、国中の農村地域に3万のバイオガス・プラントが設置された。馬糞、鶏糞、その他の廃棄物バイオマスから生産される無煙・無臭にして清潔で健康的な調理環境を作り出すバイオガスが、天然ガスのように調理に使われ、炉辺の灯かり、照明・扇風機・テレビ・ラジオなどの家電製品のための発電に使われ、灌漑水汲み上げポンプの機械力にも転換されている。プラントからの残滓は作物生産のための有機肥料として使われている。2012年までに50万のプラントを設置するのが目標だ。

7月31日(目次へ

 ブラジル産業団体 ドーハ・ラウンド挫折で米国のエタノール関税引き下げ闘争へ

 WTOドーハ・ラウンドの挫折を受け、サトウキビ産業協会(Unica)が、WTO提訴も含む手段で保護主義的エタノール関税との闘いに挑む。提訴のほか、米国内グループとの共闘、二国間協議も視野に入れる。Unica会長によると、ブラジルは総生産量の20%に相当する50億リットルのエタノールを輸出するつもりだが、うち30億リットルが米国向け、13億リットルがヨーロッパ、特にスウェーデン向けとなる。ドーハ・ラウンドが成功すれば50億リットル以上を輸出するはずだったが、この望みは捨てた。しかし、トウモロコシとガソリンの価格高騰で需要が増している米国への輸出は増える余地があると見る。

 Brazil seeks new options to fight ethanol tariffs after WTO collaps,Cattle Network,7.30
 http://www.cattlenetwork.com/Content.asp?ContentID=240680

 ブンゲ ブラジル北部の三つの砂糖・エタノール工場に投資 

 Bunge to invest R$1 billion in 3 Brazilian ethanol mills ,Trading Markets,7.30
 http://www.tradingmarkets.com/.site/news/Stock%20News/1793711/

 投資額は10億ブラジルレアル(6億3900万ドル)。2011年に操業開始。ブラジル北部トナンチンス州の3工場に供給する2200ヘクタールのサトウキビ栽植をしているが、10万fに拡大する。

 ADM 現地企業と組み、ブラジルでエタノール生産

 ゴイアス州で二つの製糖工場を開設する合弁事業に参加。各工場、年間300トンから400トンのサトウキビ圧搾能力。2010に操業開始。

 ADM to start ethanol production in Brazil ,Reuters,7.28
 http://www.reuters.com/article/rbssConsumerGoodsAndRetailNews/idUSN2846828920080728
 

  7月24日(目次へ

 ルワンダ バイオディーゼル生産を開始

 ルワンダが2週間以内にバイオディーゼル生産を始めると発表。ルワンダは毎日2000リットルのバイオディーゼルを生産することができる。原料にはアボガドの種、モリンガ、ヤトロファ(ジャトロファ)、大豆の種などの非食用作物を使う。バイオディーゼルの性能はトヨタ車で試験済み。石油・ディーゼル燃料価格の高騰がバイオディーゼル導入の最大の動機。

 Rwanda to begin making bio-diesel,East African Business Week,7.19
 http://www.busiweek.com/index.php?option=com_content&task=view&id=179&Itemid=2

 なお、ルワンダ政府はアフリカ諸国に対し、バイオ燃料生産のために食料作物以外の自然資源を使うように要請している。

 Rwanda: Country Opposes Use of Food Crops for Biofuels,New Vision via allAfrica.com,7.19
 http://allafrica.com/stories/200807210856.html

 モザンビーク 1万8000fのサトウキビエタノール・プロジェクトを承認

 国の西部・マニッカ州における2億8000万米ドルのこのプロジェクトは、ロンドンに本拠を持ち、ジュネーブとケープタウンに事務所を置くPrinciple Capital社を親会社とするMozambique Principle Energy社に属す。その目標は2013年からスタートして年に2億1300万リットルのエタノールを生産すること。このために年に250万トン(f当たり1万2000トン)のサトウキビを生産せねばならない。

 2012年にスタートして82.2メガワットの電力も生産、その20%は会社が利用、残りは国の配電網に供給する。このプロジェクトは2650人の雇用を創出する。さらにLucite川に橋を架け、周辺地域住民のための社会インフラも整備する。サトウキビプランテーションは大量の水を必要とし、Lucite川から取水するから、政府は水供給の問題も考慮に入れる。

