原料高と輸入増加でEUのバイオエタノール生産拡大に大ブレーキ

農業情報研究所(WAPIC)

08.4.9

 欧州バイオエタノール燃料協会(e-bio)が4月7日、2007年のEUにおけるバイオエタノールの生産・消費動向を発表した。過去2年の生産の年成長率は70%に達していたが、2007年には大きく減速、13.5%の増加にとどまった。原料価格高騰とブラジルの安価なエタノールの輸入が増えたのが主因という。

 http://www.ebio.org/downloads/press/080407_PR_bioethanol_production_2007.pdf

 2007年のEUの総生産量は約17億7000万L、最大の生産国は5億7800万Lのフランスで、前年に比べた97%増えた。3億9400万Lのドイツ、3億4800万Lのスペインがこれに続く。2007年にはスロバキアとイギリスで生産が開始され、EUのエタノール生産国は13ヵ国となった。

 しかし、06年には1億4000万Lを生産し、ドイツ(4億3100L)、スペイン(3億9600万L)、フランス(2億9300万L)、ポーランド(1億6100万L)に次ぐ第5の生産国であったスウェーデンの生産は半減、7000万Lに落ち込んだ。そして、7ヵ国での生産が06年よりも減った。

 原料穀物価格の高騰で生産しても利益が出ないほどに生産コストが上昇した。多くの会社は操業を(一時的に)停止するか、新設工場での操業開始を遅らせた。また、新しい工場の建設が延期されたり、中止されたりもしている。 

 他方、消費は27億Lに近づいたと推定される。輸入量は約10億L、過去最高となった。これはEUの全消費量の37%に相当する。輸入エタノールはブラジル産で、主にスウェーデン、イギリス、オランダで使われた。ずっと少量だが、デンマーク、ドイツでもブラジル産エタノールが使われている。