夏季、道路下のパイプで暖めた水を冬季の道路凍結防止に使うー英国で実験中

農業情報研究所(WAPIC)

05.8.22

 夏の間に蓄えられた熱を冬季の道路凍結の防止に使おうという実験が英国で行われている。道路の下に埋められたパイプの中で暖められた水を汲み上げて貯蔵、冬季の凍結時に再びパイプに戻す構想という(NewScientist.com,8.21;http://www.newscientist.com/article.ns?id=dn7877)。

 実験のために、直径25mmのポリエチレンのパイプが私道の下に張り巡らされた。パイプは通常は地温が平均12℃の深さ12cmのところに15cm間隔で敷設される。この温度は25℃まで上がる可能性がある。

 夏の太陽が熱を吸収する道路表面のアスファルトを暖め、それがパイプの中の水を暖める。暖められた水は汲み出され、道路脇に配置された1mの厚さのポリエチレンで断熱される第二のパイプ群に貯蔵される。冬季、道路表面の温度が2℃まで下がったことをセンサーが感知すると、温水がポンプで道路下のパイプに 汲み戻され、道路表面の凍結を防ぐ。

 バークシャーにある英国輸送研究所による48万ポンド(約5000万円)をかけた実験が5月に始まり、2年間続ける予定である。同様な技術はオフィス建物の地下室の暖房にも使える可能性がある。同様なシステムは、オーストリアとオランダでも融雪のために使われているが、貯蔵タンクを20m以上の深さの地下に埋めねばならず、建設費用が高くつくという。

 この実験には、英国の主要道路を維持する高速道路機関が資金を供給している。