インド バイオディーゼル計画棚上げへ 企業のヤトロファ用地大規模取得におじけ

農業情報研究所(WAPIC)

08.8.7

 インドのバイオディーゼル計画が閣僚グループ(GoM)によって”静かに”棚上げにされそうだ。チダンバラム財務相が、先進国における農地のバイオ燃料原料生産要用地への転換の増加が穀物生産の不足を招いている問題を取り上げた。

 農村開発省に近い筋によると、「GoMは農村開発省のバイオディーゼル全国ミッションはこれ以上仕事を続けるに及ばないと勧告した」。ミッションは、140億ルピーを投じ、400万fの土地をヤトロファやソルガムの栽培用地とする計画だった。しかし、パワー農業相が主宰するGoMは、バイオ燃料用の土地面積と費用を減らすという農村開発省土地資源部の修正案さえも拒否したという。

 Biodiesel mission set to pull down shutters,The Economic Times,8.4

 エネルギー企業の大規模な土地取得をめぐる不安がこの動きにつながった。官・民企業は、既に国中に広がる30万fの未開拓地でプランテーションを造成した。インサイダーによると、政策メーカーは、バイオ燃料プランテーションを装った企業による土地の不法入手に不安を募らせているのだという。

 BP(ブリティッシュ・ペトロリアム)はジョイントベンチャーを通じ、ヤトロファ・プランテーション用地を20万f取得した。国営IOC(インド石油)は6万fの未開拓地に今後2年で50億ルピーを投じる。100万fを狙うBPCL(バーラト石油)は、ヤトロファ・プランテーションでアーンドラプラデーシュ州政府とタイアップした。

 IOCは、チャッティースガル州の3万f、マディヤ・プラデーシュ州の2000fの土をヤトロファ・プランテーションに当てている。マディヤ・プラデーシュ州では3万f の追加を州政府に申請している。

 BPとD1オイルの合弁企業、D1-BP Fuel Cropsは、この4年間に、ヤトロファ栽培のための土地を100万fに広げた。その30%近くがインドの土地だという。