米国食肉産業連合 トウモロコシ原料エタノールの早急な制限を要望

農業情報研究所(WAPIC)

07.6.15

  米国食肉産業諸団体を糾合する連合体が6月8日、上院多数党院内総務・ハリー・リード(民主党)と少数党院内総務・ミッチ・マッコーネル宛に、トウモロコシを原料とするエタノールに対する早急な制限を求める書簡を送った。

 http://www.meatami.com/StoryLinks/2007/IndustryEthanolLetter060807.pdf

 この連合体にはアメリカ食肉インスティチュート、全米鶏肉カウンシル、全米豚肉生産者カウンシル、全米肉牛生産者牛肉協会、統一鶏卵協会、食料品製造業者・食品協会などの諸団体に加え、ハインツ、ケロッグ、ネスレ、ペプシコ、コカ・コーラ、ユニリバー、ディーンフーズなどの大手飲食料品企業も含まれ、まさに食肉に関連する食品業界の総連合だ。

 エタノール生産のためのトウモロコシ需要の増大によるトウモロコシ=飼料価格の高騰が食品産業全体の重大な影響を与え始めたということだろう。

 書簡は、目下審議中の上院エネルギー法案は米国のバイオ燃料利用を5倍に増やすことを義務づけるとしているが[WAPIC注:この法案は、2020年までに、現在のエタノール生産能力のほほ6倍に相当する360億ガロンの利用を義務づける条項を含む]、適切な防衛措置が設けられなければ、この義務は”不可避的にトウモロコシ・エタノールで果たされることになり、食料・飼料生産、公衆衛生、土地、水資源に重大な影響を及ぼすことになりそうだ”と言う。

 連合は、更新可能な代替燃料の利用の推進は支持するものの、上院はセルローズ系エタノールなどの他の長期的解決策に重点を置くべきで、”トウモロコシ・エタノールの急速な開発は、既に消費者の主要な関心である食料の供給と価格に悪影響を与えている”と指摘する。

 書簡は、今年の最初の3ヵ月、食品価格が年率で7.3%上昇したというメリルリンチ主任投資戦略家・リチャード・バーンスタインの最近の報告を引用している。

  ただし、エタノール推進派の”更新可能燃料協会(RFA)”は、食品価格の上昇の主因はトウモロコシではなく、ガソリンの価格の上昇だと反論する研究を発表している。この研究によると、原油価格の33%の上昇(レギュラーガソリン価格の1ガロンあたり1ドルの上昇に相当)は食料品消費者価格指数(CPI)の0.6%から0.9%の上昇に結果するが、トウモロコシ価格の同等の上昇(1ブッシェルあたり1ドル)は食料品CPIの0.3%の上昇を引き起こすだけだという。

 John M. Urbanchuk,The Relative Impact of Corn and Energy Prices in the Grocery Aisle,June 14, 2007
 http://www.ethanolrfa.org./objects/documents/1157/food_price_analysis_-_urbanchuk.pdf

 なお、連合は今週月曜日、国家エタノール政策の産業と消費者への影響に関する政策決定者・メディア・公衆向けのウエブ・サイトを開設した(www.balancedfoodandfuel.org,)。