スウェーデン企業 世界で初めて持続可能認証バイオエタノールを提供と発表

農業情報研究所(WAPIC)

08.5.27

  ヨーロッパの主要エタノール企業をなすスウェーデンのSEKAB社が26日、持続可能な基準に合致すると認証されたエタノールを供給する世界最初の企業になったと発表した。ブラジルのサトウキビ由来のこのエタノールは、環境、気候、社会の見地から保証された質を持つという。

 The World's First Verified Sustainable Ethanol Introduced,PR Newswire,5.26
 http://sev.prnewswire.com/agriculture/20080526/3667831en_iCrossing26052008-1.html

 SEKABはブラジルの生産者と共同、サトウキビ畑からフレックス車での使用までのエタノールのライフサイクル全体をカバーする基準を開発した。発表によると、基準は国連、EU、ILO、多くのNGOなどが主導する進行中の基準づくりの過程で強調されている要件を満たす。

 児童労働、非組織労働(奴隷労働)、雨林破壊は一切認めない。また、労働条件、労働法、賃金に関する要件も満たさねばならない。サトウキビ収穫の機械化率は、当面、少なくとも30%とするが、2014年までに100%に引き上げることをする。

 気候に関しては、農業、生産、輸送からの二酸化炭素排出量がガソリンに比べて85%以上少ないことを要件とする。これらの基準が満たされるように、独立国際認証企業はすべての生産ユニットを年に2回監査する。

 これは、ガソリンやディーゼル燃料への代替をスピードアップするための最初の大きなステップをなし、その基準は今後を徐々に開発され、国際基準が設けられるときにはそれに同調させることになるという。

 SEKAB はE85(エタノール85%混合ガソリン)とED95(大型車用燃料)向けのスウェーデンの全エタノールの90%を供給している。持続可能エタノール向けサトウキビの最初の収穫は始まったばかりで、10万以上の国のE85車保有者がこのエタノールを使えるのは8月からとなる。


 欧州委員会が提案したEU基準*では、二酸化炭素排出量が化石燃料に比べて35%以上少なければよしとされ、労働に関する要件は含まれない。EU内部で審議が難航しているこのような基準に比べると、SEKAB 社の基準はより厳しく、考慮するべき要因に関しても国連**等他の国際機関やNGOの要求により近い。

 しかし、気候に関しては二酸化炭素排出量だけが考慮され、温暖化効果がはるかに大きい窒素酸化物を考慮していないのだとすると片手落ちだ。また、国連等が考慮すべきと強く要求する土地利用変化の”間接効果”(この場合には、とくに大豆生産や牧畜をアマゾン森林の奥深くまで追い込むこと)がまったく考慮外であるのは、審議中のEU基準と同じである。このような間接効果まで考慮するとすれば、サトウキビ生産農場は、多分、相当以前からある既設農場でなければならないだろう。

 SEKABのブラジル産エタノールが”持続可能”かどうか、なお疑義が残る。 

 *  http://ec.europa.eu/energy/climate_actions/doc/2008_res_directive_en.pdf
 **http://ec.europa.eu/energy/res/consultation/doc/2007_06_04_biofuels/non_og/un_en.pdf