 これにより、2011年には5700万ドル、2012年には1億1900万ドル、その後は1億4400万ドルの税収が国庫を潤すと政府は期待している。

 会社は、土壌、マニッカの気候、灌漑のお陰で、サトウキビの収量はブラジルを平均50%上回ると期待されるとも発表した。

 政府は昨年、南部・リンポポバレーでの3万fのサトウキビ栽培に関係するエタノールプロジェクトも承認している。このプロジェクトに投資したのはロンドンを本拠地とするCentral African Mining and Exploration Company (CAMEC)社で、コンゴ民主共和国における銅とコバルトの採掘で知られる。

 Mozambique: Ethanol Plant in Manica Approved,Agencia de Informacao de Mocambique via allAfrica.com,7.16
 http://allafrica.com/stories/200807160900.html

 ジンバブエ 石油価格高騰で新たなバイオ燃料政策を導入

 Nyambuyaエネルギー・電力開発大臣が、石油価格高騰の影響を和らげ、外貨を節約し、クリーンな燃料を支持するために、バイオ燃料の導入を促進する新たな政策措置を導入すると発表した。政策はこの政策の範囲内でビジネスを実行するようにすべての石油会社に指示する。具体策の一つは石油へのエタノールのブレンドの復活で、燃料エタノールの生産は既に始まっている。並行してヤトロファバイオディーゼルの導入も進める。政府は現在、2010年までに最低1億リットルのバイオディーゼルを生産するために必要な原料を作り出すべく、ヤトロファ栽培を促進している。これが実現すると、輸入品の10%をバイオディーゼルに置き換えることができる。

 大臣はバイオ燃料政策の適切な実施で、国のエネルギー安全保障が改善され、燃料の純輸入が減り、雇用が提供され、汚染が減り、二酸化炭素排出削減にも役立つと言う。

 Zimbabwe: Govt Introduces Bio-Fuels Policy,The Herald via allAfrica.com,7.3
 http://allafrica.com/stories/200807030571.html

 7月15日(目次へ

 米ベンチャー企業、原料高でエタノール工場建設を3工場から1工場に

 それぞれ年産能力1億1000万ガロンの3つの工場でエタノールの生産を計画していたエタノール・ベンチャーのVision Fuels LLC's (アイオワ、アーバンデール) が、エタノール工場を建設しようとしている多くの会社同様、トウモロコシ価格の記録的高騰と製品市場の不安定から2つの工場の建設計画をキャンセル、計画を1つ工場に絞っている。

 Expected to Start Construction in 1Q09, an Industrial Info News Alert,MSNBC,7.14
 http://www.msnbc.msn.com/id/25672269/

 現在のトウモロコシ価格では、一層の政府補助がないかぎりエタノール生産拡大は進まない。07年エネルギー独立安全保障法が定めたバイオ燃料使用の義務的目標を達成するためには、ブラジルからのエタノール輸入を増やすほかないだろう。

  6月10日(目次へ

 コロンビア人ビジネスグループ 米国初のサトウキビ・エタノール生産を計画

 ルイジアナで操業するコロンビア人ビジナスグループ・Inverandinoが米国で初めてとなるサトウキビを原料とするエタノールの生産を計画している。計画通りに運べば、来年半ばにも生産が始まる。グループは過去2年、サトウキビをエタノールと有機肥料に転換することを目的に、地域の三つの製糖工場を買収してきた。計画を推進するLouisiana Green Fuels (LGF)社の予想によると、5年以内に1億ガロン(約3.8億リットル)を生産するようになる。

 会社は、砂糖からエタノールを生産する米国初の企業となるだけでなく、メキシコ湾岸沿いでの最初のエタノール生産企業ともなる。カトリーナやリタがもたらした惨害からの経済的回復が急務となっているルイジアナ州からの支援、バイオ燃料市場の成長、コロンビア砂糖産業の10年に及ぶエタノール生産の経験などの要因がこのプロジェクトを可能にした。

