インド企業 スウィート・ソルガムからのエタノール生産でフィリピン小農民と連携

農業情報研究所(WAPIC)

07.1.30

 フィリピン・ニュース・エージェンシー(PNA)によると、インドの主導的エタノール醸造企業・ Rusni Distilleriesがスウィート・ソルガムからのエタノール生産のためにフィリピン小農民とタイアップする。

 Indian firm ties up with local farmers for ethanol production,PNA,1.29

 原料となるスウィート・ソルガムは平均2.1haの農場を持つ1万5000の農民がそれぞれ1haずつ栽培する。それは[砂糖に比べれば]水消費が少なく、干ばつ条件に耐える。高地農民は雨季に栽培できるし、 (農地改革で独立小農民となった)低地稲作農民も二作、三作目の作物として栽培できる。しかも、エタノール加工工場はこれら農民が所有することができるから、エタノール生産の利益は外部資本に掠め取られることなく、確実に農民のものになる。

 米国が食料*や飼料**を犠牲にしてエタノール生産のためのトウモロコシ利用を急増させ、ブラジルが小農民・労働者や環境***を犠牲にしてエタノール増産のためのサトウキビ大規模プランテーションの拡大に走るなか、滅多に聞かないさわやかな話である。エタノールブームを、食料生産を犠牲にする ことなく、地域農民の経済的利益と雇用の確保のために利用する模範例の一つとなるかもしれない。

 *  例えば、A Culinary and Cultural Staple in Crisis:Mexico Grapples With Soaring Prices for Corn -- and Tortillas,The Washington Post,1.27。
 ** 
例えば、Chicken industry warns of impact of demand for ethanol,WorldGrain.com,1.25;US Livestock Feeders Look To Wheat As Alternative To Corn,Cattle Network,1.22。
 ***
例えば、サトウキビ畑に追われた牧畜の進出によるアマゾンの森林破壊。