タンザニア 60万f超の食料生産適地が外国企業のバイオ燃料作物栽培に

農業情報研究所(WAPIC)

08.7.25

 タンザニアの食料生産に適した60万fを超える肥沃な土地が多国籍企業の支配下に置かれ、ヤトロファなどのバイオ燃料用植物の栽培に当てられ、あるいは当てられようとしている。ダルエスサラームの土地利用調査団体・土地調査資源研究所(Land Research and Resources Institute)の独立研究が明らかにしたもので、水が少ない荒地でも育ち・有毒で食料にもならないから”食料と競合しない”として世界中でもてはやされているヤトロファが、実際には途上国の食料増産基盤を食い潰しつつあることを実証する。

 Govt on spot over biofuel production,The Citizen,7.23
 http://www.thecitizen.co.tz/newe.php?id=7005

 タンザニア主要紙の一つをなすシチズン紙が伝えるところによると、事情は次のとおりだ。

 この事実は、食料生産を犠牲になされてきたバイオ燃料用作物への土地配分を停止し、取り消すように議員たちが政府に圧力をかけた7月22日に明らかにされた。議員たちは、多国籍企業が世界的な石油不足で掻き立てられたバイオ燃料ブームにあやかろうと前例のない耕地争奪に乗り出しており、政府が迅速に対策を講じなければ土地配分と食料供給の危機を見ることになると警告した。

 一議員によると、ヤトロファ栽培のために、Mabij Migeregere Nainokwe Liwiti とキルワのKiwawa 地区の肥沃な土地の50年リース権がオランダのBio-Shape社に与えられた。彼は、政府が介入し、このリース契約の調印を停止させるように訴えた。

 農業・食料安全保障・協同組合副大臣は、政府は既にバイオ燃料作物栽培に使われている土地の正確なサイズを掴んでいないと言う。

 土地調査資源研究所によると、企業―その大部分は外国企業―はバイオ燃料生産のために利用される64万1170fの土地を与えられた。村の役人は交渉にかかわり、国の土地利用法・規制を正確に解釈する能力を持たないから、大部分の企業は片務的な交渉と契約で村人から直接土地を取得している。従って、この数字も必ずしも正確とは言えないという。

 議員たちは口々に、食料価格が高騰するなか、米や食料作物が栽培できる土地が投資家に与えれられ、ヤトロファが栽培されるのは無意味だ(meaningless)、ヤトロファの代わりに食料作物を生産するのなら大きな意味がある(meaningful)と訴えている。

 なお、タンザニアでバイオ燃料を生産している企業は全部で38社、うちタンザニア投資センターに承認されているのは8社だけという。バイオ燃料原料にはヤトロファ、サトウキビ、小麦、キャッサバ、ヒマワリが含まれるということだ。

 Tanzania cautioned on reckless biofuel projects,The East African,7.21
 http://www.nationmedia.com/eastafrican/current/News/news2107200812.htm