 米国では前例のない計画で、既に数百人のコロンビア人労働者・技術者が米国入りしている。雇用機会創出で利益を得る地元社会にも熟練労働者流入への抵抗はなく、資本流入は地域にとって好都合という理解もある。会社の広報部長は、米国ではサトウキビから経済的にエタノールを生産できないという”パラダイム”を変える決意だだと言う。

 Colombians in U.S. sugar mills to produce ethanol,Miami Herald,6.8
 http://www.miamiherald.com/news/americas/story/562380.html

 6月7日(目次へ

 カナダ、バイオエタノール年生産能力が10億リットルに 小麦の4%弱、トウモロコシの12%がエタノールに

 カナダ再生可能燃料協会(CRFA)によると、カナダの2008年のバイオエタノール年生産能力は10億リットルに届く。能力がフル稼動するのは08年後半になるから、実際の生産量は9億リットル程度になる見込み。07年の生産は7億リットルだった。09年の生産能力は13〜14億リットルとなる見込み。

 08年に生産されるエタノールのうちの4億8900万リットルは小麦、4億9600万リットルはトウモロコシを原料とする。カナダ農業・農産食料省が推定する09/09年小麦(デュラム小麦を除く)生産量:1980万トンの4%足らずと、同じくトウモロコシ生産量のおよそ12%がエタノール生産に使われることになると推定される(トウモロコシ1ブッシェルから10リットルのエタノールが生産されると仮定)。

 カナダのバイオディーゼルの生産量は少なく、07年には1億リットル弱だったが、08年も1億リットルほどにとどまる。カナダのバイオディーゼルの大部分はレンダリング製品の動物油脂、タロー、イエローグリースやリサイクル植物油から生産されている。ただ、カナダ・バイオエナジー社が菜種油を利用する大規模工場を建設中で、将来は菜種油バイオディーゼルが増えると予想される。バイオディーゼル1リットルの生産に1リットルの菜種油が必要で、菜種の作付面積・生産・収量の増加から、菜種を原料とするバイオディーゼルには大きな潜在力がある。

 Ethanol capacity soon to hit billion-litre mark,manitobacooperator,6.5
 http://www.manitobacooperator.ca/issues/ISArticle.asp?id=85310&issue=06052008&story_id=&PC=FBC

 なお、F.O. Licht社によると、07年のバイオエタノール生産量は世界全体で495億リットル、カナダは米国、ブラジル、EU、中国に次ぐ世界第5位のエタノール生産国となっている(参照:世界各国のバイオエタノール生産量)。 議会承認が危ぶまれたバイオエタノール利用促進法案は、結局採択された。

5月14日(目次へ

カナダ・バイオエタノール利用促進法案がピンチに

 近々議会で承認されるはずであったカナダのバイオエタノール利用促進法案の成立が怪しくなってきた。この法案はガソリンへの5%混合でバイオエタノール利用を飛躍的に増やそうとするもので、ごく最近まで、 少数与党の保守党はもちろん、自由党、新民主党(NDP)、ブロック・ケベコワの主要4政党すべてが支持してきた。しかし、5%混合となると大量のエタノールが必要になり、トウモロコシ原料のエタノールに頼るほかない。

 食料品価格の高騰が世界的大問題となり、トウモロコシ原料エタノールの生産増大がその最大の原因だとまで思わせるような批判の声の高まりを受け、5月1日には法案に賛成するとしていたブロック・ケベコワが、突然、反対投票することを確認した。新民主党もその前、議会審議の最終段階で支持を取り下げている。

 こうして法案が成立するかどうかのキャスティング・ヴォートは自由党が握ることになったが、ここでもバイオ燃料への疑問が出てきた。先週、環境、財政、農業などの分野の党指導者が、食料インフレは一部はエタノールのせいであるという国際的警告に照らして、立場を変えるべきかどうか議論した。国際開発問題にかかわるケイス・マーチン議員は、「我々がどうするかによって、法案が通過しないチャンスがある。まだ内部で交渉している」、「我々はいまや、バイオ燃料のすべてが言われてきたようなものではないことを知っている。新たな科学は、我々すべてにバイオ燃料に関する立場の再考を余儀なくさせるに違いない」と言う。

