モザンビーク 英国企業とエタノール・プロジェクト 灌漑水奪われて破産と下流農民

農業情報研究所(WAPIC)

07.10.11

 モザンビーク政府がロンドンの鉱業会社(CAMEC)と年産1億2000万リットルのバイオエタノール・プロジェクト契約に調印した。

 投資額は5億1000万米ドル(約600億円)、エタノールの原料は3000fで栽培されるサトウキビ。プロジェクトは、国内・地域市場向けのエタノールの生産に加え、地方で利用する電力も生産する。これにより、7000の雇用が創出されるという。

 農業大臣は、この地区は南アフリカへの移住者が多いが、このプロジェクトで都市が生まれ、地域経済が浮揚すると期待する。

 しかし、エタノール工場は大量の水を使う。この水は、工場下流の米・トウモロコシ農民が灌漑水としても利用するダムから取る。農民が先月行った計算によると、灌漑に利用できる水は10億㎥で、工場がそのうちの9億5000万㎥を取水し、灌漑用には5000万㎥しか残らない。下流農民は”破産”してしまうと恐れている。

 ただ、政府は、農民はダムの貯水能力を過少評価しており、農民の不安には根拠がないと”信じている”ということだ。

 Contract Signed for Ethanol Production,allAfrica.com,10.10

 農家・農村経済を浮揚させるというバイオ燃料”神話”は、アフリカにも根づいている。