台湾 来年から車燃料へのバイオジーゼル添加を義務づけ 廃調理油を利用

農業情報研究所(WAPIC)

07.4.14

 チャイナ・ポスト紙によると、台湾が石油不足への対処と二酸化炭素排出削減を狙い、来年から車の燃料に1%のバイオジーゼルを添加することを義務づける。すべての車は給油に際して1%をのバイオジーゼルを加えることを法律で義務づけられ、この比率は2010年までに2%に引き上げるという。この義務に違反した者には1200台湾ドル(約4300円)の罰金が科せられる。

 Vehicles required to add biodiesel from 2008,The China Post,4.11

 そのために、桃園県と嘉義県をバイオジーゼル計画実施のための最初の県に指定、今年7月からこれらの県のすべての給油所でバイオジーゼルの供給を始める。国営の中国石油と民間のフォーモサ石油化学が給油所へのバイオジーゼル供給の責任を負う。

 現在、台湾では4つの会社がバイオジーゼルの主要供給者となっているが、そのすべてが予想される需要増大に応えるために増産に向かっており、一部は輸出も計画している。

 環境保護局(EPA)は、7月にスタートするバイオジーゼルの生産 に利用される廃調理油のリサイクルを各家庭に求める計画を発表した。ゴミ収集車が廃調理油を収集するためのビンを携行することになる。このビンに別の廃棄物を混ぜることは禁止される。台湾では、ファストフード店、食料品工場、学校食堂、食料品店などから毎年7トンから8.5トンの廃調理油が出る。これがおよそ80%を占め、家庭から出るのが20%ほどになるという。

 バイオジーゼル添加の義務化に加え、台北では9月から7つのガソリンスタンドでエタノール混合ガソリンの利用も可能になる。バイオマスエネルギー促進のためのパイオニア・プロジェクトの一環として、ガソリン97%、エタノール3%のE3エタノール混合ガソリンを供給する7つのスタンドを設置、主に政府機関が所有する車にサービスするが、民間の車の利用も歓迎する。ただ、エタノール混合ガソリンはガソリンより相当高くなると予想されるから、補助金提供を可能にする法案の策定も考えている。

 ささやかな試みとはいえ、そのために菜種や大豆を使い、森林破壊やオランウータン絶滅、火災で地球温暖化にも寄与するパームオイルにまで手を出す欧米・日本やブラジルなどのバイオジーゼル導入計画よりはずっとましだ。

 日本は京都議定書目標達成計画で、2010年までにバイオマス由来輸送用燃料を5億リットル利用する目標を掲げているが、いままでのところ、いかなる特段の国家奨励措置も実現していない。自動車燃料の大消費国として、このままでは、(開発)輸入の拡大を通じてブラジルやインドネシアなどの環境破壊、飢餓、貧困助長に貢献するしかなさそうだ。