 この動きに、マニトバ・トウモロコシ栽培者協会は、野党がカナダのトウモロコシ・エタノールを制限すれば、連邦の目標はアメリカのトウモロコシ農家が満たすことになるだけと反発する。また、トウモロコシと高い食料価格の関連も否定する 。「トウモロコシの価格はまだ高くはない。いままでが安すぎ、みんなが使うようになった」のだと言う。

 Backing for ethanol boost evaporates,Globe and Mail,5.12
 

4月8日(目次へ

 インドネシア企業 スマトラ・リアウと西パプアで燃料エタノール生産のためのサゴ・プランテーションを開発

 パルプ生産やパームオイル・プランテーション造成のために近い将来に森林の消滅とスマトラゾウやスマトラトラの絶滅や予想されるインドネシア・スマトラ島リアウ州と、鉱山開発のための狩猟地や主食・サゴの自生地の破壊で先住民の生活が踏みにじられてきた西パプア州で、今度は、インドネシアの3つの企業がバイオエタノール燃料の原料を生産するためのサゴ・プランテーションを開発するそうである。PT Nasional Timberはリアウで1万f、PT Nusa Ethanolasiaは西パプアで5万fを開発する計画、PT Austindo Nusantara Jayaも西パプアで開発するが面積は発表していない。

 Three companies to develop sago plantations in Riau, West Papua,ANTARA,4.5

4月7日(目次へ

 ケニア砂糖会社 野鳥の宝庫・タナ河デルタ湿地でバイオ燃料用サトウキビ2万f

 ケニアのマミアス・シュガー社が、野鳥の群れでごったがえし、カバ、ワニがわが家とするタナ河デルタ湿地の2万fの土地でバイオ燃料用・食料用サトウキビを生産することを計画している。エタノール製造工場と食品加工工場の建設も含むこのプロジェクトにより、牧畜や小規模稲作などの生業的農業が支配的であった地域に数千の新たな雇用が生まれるという。

 しかし、環境保護団体は、この計画が345種の野鳥、22種の水鳥の生息地を破壊すると主張している。 モノカルチャーが豊かで多様な生物生息地に取って代わり、また新たな植物のための灌漑で利用可能の水の3分の1が取水されると、英国野鳥保護王立協会は、ケニヤ政府に直接 、異例の抗議を行った。

 ケニアの自然保護団体でるネイチャー・ケニアは、この計画が承認されれば、鳥やその餌となる虫たちの越冬地やが破壊され、ダムによって乾季の野生動物や牛飼いに不可欠な水の転用され、広大な土地が”生態系の砂漠”になる、水の転用は土壌浸食や魚資源を損なう汚染を引き起こし、生まれたばかりの環境産業にも損害を与えると言う。

 マミアスの計画では、作物の半分は食料、他の半分は主に国内で販売されるバイオ燃料に使われる。しかし、海外のバイオ燃料の高価格で、ヨーロッパや米国に販売されることになるかもしれない。

  UK biofuel needs 'threaten delta'',The Observer,4.6
  http://www.guardian.co.uk/environment/2008/apr/06/biofuels.alternativeenergy

 ドイツ環境相、2010年E10導入計画の棚上げを改めて表明

 ドイツのジグマール・ガブリエル環境相が2月、ガソリンに添加するバイオエタノールの比率を現在の5%から引き上げ、2010年には10%とする計画を廃案にするかもしれないと語ったことについては前に伝えたが(ドイツ バイオ燃料混合率引き上げ計画を棚上げ バイオ燃料利用目標達成に赤信号?,08.2.24)、先週金曜日(4月4日)、同じ国営テレビで、この計画 を棚上げすることになろうと改めて語ったという。理由は同じく、大量の車がE10燃料を使えず、大変な経済的コストが生じるためだ。

  German Environment Minister Calls Off Biofuel Plans,DW,4.4
  http://www.dw-world.de/dw/article/0,2144,3243753,00.html

  ところで、4月5日に北海道洞爺湖町で政府が開いた「地球温暖化問題に関する懇談会」で、同懇談会の寺島実郎会長は、「温暖化防止対策の一つとして、ガソリンに混ぜるバイオエタノールの割合を10%まで高めるように訴えた」(「自給率50%を提起 バイオ燃料拡大も」 日本農業新聞 4月6日)そうである。「国産バイオ燃料の大幅な生産拡大に向けて」といい、「バイオ燃料技術革新計画(案)」といい、日本では、経済・社会・環境影響評価どころか、実行可能性の評価も欠いた夢のような計画が、何故こうもまかり通るのだろう。 本気で温室効果ガス削減に取り組む気などさらさらなく、格好だけつけようとするからだ。しかし、そんなことはすっかり見透かされている。洞爺湖サミットは日本が笑いものになる場となりそうだ。

  4月3日(目次へ

 グリーンピース ドイツの大豆油バイオディーゼル燃料強制ブレンド政策は温暖化を抑制しない

 グリーンピースが4月2日、気候変動と闘うためにディーゼル燃料にバイオディーゼル燃料(BDF)をブレンドすることを強制するドイツの政策は、BDFの20%が森林破壊が起きている国で生産される大豆油を原料とするものだから間違っていると発表した。

 グリーンピースは、強制的ブレンドに使われるBDFがどんな植物油から作られたものかを知るためにドイツ中の46の給油所で販売されている燃料を検査した。およそ205は、ドイツで獲れるナタネ油でなく、大豆油を原料としていた。

 従って、ドイツのブレンド計画は、大豆油の大部分が輸入品で、大豆栽培のために熱帯雨林が切り倒されている南米から来たものだから、地球温暖化を抑制しない、「巨大な面積の熱帯雨林が、例えばアルゼンチンで、新たなプランテーションのために破壊されている」と主張する。

 しかし、ドイツバイオ燃料産業団体・VDBは、大豆油は北米、アルゼンチン、ブラジルから輸入されるもので、グリーンピースの主張に根拠はないと反駁している。米国とアルゼンチンからの大豆油は雨林から来たものではない。ブラジルからの大豆油の大部分は、持続可能な農業からのものだけを購入、切り払われた熱帯雨林を利用する地域からのものは買わないという自主協定を持つADM、ブンゲ、カーギルなどの穀物メジャーが調達するものだと主張する。 

 Greenpeace says German soy fuel blend fails climate test,Reuters,4.2
 http://uk.reuters.com/article/environmentNews/idUKL0282570220080402

 ただ、南米で草地や森林が大豆畑に変えられていることは確かな事実であり、バイオディーゼル生産の拡大がその一因をなしていることも明らかでである。そして、草地や森林が耕作地に変われば、温室効果ガスの排出量が増し、また吸収・貯留量が減るのも確かである。使われる原料が破壊草地・森林に直接由来するものであるかどうかを問わず、バイオ燃料の生産拡大は間接的に温暖化促進効果を持つ。

 それこそ、バイオ燃料生産の影響に関する最新の科学研究の成果が明らかにしたことだ(バイオ燃料→土地利用変化で温暖化ガスが激増 森林等破壊防止規制も無効 新研究,08.2.9)。だから、英国政府科学顧問も、バイオ燃料の義務的導入の実施延期を要請せざるを得なくなった(英国政府科学顧問 4月からのバイオ燃料義務的導入は科学軽視 延期を要請.08.3.24)。

フィリピン、バイオエタノール大量輸入へ エネルギー自立のために導入を義務づけたものの・・・

 石油価格が高騰するなか、フィリピン政府は、エネルギー自立の確保のためと、2007年バイオ燃料法で2009年2月からガソリンへの5%のエタノール混合を義務づけた。2011年までには10%混合も義務づける計画だ。ところが、これに必要な量のエタノールの生産能力は国内にない。フィリピン精糖業者組合のアマーラ常務が2日、2009年にはブラジルとタイから1億7000万リットルのエタノールを輸入する計画だと語った。現在の国内生産能力は年に3000万リットルだけだという。

 Philippines to import ethanol from Brazil, Thailand,Reuters,4.2
 http://uk.reuters.com/article/oilRpt/idUKBOM24767420080402

 これでどうしてエネルギー自立なのだろうか。

  4月2日(目次へ

 広西壮族自治区 バイオエタノールを導入する中国10番目の地方に キャッサバからのエタノールを大量生産

 中国南部の広西壮族自治区が4月1日、ガソリンとディーゼル燃料をバイオエタノールに置き換える中国10番目の地方となった。自治区の14の全市の給油所がバイオエタノールの販売を始めた。自治区政府輸送担当官は、石油燃料は2週間以内に段階的に廃止される、35万の自動車と300万のモーターバイクは、燃料交換のためにタンクが”クリーンアップされると言う。

 現在エタノールを利用しているのは、北東部の吉林遼 寧、黒龍江、北部の河南、河北、東部の安徽山東江 蘇 、中部の湖北の9省。広西壮族自治区は、穀物の代わりにキャッサバを使ってエタノールを商業的に生産する最初の地方である。年に780万トン、中国全体の60%ほどのキャッサバがここで生産される。沿岸の北海市で昨年12月に操業に入った中国第一のバイオ燃料生産基地がある。ここでは、およそ150万トンのキャッサバから年に20万トンのバイオ燃料が生産されることになっている。

 中国担当官は、国のエタノール燃料販売は2010年には3000万トン、ガソリン供給量の半分に達すると言っている。

 China replaces petrol, diesel oil with bio-ethanol fuel in 10 localities,xinhua.net,4.1
 http://news.xinhuanet.com/english/2008-04/01/content_7897155.htm

  3月29日

 バイオ燃料からエネルギーを作るには、化石燃料から作る場合の70〜400倍の水が必要―ユネスコの報告

 国連の専門家が水のフットプリントの増大を懸念している。地球人口のおよそ半分、25億人が下水設備を持たない。その多くは都市のスラムに住む。世界の都市人口は毎週100万人増えている。農業の水需要も増え続ける。気候変動の脅威から炭素フットプリント―人間が生み出した温室効果ガスの量―が注目されているが、科学者は今、水のフットプリント―モノやサービスを生産するために必要な水んの量―の計算を始めた。

 ユネスコ水教育研究所が今月発表した報告書によると、バイオ燃料からエネルギーを作るには、化石燃料から作る場合の70〜400倍の水が必要になる。15,972ガロンの水を使って生産されるブラジルのバイオマス―主にエタノール用に使われるサトウキビ―からのエネルギーと同量のエネルギーを提供する原油を生産するのに必要な水は262ガロンにすぎない。オランダのバイオマスでも6,284ガロンの水が必要だ。・・・

 UN experts concerned by water footprint,USA Today,3.28
 http://www.usatoday.com/tech/science/environment/2008-03-28-water-footprint_N.htm?csp=34 

 日本は、食料輸入で大量のバーチャルウォーターを輸入したうえに、ブラジルからのエタノール輸入でも同じようにバーチャルウォーターを輸入することになる。これは”持続可能”でしょうか。否、日本政府はそんなことにはまったく無頓着です。

 ニュージーランド バイオ燃料利用義務化の延期へ 持続不能な方法で生産されるバイオ燃料の輸入を恐れる

 議会特別委員会で現在審議中バイオ燃料法案は、バイオ燃料ブレンド自動車燃料の販売を7月1日から義務づけるように提案している。しかし、パーカー気候変動相が28日、この義務化スタート時を延期せねばならないかもしれないと語った。一部のバイオ燃料が食料不足や森林破壊を引き起こしているかどうかをめぐる論争が海外で巻き起こっている。すべてのバイオ燃料が持続不能な方法で生産されているわけではないが、義務を果たすために石油メジャーが輸入する可能性のある海外のバイオ燃料製品が心配という。緑の党は、このような燃料が利用できないように持続可能性条項を法律に付け加えるように主張してきたが、政府は燃料を判別できる環境基準を未だ案出していない。

 Biofuel bill may have to be delayed,NZ Herald,3.29
 http://www.nzherald.co.nz/section/1/story.cfm?c_id=1&objectid=10500837

 日本政府は、こんなことにはまったく無頓着だ。輸入者が勝手に”持続可能なバイオ燃料”と考えているだけだ。

  3月27日(目次へ

 米国エタノール工場新規需要、1年は”死滅状態”に―世界的金融危機と原料価格高騰で

 エネルギー・化学持株会社・Bateman Litwin の Shuki Raz最高経営責任者が辞任にあたり、世界的金融危機と原料価格の記録的高騰のために、米国エタノール工場に対する新規需要は、少なくとも1年は”死滅状態”になると語った。3週間前に会ったエタノールビジネスに融資するトップ15の金融機関のすべての見方は、一般市場、そしてまたエタノール市場が原因となり、2008年は多分死んだ状態になるというものだった。トウモロコシ価格高騰によるエタノール加工企業のマージンを圧迫と信用危機で、銀行はエタノール工場新設への融資に非常に慎重になっているという。

 Firms From Portugal and Mozambique Form Biofuels Joint Venture,Reuters,3.26
 http://uk.reuters.com/article/companyResultsNews/idUKL2627857220080326

 3月15日(目次へ

 三井物産とペトロブラスがバイオエタノール生産会社設立協定に調印

 ブラジル国営石油・ペトロブラスと三井物産がバイオエネルギー、特に日本への輸出用バイオエタノールを生産し、加えてサトウキビ・バガスから発電するプロジェクトに投資するためにブラジルに会社を設立する協定文書に調印した。新会社の株式は双方が半分ずつ持つ。バイオ燃料生産のための社会環境及びエネルギー効率要件に従って事業を展開するという。

 Petrobras and Mitsui to incorporate a bioenergy company,EuroPetrole,08,3.13
 ペトロブラス社とのエタノール生産事業への共同投資会社設立(三井物産ニュースリリース),08.3.14

 COFCO 中国広西で年産能力30万トンのキャッサバ・エタノール工場建設へ

 中国糧油食品輸出入集団公司(COFCO)子会社のチャイナ・アグリインダストリー・ホールディングスが2008年、年産能力30万トンを持つキャッサバ原料エタノール製造工場の建設に着手する。COFCOは昨年12月に、やはり広西の北海市で年産能力20万トンのエタノール試験事業を始めている。

 COFCO to Build Second Fuel Ethanol Project in Guangxi,Trading Markets,08.3.13

 中国 ワラからのバイオ燃料生産装置の開発に成功

 ワラからバイオ燃料、中国初の製油装置開発成功 人民網日本語版 08.3.12

 ペトロベトナムとブロンズオーク社がベトナムでエタノール工場建設を協議

 ベトナム国営石油・ペトロベトナムと英国のブロンズオーク社がベトナム中部で1億5000万リットルのエタノール工場建設で協議中。原料は主にタピオカを使う。

 Vietnam: Petrosetco, UK firm plan ethanol plant,Reuters,08.3.12

  クリントン前米大統領も投資のブラジル・エタノール工場 ”品位を落とす」”労働者居住条件

 ブラジル労働省が、クリントン前米国大統領やその他著名金融化関係者が投資するエタノール工場の133人のサトウキビ労働者の”品位を落とす”居住条件を発見した。先月検査官を率いた ジャックリーヌ・キャリロの声明によると、検査された五つのサイトで、労働者は飢えと寒さに苦しみ、居住区域のすべてが過密で、衛生条件も”テリブル”だと訴えた。

 Brazilian Ethanol Producer Investigated for Poor Labor Standards Includes Bill Clinton, Vinod Khosla as Investors,soyatech.com,08.3.11

 米国 バイオディーゼル工場がグリースなどを垂れ流し

 Pollution Is Called a Byproduct of a ‘Clean’ Fuel,The New York times,08.3.11

 トウモロコシ・エタノール生産の水汚染への影響 米大学研究者がを初めて定量 メキシコ湾の”デッドゾーン”が増大

  米国研究者によると、トウモロコシ原料エタノール生産への米国政府のラッシュがメキシコ湾の水汚染を悪化させ、魚や水生生物を殺す”デッドゾーン”を増やす。ブリティッシュ・コロンビア大学とウィスコンシン大学の二人の研究者が、バイオ燃料生産の水路の栄養汚染への影響を初めて定量した。この発見は、全米科学アカデミーのProceedings of the National Journal of Sciences誌3月10日号に発表される。

 U.S. Rush to Produce Corn-Based Ethanol Will Worsen 'Dead Zone' in Gulf of Mexico: University of British Columbia Study,soyatech.com,08.3.11